海底光ネットワーク
世界中のデータ通信を支える
世界中には400本を超える海底ケーブルが張りめぐらされています。増え続けるデータ伝送量に対応するため、今後も海底ケーブルは増加し続けます。
1990年代に光増幅器が開発され、海底ケーブルの伝送距離が飛躍的に伸びました。2000年代になると波長多重方式(Wavelength division multiplexing:WDM)が導入され、1つの光ファイバで複数の信号を送ることができるようになり、通信伝送容量が大幅に向上しました。さらには、光ファイバに多数のコアを収納して伝送容量を増やす空間分割多重(Space division multiplexing:SDM)の導入が検討されており、1本のファイバ内に複数のコアを収納するマルチコアファイバにより、伝送容量をさらに増やす研究開発が進められています。
一方、海底光ファイバの寿命は25年程度とされており、老朽化した海底ケーブルは置き換える必要があります。
出典:TeleGeography, https://www.submarinecablemap.com
ホワイトペーパー:
Submarine Optical Network Testing
クラウドサービスやIoT、生成AIの利用拡大によるインターネットトラフィックの急増を受け、海底ケーブルの需要が高まっています。
本ホワイトペーパーでは海底光ケーブルの概要とテストソリューションについて解説します。
海底ケーブルシステム
海底ケーブルシステムは次の機器により構成されます。
- 光ケーブル
- 中継器
- 光増幅機能
- 光分配機能
- 障害点監視機能
- ビーチ マンホール(海底ケーブルと陸上ケーブルの接続点)
- 陸揚げ局(給電装置、監視装置、回線終端装置)
ビーチマンホールから海側の部分をウェットプラント(Wet Plant)、陸側の部分をドライプラント(Dry Plant)と呼びます。海底ケーブルは25年程度運用しますが、陸揚げ局の装置は技術進歩により短期間で更新されます。
このため、近年ではウェットプラントとドライプラントを別の事業者が運用する、オープンケーブル化が進んでいます。オープンケーブル化が進むことで、ビーチマンホールでの責任分界点がより明確になり、またサービス開始前の海底ケーブルの品質評価がより重要になっています。
海底ケーブルの敷設・保守における課題
課題1 敷設・保守における障害点の正確な特定
ケーブルの敷設は、陸揚げ局と敷設船の双方からケーブルの伝送損失や中継器の動作をモニタしながら実施します。陸側と海上からケーブル品質を確認しながら敷設することで、長期間の品質保証を実現します。
敷設が終わった海底ケーブルは、漁業や船の碇(いかり)や、自然災害によって破損することがあります。海底ケーブルの保守時には、通信の早期復旧のため、早急にファイバの障害箇所を特定し、ケーブルを引き上げ、修理する必要があります。ケーブルを引き上げるためには時間や作業コストがかかるため、長距離ケーブルの障害箇所は正確に特定する必要があります。
課題2 伝送経路に異なる波長の信号が存在
技術革新により、海底のROADM(Reconfigurable optical add/drop multiplexer)装置で、リング状に接続し、複数の波長の光信号を伝送させる方法が主流となっています。サービスにより使用している波長が異なるため、測定装置には、光源の波長を変更できることが求められます。
課題3 信号レベルの確認
中継器での利得や損失、光ファイバの損失は、波長によって異なります。このため、複数の波長の光信号を伝送するWDM方式では、中継器やケーブルを通過するときのレベル変化が信号ごとに異なります。光増幅器で特定の信号レベルが飽和すると信号品質の劣化につながるため、信号レベルのばらつきが一定の範囲内であることを確認する必要があります。
測定ソリューション
ソリューション1 分解能 10 mで障害点を特定可能
海底ケーブルの障害点を正確に特定するには、長距離にわたり高い分解能で位置検出が求められます。高分解能のコヒーレントOTDR MW90010Bは最大20000 kmの距離を短い測定時間で障害点探索が可能です。
ソリューション2 波長切り替えによって伝送経路ごとに測定可能
複数の波長の光信号が海底光ネットワークを伝搬します。信号の損失や遅延時間は波長ごとに異なるため、試験は、波長ごとに実施する必要があります。
コヒーレントOTDR MW90010Bは1527.60 nm~1567.13 nmの範囲で波長を切り替えて損失を測定できます。
また、ネットワークマスタ プロ MT1040Aには波長可変光トランシーバを搭載でき、所望する波長を選択しながらスループット・遅延時間の測定が可能です。
ソリューション3 光スペクトラムアナライザ(OSA)を用いてWDM信号を解析
海底ケーブルの敷設工事では、OSAを用いて、信号光パワー、光信号対雑音比(OSNR)、ゲインチルト(各チャンネルパワーの平坦度)、信号光波長、スペクトル幅などの試験を行います。