MP2110Aサンプリングオシロスコープに内蔵可能な53Gbaudクロックリカバリの販売を開始
2019/12/20
100G/200G/400G PAM4光モジュールの開発・製造コスト削減に貢献
アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、BERTWave™ MP2110Aのサンプリングオシロスコープの機能を強化し、53Gbaud[※1]のPAM4[※2]光信号からトリガクロックを生成することができるクロックリカバリユニットオプションの販売を開始しました。
このクロックリカバリオプションは内蔵タイプであるため、外付けタイプよりも低価格であり、操作性も優れています。また、すでに販売しているオプションと組み合わせることで、様々なタイプのPAM4光モジュールを1台で評価することが可能です。
設備導入が活発なPAM4光モジュールの開発・製造でのコスト削減に貢献します。
開発の背景
5Gの本格普及を迎え、データ通信ネットワークの需要はますます高まる一方で、高速大容量のネットワークを従来と同様の低コストで構築することが求められています。この高速大容量ネットワークに使用される100G~400Gに対応した光モジュールでは、従来のNRZ[※3]方式に代わりPAM4方式の光信号が出力されます。
一方、信号の波形品質を評価するサンプリングオシロスコープではデータ信号に同期したトリガクロック信号が別途必要ですが、PAM4信号を出力する光モジュールではトリガ信号を用意できないケースが多くなってきています。このような場合、クロックリカバリを使用するとデータ信号からトリガ信号を生成することができますが、クロックリカバリの導入はコストが高くなるという課題がありました。
そこで、今回アンリツはMP2110Aのサンプリングオシロスコープに内蔵可能なクロックリカバリオプションを従来の26Gbaudに加えて53Gbaudのレートに対応することで、コストの低減を実現しました。
製品概要
BERTWave™ MP2110Aは、光波形評価に使用されるサンプリングオシロスコープと、ビットエラー率測定を行うBERTを1台に収容可能なプラットフォームです。オシロスコープ用クロックリカバリは、対応レートとシングルモード/マルチモードを選択し、追加することで多彩なシステムアップが可能です。
今回のオプション追加により現在IEEEで規格化が完了しているすべての種類のPAM4光モジュール評価を、外部のトリガクロックなしに1台で行うことが可能となりました。また4チャネルオシロスコープを選択すると複数のチャネルを一括で測定できるため、製造のスループットを改善することも可能です。
現場で必要な試験系を、柔軟に、かつ最適なコストで構築できます。

内蔵クロックリカバリユニットを利用したMP2110A測定ソリューション
BERTWave™ MP2110Aの特長
- 1/2/4チャネルのサンプリングオシロスコープとBERTを選択して搭載可能。
- サンプリングオシロスコープは世界最高レベルの高感度で26G NRZから53G PAM4までの光信号解析に対応。オプションでクロックリカバリを搭載可能。
- BERTはR&Dモデルと同等の波形品質・高感度。クロックリカバリ標準搭載。
- 内蔵PCによる安定した高速測定。
MP2110Aについてもっと詳しく
対象市場・用途
- 対象市場
- 光モジュールと光伝送装置の製造市場
- 用途
- データセンター、コアメトロネットワーク、4G/5Gモバイルバックホール、5Gモバイルフロントホールで利用される25G~400Gの光トランシーバモジュール、光ケーブルならびにそれら構成部品の物理層性能評価
- 伝送規格:Ethernet、eCPRI/RoE、CPRI、SDH/SONET、OTN、InfiniBand、Fibre Channel
- 光トランシーバモジュール:CFP2/4/8、SFP28、SFP56、QSFP28、QSFP56、OSFP、QSFP-DD
- ケーブル:Active Optical Cable(AOC)、Direct Attach Cable(DAC)
- デバイス:TOSA、ROSA、High-Speed Optical Engine、PHY、Driver IC
用語解説
- [※1] Gbaud
- Giga baudの略。baudは変調レートの単位。単位時間あたりの変調の回数として定義。
- [※2] PAM4
- Pulse Amplitude Modulationの略。振幅変調により伝送容量を向上させる方式。PAM4では、1タイムスロットの中に4レベルで2ビットの情報を伝達できる。
- [※3] NRZ
- Non Return to Zeroの略。デジタル信号を伝送する方式。