ネットワークマスタプロ MT1040Aを使ったFECテストの重要性と手法
400Gイーサネット動向
ネットワーク/データセンタの高速化・大容量化に対応するため400Gイーサネットの規格化が進んでいます。データセンタ向けのSR4、SRm.n規格に続きネットワーク向けのFR4、LR4規格も固まり、幅広い用途で400Gイーサネットの導入が見込まれています。
これらの400Gイーサネット規格では100Gイーサネット以下で使用されてきたNRZ技術に代わりPAM4技術が規定されました。これにより波長多重数、消費電力を抑制しつつ高速化と低コスト化を実現しています。
規格 |
名称 |
インタフェース種類 |
公開 |
802.3bs |
400Gb/s Ethernet |
400GBASE-DR4, FR8, LR8 |
2020/12/17 |
802.3cm |
400Gb/s over Multimode Fiber |
400GBASE-SR8, SRm.n (m:ファイバ数、n:波長数) |
2020/12/19 |
802.3cn |
400GB/s over greater than 10km of SMF |
400GBASE-ER8 |
2020/6/20 |
802.3cu |
400Gb/s over SMF at 100Gb/s per Wavelength |
400GBASE-FR4, LR4 |
2020/12/20 |
400GイーサネットとPAM4
400Gイーサネットで用いられる50Gbaud PAM4では、100Gイーサネットで用いられる25G NRZに比べて周波数2倍の信号に2ビットの情報を乗せて4倍のビットレートを実現しています。ビットあたりの振幅が小さいためSNRが悪化し100Gイーサネットまでのようにエラーフリーを実現することが困難です。このためビットエラーを自律的に訂正できるFECを導入することでエラーフリーを実現しています。
400Gイーサネットで使用されるFEC
400Gイーサネットでは、RS-FEC(Reed Solomon-Forward Error Correction)によるビットエラー訂正が常時行われます。パリティビットが付与される代わりに、自律的なビットエラー訂正が可能になります。
FECはコードワード(CW)と呼ばれる単位で実行され、RS(x, y, a, b)という形式で能力を表します。
x:1CW中のシンボル数(メッセージシンボル数+パリティシンボル数)
y:1CW中の メッセージシンボル数
a:1CW中にエラー訂正可能な最大シンボル数
b:1シンボルあたりのビット数
400GイーサネットではRS(544, 514, 15, 10)を使用します。
ビットエラーが均等に入るような場合を想定すると、2.7E-02(=15/544)までのエラー訂正能力を有することになります。
400Gイーサネット通信におけるエラーの影響
多くのエラーが発生するネットワークを検出し安定的なネットワーク運用を行うため、IEEE802.3ではHigh SERアラームを定義しています。このアラームが発生するとアライメント再同期が発生するため400Gイーサネットリンク外れが発生します。High SERアラームは8,192コードワード中に5,560以上のシンボルエラー検出(1.2E-03 = 5,560/8,192)で規定され、2.7E-02 のシンボルエラーを訂正できる400GイーサネットのFEC訂正限界以下で発生します。このためHigh SERアラーム発生限界近くで運用していてもエラーフリーで運用できるため回線・機器異常が見過ごされる可能性があります。
またバースト的なエラー発生もFECにより訂正されるため、機器の脆弱性や劣化のサインも見過ごされる可能性があります。
このため、エラー増大や機器故障のサインに気が付かず運用を続け、最悪の場合突発的なリンクダウンなどネットワークに致命的な影響を与える恐れがあります。
400Gイーサネット通信におけるエラー測定
安定した400Gイーサネット通信を行うためには、100Gイーサネットまでで主流であったレイヤ2でのBER試験だけでなく、FEC訂正前のエラーの状態を定量的に測定することが重要です。
これにはCWあたりのFEC訂正されたシンボルエラーの発生数や発生分布を測定することが有効です。
MT1040AのFECシンボルエラー測定
MT1040Aはイーサネットフレームによる通信を行いながらFECシンボルエラーを視覚的かつ定量的に測定できます。さらに2種類の閾値設定や、任意のインターバルで結果を連続して保存でき、これにより安定性評価や他のイベントとの相関解析ができます。
MT1040A 自動試験ツールを使用したFEC測定
MT1040Aの対話型自動試験ツールSEEK(Scenario Edit Environment Kit)を用い、簡単に光モジュールの性能を検証できます。現地調整作業時の動作確認や、トラブル発生時の初期切り分けをMT1040A一台でカバーできます。
- わかりやすい対話型シーケンスにより現場作業を柔軟にサポート
- BER試験や光モジュール内部のワーニング/アラーム判定に加え、FEC性能評価に重要なシンボルエラー試験に対応
- 実行・結果・レポート出力まで自動実行
専用ソフトウェアMX100003Aにより、本シナリオの記述を閲覧、編集可能です。
このソフトウェアはMX100003Aダウンロードページよりダウンロードできます。
ネットワークマスタ プロ(400Gテスタ) MT1040Aについて詳しくはこちら