次世代5Gモバイル通信やクラウド通信サービスの普及により、データ通信トラフィックの増大と、10G,100G,400Gとビットレート高速化により、ネットワークの高速化・大容量化が予想されます。インフラ整備が活発になると、光ファイバ回線が増強され、回線の送受信に使われる高速通信機器の設置が増え、高速通信機器に使われる光デバイスの需要が、急速に高まることが考えられます。光デバイスの製造メーカは、安定に大量生産する必要があるため、多品種の光デバイスを効率よく、正確に測定する計測器を必要とします。
アンリツの光スぺクトラムアナライザ MS9740Bは、光デバイスの光スペクトラム試験において、お客様が安心・安定し、効率よく測定するために、高速化、優れた性能、多品種の光モジュール化に対応した、測定ソリューションを提供します。
高速化
光モジュール製造現場における光スペクトラム評価で、光デバイスを効率よく測定するためには、1個あたりの光モジュールの測定時間(光スペクトラムアナライザの波形掃引から外部制御機器へのデータ転送までのトータル検査時間)を短縮する必要があります。
測定処理時間の短縮:ダイナミックレンジを維持し、測定処理時間を1/2以下に
MS9740BはVBW(測定感度)設定に新たに「Fastモード」を追加。光アクティブデバイス評価に必要な45dB以上のダイナミックレンジの条件下で、従来機に対して1/2以下の測定処理時間を実現しました。この測定処理の高速化によって、一度に大量製造される光デバイス検査時間の短縮できるため、製造現場の測定効率の改善、生産性の向上に貢献します。
GPIBインタフェース、
SMSR測定時間(DFB光源)、
VBW:1 kHz_Fast(MS9740B),
1 kHz(MS9740A)、
分解能:0.1 nm、
掃引幅:30 nm、
測定ポイント:1001
優れた性能
光モジュール評価を正確に測る際、優れた光学的性能(波長範囲:600nm-1750nm、最小分解能設定:30pm、波長確度、波長リニアリティ、レベル確度など)を持った光スペクトラムアナライザが必要となります。さらに、シングルモードファイバ入力だけでなく、マルチモードファイバ入力にも対応すれば、光ネットワークで使用されているSFPやQSFP28などの光トランシーバや、光トランシーバに組み込まれた850nm VCSEL やDFB光源などの光モジュールも試験できるため、お客様は、安心して評価できます。

光トランシーバ

VCSELやDFB-LDの評価に
マルチモードファイバに対応しVCSEL評価に最適
MS9740Bは600 nm~1750 nmの測定波長範囲を備え、シングルモードとマルチモード対応しています。シングルモードファイバ入力の1310 nm、1550 nmなどの通信用波長だけではなく、マルチモードファイバ入力に適した短波長帯の波長の測定も1台で行うことができます。
850 nm帯 VCSEL評価では、マルチモードファイバ入力することにより、マルチモードファイバの接続損失も最小限に抑え、レベル測定やSMSR測定に適した受光感度と高速掃引の状態を保ちながら、多くのデバイス特性を効率よく実施できます。VSCELのようなマルチモードファイバ入力の光デバイス評価などに適しています。

レーザ評価システムを使用したデバイス特性評価例

多モードのスペクトラムをより正確に測定できる高分解能性能
トリガ信号非入力、非同期条件のパルス光測定に対応
近年のネットワーク高速化を支えるためのLD高ビットレート化に伴い、LDチップ製造における発熱対策が、通信、非通信の各分野で課題になっています。この課題を解決する手段として、パルス光入力によるスペクトラム測定需要が増えてきています。
高出力でCW発光したLDチップは、発熱が要因でスペクトラムの波長シフトやレベル低下の現象を招きます。
LDチップ発熱温度上昇によるスペクトラムの変動イメージ
本現象の影響を回避するための手段としてパルス光測定が用いられ、繰り返し周波数やDuty比の条件を調整することで、LDチップの発熱抑制を実現します。

パルス駆動によるLDチップ発熱抑制イメージ
一方で、一般に、パルス光信号のスペクトラムを正確に測定するには、トリガ信号を入力して同期する方法があります。しかし、この方法だと同期を不要とするCW測定に比べて掃引速度が遅くなるため、特にタクトタイムを重要視する製造・検査工程では、トリガ入力による測定が困難です。
MS9740Bでは、「パルス光測定モード」(MS9740B-020オプション)を使用することで、パルス発光されたLDの光スペクトラムを、トリガ信号非入力、非同期の条件でCWの光スペクトラム測定と同等の時間で取得できます。重要なファクタとなるSMSRの評価で、±1.4 dB*の高い測定再現性を実現します。
*MS9740B-020オプション搭載時。
MS9740B-009マルチモードオプション搭載時は±1.8 dB。
ピークパワーで10 dBm入力、DFB-LD、波長1550 nm、SMSR 45 dB以下、偏波の変動がないこと、SMファイバ使用時。
パルス条件:繰り返し周波数 5 kHz以上かつduty比1%以上、パルス光測定モード有効時、VBW=1 kHz、設定分解能 0.1 nm、span=10 nm以下、サンプリングポイント501ポイント、23℃±5℃
多品種の光モジュール対応
光デバイスの光スペクトラム評価する際、光モジュールの種類によって、測定方法や測定項目が異なります。
個々の光モジュールに適した測定モードを備えた光スペクトラムアナライザがあると、とても便利です。
MS9740Bは、光デバイス評価に必要な光アクティブデバイス(LD-Module、DFB-LD、FP-LD、LED、WDM、Optical Amplifier(NF and Gain))などの測定アプリケーションを装備。製造工程での評価基準となる光の中心波長やレベル、OSNR、スペクトラム幅などを一括測定できます。解析結果が一画面で表示されるため、作業者は必要なパラメータを一度に確認できるため、個々の光デバイス評価に最適です。
アプリケーション一覧
DFB-LD、FP-LD、LED:発光素子の解析
DFB-LD (分布帰還型レーザダイオード)、FP-LD(ファブリ・ペローレーザダイオード)、LED(発光ダイオード)の測定アプリケーションで、試験項目を一括で測定できます。MS9740Bの一画面上に分かりやすく表示されるため、効率よく測定ができます。
DFB-LD測定
DFB-LDは、単一スペクトルを持つ半導体レーザです。光信号の波長変動が少なく、光信号波形の劣化が少ないため、高速・遠距離通信に適しています。DFB-LD 測定アプリケーションで、次の項目を一括測定できます。
- Peak: ピーク波長とピークレベル
- 2nd Peak: サイドモードの波長とレベル
- Kσ: RMS 法によるスペクトル幅
- SMSR: サイドモード抑圧比
- Mode Offset: サイドモード波長とピーク波長との差
- Stop Band: ピーク波長の両側サイドモード波長の差
- Center Offset: ピーク波長と両側サイドモード波長の平均値との差
- σ:標準偏差
- ndB Width: 設定されたカットレベルにおけるスペクトル幅

DFB-LD試験例
FP-LD測定
FP-LDは、スペクトルに複数の発振縦モードを持つ半導体レーザです。光ディスク(DVD、BD)の光ピックアップ、レーザプリンタ、レーザポインタなどに広く使われています。FP-LDの測定アプリケーションで、次の項目を一括測定できます。
- Peak: ピーク波長とピークレベル
- Mean Wl: 中心波長
- FWHM: RMS 法によるスペクトル幅 (2.35 σ)
- Total Power: スペクトル積分パワー
- Mode ( n dB): 発振縦モード数
- Mode Spacing: 発振縦モード間隔
- σ: RMS 法によるスペクトルの標準偏差

FP-LD試験例
LED測定
LEDは,連続的なスペクトルを持つ発光素子です。最近は、低消費電力と超寿命を生かし、照明器具、車のヘッドライトで使われています。LEDの測定アプリケーションで、次の項目を一括測定できます。
- Peak: ピーク波長とピークレベル
- Mean Wl (n dB): ndB Loss 法による中心波長
- Mean Wl (FWHM): スペクトル半値幅の中心波長
- n dB Width: ndB Loss 法によるスペクトル幅
- FWHM (2.35 σ): RMS 法によるスペクトル半値幅
- PkDens (/1nm) : スペクトル密度の最大値
- Total Power: スペクトル積分パワー
- Kσ: RMS 法によるスペクトル幅
- σ: RMS 法によるスペクトルの標準偏差

LED試験例
PMD:光ファイバケーブルの偏波モード分散測定
PMD(偏波モード分散)とは,光ファイバや光部品を光パルスが通過するときに,2 つの偏波モード間で生じる伝播速度の差によって,光パルスの幅が広がる現象です。
PMDの測定機能では,偏波成分間の時間差であるDiff Group Delay(微分群遅延時間) を測定できます。

PMD試験例
Opt. Amp/Opt.Amp MultiChannel:EDFA(ファイバアンプ)の利得性、NF特性評価
光ファイバアンプの入力光スペクトラムと出力スペクトラムから利得(Gain)および雑音指数(NF)を自動計算して解析できます。3種類の測定方法(パルス測定法、レベル補完法、偏波ヌリング法)を装備しています。
また、WDM信号および最新のIEC規格に対応したOpt. Amp(Multi-channel)アプリケーションにも対応しています。
- 利得、ASE解析においては、IECに準拠したISS(Interpolated Source Subtraction)法に対応
- ノイズ位置を自動で検出するモードも新たに用意
- 利得の最大・最小(Gain Variation)と、光ファイバアンプ出力の平坦性(Output Slope)も同一アプリケーション内で同時に解析

ファイバアンプ試験例
WDM:最大300波長(チャネル)のWDM信号評価スペクトラム評価
MS9740Bは、広ダイナミックレンジ(58 dB以上、ピーク波長から±0.4 nm)、高分解能(30 pm)の性能を生かし、一本の光ファイバケーブルに複数の異なる波長の光信号を同時に乗せて、高速かつ大容量通信を可能とする、光波長多重通信のWDM信号を評価できます(100 GHz、50 GHzスペーシング)。
中心波長, レベル, SNRなどのWDM信号解析に必要な情報を1度に300信号まで解析できます。Tableディスプレイモードに切り替えるとチャネル間の距離も含めて確認できます。
LD Module:光トランシーバなどの特性評価
SFPやQSFP28などの光トランシーバ評価では、アンリツのMP2110A(ビットエラーテスタとサンプリングオシロスコープの一体型)とMS9740Bを組み合わせることで、BERやアイパターン、光スペクトラムを同時に測定できます。
光トランシーバの光スペクトラム測定は、「LD-Module」評価メニューで、光アクティブデバイスの評価に必要な試験項目(中心波長、光レベル、OSNRなど)を一括表示し、1画面上にわかりやすく表示します。
WDM Filter:光バンドパスフィルタの解析
WDM Filter解析機能を使用することによって、信号レベル、信号のピーク数、信号波長、Spacing(波長)、Pass Band、Rippleを測定できるため、光バンドパスフィルタの透過特性が効率よく評価できます