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業界初 WLAN測定器IEEE 802.11axで、すべてのデータレートでの信号品質評価が可能

2019/12/23
ネットワークモードによりIEEE 802.11axの測定課題を解決

mt8862a

アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、ワイヤレスコネクティビティテストセット MT8862Aの機能を拡充し、無線LAN(WLAN)の最新規格であるIEEE 802.11ax[※1]に対応したオプションを開発しました。12月23日から販売いたします。

MT8862Aは、WLAN機能を搭載した通信機器のRF評価用測定器であり、IEEE 802.11a/b/g/n/acに対応しています。さらに今回IEEE 802.11axに対応したことにより、MT8862Aは、ネットワークモードにて、現在使用されている主要なWLAN規格のすべてのデータレートで信号品質評価が可能な、業界初の測定器となりました。

本オプションを使用することにより、IEEE 802.11ax 搭載機器のRF評価を、ダイレクトモード[※2]ネットワークモード[※3]双方で行えます。ダイレクトモードによる短時間での評価に加え、ネットワークモードでは通信プロトコル[※4]を使用した実動作の状態で評価が行えます。

また、IEEE 802.11axでは、Single User方式[※5]Multi User方式[※6]という2つの伝送方式が用いられます。Single Userは従来の規格と同じ伝送方式(OFDM)でIEEE 802.11axのベースとなるモードです。WLANの信号品質はデータレートごとに特性が異なるため、データレートごとでの信号評価が非常に重要です。MT8862Aは11ax Single Userのデータレート含めて、主要なWLAN規格のすべてのデータレートで制御可能な唯一の測定器となります。

アンリツは、本オプションの開発により、IEEE 802.11ax搭載機器の品質向上に貢献いたします。

開発の背景

IoTの普及にともない、スマートフォンなどの携帯端末に加えて、プリンタやテレビなどの家電、車載機器、産業機器、センサー機器などでも急速にWLAN機能の搭載が進展しています。

その一方、多数のWLAN機器が密集した環境下では、WLANを接続するための空間リソースが不足し、つながりにくくなるという課題が発生しています。

この課題に対処するために、複数のWLAN機器から一つのアクセスポイントへの同時通信や通信効率向上などにより、空間リソース不足を解決するIEEE 802.11axの規格化が進んでいます。

IEEE 802.11axは2020年11月に標準化完了予定ですが、すでに5G搭載のスマートフォンやPC市場でも採用が始まっており、今後主要なWLAN規格となることが見込まれています。

これにともない、IEEE 802.11ax搭載機器の送受信性能を評価できる測定器の需要が急速に高まっています。

そこでアンリツは、MT8862Aの機能を拡充し、IEEE 802.11axに対応したWLAN機器の評価を可能としました。

製品概要

ワイヤレスコネクティビティテストセット MT8862Aは、WLAN搭載機器のRF評価用測定器です。

アンリツの特許技術により、業界で唯一、現在使用されている主要なWLAN規格であるIEEE 802.11ac/axのすべてのデータレートでRF評価が行えます。ネットワークモードとダイレクトモードに対応していることにより、WLAN搭載機器のRF送受信特性(送信電力、変調[※7]精度、受信感度など)のための測定環境を試験用途に合わせ、フレキシブルに提供します。

MT8862A についてもっと詳しく

主な特長

無線接続による簡単で正確な測定が可能
ネットワークモードでは、無線接続によるWLAN搭載機器の評価が可能です。これにより、ダイレクトモードでの評価で必要となる特殊コマンドによる搭載機器の制御や、制御線接続といった煩雑な作業が不要となるとともに、実動作の状態で評価できます。
ウェブブラウザからセットアップ完了
MT8862Aは、制御用PCとイーサネットケーブルで接続して操作します。PC上のウェブブラウザからのアクセスで測定画面が表示され、ソフトウェアやドライバのインストールなど測定環境の構築作業が不要です。また、MT8862Aと制御用PCを同一ネットワーク内に接続すすることにより、リモート制御も行えます。

対象市場・用途

対象市場
スマートフォン、IoT製品、スマート家電、自動車など WLAN搭載機器ベンダ
用途
WLAN搭載機器のRF送受信特性試験

用語解説

[※1] IEEE 802.11ax
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)で策定されたWLAN規格。理論上9.61 Gbpsの超高速通信を可能とする。
[※2] ダイレクトモード
テストモードとも呼ばれる、検査用の測定モード特殊コマンドによる搭載機器の制御のため物理的な制御線を接続して性能を試験する。
[※3] ネットワークモード
シグナリングモードとも呼ばれる、通信プロトコルを使用した実動作状態での測定モード。
[※4] 通信プロトコル
ネットワーク上でデータを通信するための手順や規約の集合のこと。
[※5] Single User方式
1チャネルの送信時に1ユーザ向けの無線信号を伝送する方式。
[※6] Multi User方式
1チャネルの送信時に複数ユーザ向けの無線信号をまとめて伝送する方式。
[※7] 変調
情報を電気信号に変換して電波に乗せるための処理。

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