基地局シミュレータで次世代自動緊急通報システムNG-eCallに対応
2019/07/01
eCall over LTE(NG-eCall)に対応した車載機器の評価を実現
アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、基地局シミュレータ/シグナリングテスタ MD8475A/MD8475BとeCall Tester MX703330Eを組み合わせた自動車向け緊急通報システム eCall[※1]試験ソリューションを拡張し、NG112 LTE eCallオプションを開発しました。
本オプションを使用することにより、次世代のeCall over LTE(NG-eCall)に対応した車載機器の評価が行えます。
NG-eCall対応の背景
eCallは、事故が発生した際に、緊急連絡センター(PSAP[※2])に緊急呼接続を行い、事故情報を音声信号で送信するシステムであり、早期通報による救命率の向上や重症化の防止が期待されています。欧州連合(EU)では、すべての新型車へのeCallシステム装備が2018年3月31日から義務化され、各国で導入が本格化しています。
これまでのeCallシステムはETSI[※3]規格とCEN[※4]規格に基づいており、2G GSM、3G UMTSネットワークでeCallデータ(MSD)を伝送します。
その一方で、欧州の通信事業者は、今後10年間でGSMネットワークとUMTSネットワークのサポートを段階的に廃止し、4G LTEおよび5Gインフラへ移行することを表明しています。
eCallシステムもこの取り組みに従い、4G LTEおよび5Gを使用した次世代緊急通報システム“NG-eCall”の開発が進展しています。
製品概要
シグナリングテスタ MD8475A/MD8475Bは、eCallが運用されるモバイルネットワークを擬似的に構築できる基地局シミュレータです。eCall Tester MX703330Eは、eCall車載器とPSAP間の通信シーケンスをエミュレートできるソフトウェアです。
MD8475A/BとMX703330Eを組み合わせることにより、EN 16454:2015標準に準拠したeCall試験が行え、かつ型式認定用システムとして使用できます。
MX703330Eに、今回開発したNG112 LTE eCallオプションを追加することにより、RFC8147[※5]で定義されるNG-eCall機能試験およびエンドツーエンドでの音声評価が、疑似的なLTEネットワークで行えます。eCall搭載のテレマティクスユニットは、LTE-Advanced通信方式の普及により大容量化が加速しています。
アンリツは業界初、ギガビットLTEのシミュレーションおよびNG-eCall IVSの評価をシグナリングテスタ MD8475B一台で実現し、テレマティクス総合試験の効率化と試験コストの低減に貢献します。
基地局シミュレータ MD8475BとeCall Solutionについてもっと詳しく
用語解説
- [※1] eCall
- 無線通信ネットワークを用いて、重大な自動車事故の発生時に緊急通報を行うシステム。事故発生時の緊急対応の迅速化などの効果が期待されている。
- [※2] PSAP
- Public Safety Answering Pointの略称。eCallシステムの緊急連絡センター。
- [※3] ETSI
- 欧州電気通信標準化機構
- [※4] CEN
- 欧州標準化委員会
- [※5] RFC8147
- IETFの次世代汎欧eCallに関する規格。