eCall/NG-eCall/Hybrid eCall
Ensuring safety and security of self-driving vehicles and connected cars
Emergency Call (eCall)、Next Generation eCall (NG-eCall)、Hybrid eCallは、交通事故の発生時にモバイルネットワークを介して車載システム(IVS)から緊急連絡センター(PSAP)へ自動通報を行う緊急通報システムです。eCallを搭載することで、乗員の重症化の抑制や救命率の向上が期待されています。eCallやNG-eCallは、欧州をはじめとする主要国で新車への搭載が義務付けられているため、導入が加速しています。さらに、これらの緊急通報システムは、欧州新車評価プログラム(Euro NCAP)などの自動車安全評価機関による試験項目の一つとして位置づけられており、消費者の購買判断に影響を与える重要な技術の一つとなっています。
eCall/NG-eCall/Hybrid eCallとは
eCallは2Gや3Gモバイルネットワークを使用し、MSDと呼ばれる位置情報、車種、ナンバーなどの最小データセットを事故の発生時に伝送します。しかし、2G/3Gモバイルネットワークのサポートは段階的に終了予定であり、次に紹介する4Gおよび5Gモバイルネットワークを使用した次世代緊急通報システム“NG-eCall”への移行が進められています。
NG-eCallはデータ転送速度が高い4Gや5Gモバイルネットワークを利用し、4G以降に標準化された音声通話方式であるパケット交換(PS)をサポートしています。事故現場の状況をビデオ映像で伝送するなど、eCallと比べてより高度な情報の伝送が可能です。
Hybrid eCallは、NG-eCallで利用する4G/5GとeCallで利用する2G/3Gのモバイルネットワーク間で相互運用性を確保するための規格です。この規格により、4Gネットワークへの接続ができない場合でも自動的に2G/3Gネットワークへ切り替えて通信を継続できるため、NG-eCallのサービス圏外においてもeCallサービスの利用が可能になります。
eCall/NG-eCall/Hybrid eCallシステムの試験課題
課題1: 各国の規制、通信規格への適合および認証機関からの型式認定
自動車メーカは、特に欧州市場向けのeCallおよびNG-eCallシステム搭載車両について、関連する規制へ適合させ、認証機関による型式認証を取得する必要があります。主な規制としては、eCallに関するEU/UN規則や、2G/3G/4G/5Gなどのモバイル通信規格が挙げられます。このため、eCallやNG-eCallシステムの開発段階では、認証機関が承認した試験ソリューションを活用して設計検証を行い、その結果を設計に的確にフィードバックすることが重要です。こうした対応を怠ると、開発時に検証項目の漏れが発生し、型式認証試験に通過できないばかりか、後のトラブルシューティングに伴うコスト増加や、最終的な市場投入の遅れにもつながる可能性があります。
なお、Hybrid eCallは現時点では型式認証の対象外ですが、採用を検討する自動車メーカが増えており、信頼性確保のため各社で技術検証が進められています。さらに、認証機関でもHybrid eCallの試験環境の整備が進行中です。
課題2: eCallシステム検証の効率化
eCallなどの緊急通報システム開発における動作検証の際には実際のモバイルネットワークも使用されます。しかし、実際のネットワークではローミング、圏外、ハンドオーバ、位置情報など、無線通信環境の変化を適切なタイミングで発生させるのは困難です。また、eCallシステムでは、認証試験ではカバーできない実運用上の試験も必要です。そこで、eCallシステムの開発時には、擬似的なネットワークを活用し、試験を効率化することが求められています。
また、無線通信規格に則した試験も不可欠ですが、試験項目が多岐にわたり手順も複雑です。このため、試験には、無線通信規格や技術に関わる専門知識や試験手順の理解が求められます。しかし、多忙な開発担当者がこれらに対応するのは時間的に厳しいため、試験項目の実施漏れや、結果の誤判定、検証の手戻りなどの問題が発生する可能性があります。そのため、自動試験ソリューションが要望されています。
eCallシステム試験ソリューション
ソリューション1: 各国の規制、通信規格への適合または、型式認定に対応した機能試験ソリューション
アンリツのeCallテスタは、欧州政府機関などが認定した試験機関から、eCall認証試験評価用 PSAP Simulatorとして認められています。2G/3G/4G/5Gの通信規格に適合したモバイルネットワークシミュレータと組み合わせることで、以下の型式認定に利用できます。
- eCall
- NG-eCall
アンリツは、欧州eCall、欧州NG-eCalなど、各国で定義されるeCall規格に対応した認証試験を提供します。また、欧州eCall、欧州NG-eCall、韓国(South Korean eCall)、日本(Japan eCall)など、各国で定義されるeCall規格に対応した機能試験を提供します。
さらに、アンリツは、欧州Hybrid eCallに対応した機能試験を提供します。Plugtestや第三者認証機関との連携実績を活かし、自動車メーカやTier1の開発・認証プロセスを支援します。
ソリューション2: eCallシステムの検証を効率化
アンリツのeCallテスタはeCall/NG-eCall/Hybrid eCallシステムの検証に適しており、アンリツのモバイルネットワークシミュレータを組み合わせることで疑似的なネットワークを構築可能です。これにより、位置情報、圏外、ハンドオーバ、ローミングなどを適切なタイミングで発生させることができます。実際のネットワークでは難しいMSDデータの送受信試験を、迅速かつ確実に実施できます。
試験項目の実施漏れや、結果の誤判定、検証の手戻りなどを回避するために、試験の自動化が有効です。自動化ソフトウェアであるSmartStudio Managerは、繰り返し試験や網羅試験などの自動試験環境を提供し、eCall試験の効率化に貢献します。