MP1900AでPCI Express 5.0 Base Specificationレシーバーテストを実現
2019/11/25
Gen1からGen5まで1台でサポート
アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、シグナル クオリティ アナライザ-R MP1900AシリーズのPCI Express[※1]テストソリューションを拡充し、Gen5のBase Specification[※2]に対応したストレスレシーバーテスト[※3]を自動で行うことができるソフトウェアを開発しました。11月25日から販売いたします。
今回開発したのは、オートメーションソフトウェアとBER[※4]測定ソフトウェアです。オートメーションソフトウェアは、BER測定器とオシロスコープで行われていたストレス信号の生成とそのキャリブレーション[※5]を自動化できます。BER測定ソフトウェアは、受信したSKP[※6]データを検出し、有効なデータのみのビットエラーを測定できます。
上記オプションを実装したMP1900Aとオシロスコープを組み合わせて使用することにより、PCI Express Gen5のBase Specificationに準拠したハイエンドサーバー、通信機器、高速電子デバイスなどのストレスレシーバーテストが、自動で行えます。
これまでマニュアル操作で一日以上かけて行われていた測定作業が数時間で完了し、かつ再現性の高いキャリブレーションが行えます。
また、MP1900Aは従来よりPCI Express Gen4までのテストに対応していましたので、今回、Gen5に対応したことにより、アップグレードなどの設備投資を抑制でき、コストパフォーマンスの高いPCI Expressテストソリューションを提供します。
アンリツはMP1900Aにより、PCI Express Gen 5.0の早期導入に貢献いたします。
開発の背景
5Gサービスにより膨大なデータ量を高速で通信することが可能になり、IoTやAI等の最新テクノロジーが急速に進むことが期待されています。
これらの技術革新の基幹となるデータセンタも、高速大容量のデータを処理する必要性がますます高まっています。
これにともない、データセンタ向けの伝送装置、サーバ、ストレージなどの内部インターフェースとして導入されているPCI Expressで、32GT/sの伝送速度を実現するBase Specification5.0(Gen5)の規格化が完了しました。
このため、Gen5に準拠した装置の開発が進められていますが、BER測定器とオシロスコープをマニュアルで操作する必要があり、測定に時間を要することが課題となっていました。
煩雑な設定も行わなければならず、測定作業の効率化が課題となっていました。
アンリツは、MP1900AでGen4まで対応したテストソリューションを提供してまいりましたが、お客さまの課題解決に貢献するため、さらに今回、Gen5のストレスレシーバーテストを自動化しました。
今後も規格・動向に応じて柔軟に測定機能を拡張していくことにより、ネットワークのさらなる高速・大容量化に貢献いたします。
シグナル クオリティ アナライザ-R MP1900Aの概要
シグナル クオリティ アナライザ-R MP1900Aシリーズは、200G/400G/800G Ethernetなどの次世代ネットワークインターフェースとPCI Express 4.0/5.0、USB3.2/4、Thunderboltなどの高速バスインターフェースの設計・検証で必要とされるマルチチャネルBER測定器です。
業界最高レベルとなる高品質波形(低残留ジッタ115 fs rms)のパルスパターン発生器と高感度(15mV)のエラー検出器、高精度のジッタ発生源(SJ、RJ、SSC、BUJ)、CM-I/DM-I/ホワイトノイズの発生源を搭載しています。Link Training機能、LTSSM[※7]解析に対応し、コンプライアンステスト、マージンテスト、トラブルシュートなど多岐にわたる用途で活用できます。
またデータセンタ内の200G/400G/800G Ethernetなどで使用される光モジュール、NICなどの機器のPAM4評価にも対応しており、PCI ExpressとHigh speed Ethernet向けのデバイス評価を1台でカバーし、さまざまな次世代インターフェース導入に向けたサポートと設備投資抑制に貢献いたします。
この製品をもっと詳しく
主な特長
- Gen1からGen5まで1台でサポート
- PCI Express 1.0(2.5 Gbit/s)から5.0(32 Gbit/s)までソフトウェアで拡張可能であり、お客さまの投資コスト低減に貢献します。
- マルチベンダのオシロスコープをサポート
- 複雑なレシーバーテストの測定手順を自動化するために使用されるリアルタイムオシロスコープは主要な3社に対応しているため、お客さまの既存設備を有効活用し、Gen5までの対応が可能。
対象市場・用途
- 対象市場:ハイエンドサーバー、通信機器
- 用途:高速電子デバイス、メモリカード、グラフィックカードなどの研究・開発
用語解説
- [※1] PCI Express
- コンピュータと周辺機器を接続するためのバス規格の一つ。伝送速度により、Gen1からGen5まで規格化されている。
- [※2] Base Specification
- PCI-Expressの規格団体であるPCI-SIGにより規定された、PCI-Express対応製品が持つべき基本となる規格を定めた規格書。
- [※3] ストレスレシーバーテスト
- ジッタ、ノイズなどのストレスが加えられた信号の受信耐力を確認するテスト。
- [※4] BER
- BERはBit Error Rateの略。受信されたデジタル・データのビット列の中に含まれる、誤ったビットの比率。
- [※5] キャリブレーション
- テスト規格で規定された測定方法従い、測定器の送信信号を規格の範囲に合わせること。
- [※6] SKP Filter
- レシーバーテストにおいて、測定対象とならないSymbol。
- [※7] LTSSM
- Link Training Status State Machineの略。PCI Expressでリンク状態を管理するための機構。
連絡先
アンリツ株式会社
コーポレートコミュニケーション部 瀬戸上 大介
TEL:046(296)6671