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IP放送方式の回線品質評価

2018年12月から新4K/8K衛星放送サービスが開始されました。2020年までに、4K/8Kあわせて19チャネル(CH)の放送番組が提供される予定です。これらの番組を再放送する場合、ケーブルテレビ事業者が新たなCH用に帯域を割り振る必要があります。従来の同軸ケーブルを使用したRF方式では、CHごとに周波数帯域を割り振っているため、使用中の帯域に加え、新たなCHのために、帯域を確保することが課題となっております。これは、IP(Internet Protocol)を使用したFTTH方式へ移行することにより、解消されます。

FTTH方式では、映像をIPで伝送ができるため、周波数帯域に制限されることなく、伝送容量を増やすことができます。IPを使用した、再放送サービスを行う場合、IPマルチキャストを使用した伝送方式(IP放送方式)が使われます。

IP放送方式の規定

このようなIP放送方式を使用した映像配信サービスの需要が高まる中、総務省では、IP放送方式の伝送品質を明確にすべく、「有線一般放送の品質に関する技術基準を定める省令(平成二十三年総務省令第九十五号)」が改正され、伝送品質基準が追加されました。この改正は2019年1月22日から施行されています。
総務省:http://www.soumu.go.jp/menu_hourei/s_shourei.html

IP放送方式の品質基準は、「有線一般放送の品質に関する技術基準を定める省令」の以下の条項に記載されています。

条項 項目 内容
第23条 総合品質 パケット損失率 1 x 10-7 以下
第24条 ネットワーク品質 パケット平均遅延時間 1,000 ms 以下
パケットジッタ 100 ms 以下
IP放送方式
「4K・8K時代に向けたケーブルテレビの映像配信の在り方 ~ケーブルテレビにかかるIP放送の制度化~」(総務省)www.soumu.go.jp/main_content/000588963.pdfを加工して作成

第23条、第24条は、いずれもヘッドエンドから受信者端子までの区間での品質基準を規定しています。

新たに、有線一般放送に参入する事業者で且つ、IP放送サービスを提供する事業者は、総務省へ登録申請を行う際、これらの伝送品質の測定結果を添付することが必要です。
総務省:有線一般放送参入等マニュアル
http://www.soumu.go.jp/soutsu/kanto/bc/catv-sannyu/catv-sannyu.html
登録申請書【別表第三十一号(第134条関係)】 別紙2の2(別表第三十一号関係)の(19)項 を参照

測定手法については、当省令では明確にされていません。これらの測定手法については、一般社団法人日本ケーブルラボ様が策定されたJLabs SPEC-040 IP放送品質測定運用仕様に記載されており、日本ケーブルラボ様のWebサイトから入手できます。
一般社団法人 日本ケーブルラボ 様サイト:http://www.jlabs.or.jp/material

アンリツのIP放送方式評価ソリューション

JLabs SPEC-040 IP放送品質測定運用仕様では、ネットワークマスタ プロ MT1000Aを使用した測定方法が記載されています。

アンリツMT1000Aを使ったIP放送方式評価ソリューション

IP放送方式の試験手順

測定は、ヘッドエンド局と、加入者宅にMT1000Aを接続し、以下の手順で行います。

  1. ヘッドエンド局、加入者宅のそれぞれのMT1000AにGPSレシーバを接続し、時刻同期を行います。
  2. ヘッドエンド局に接続したMT1000Aから測定用のIPマルチキャストストリームを送信します。IPマルチキャストストリームは、マルチキャストルータまで伝送されます。
  3. 加入者宅に接続したMT1000Aから、IGMPにてマルチキャストルータにJoinを送信します。これにより、ヘッドエンド局側のMT1000Aから送信したIPマルチキャストストリームが加入者宅まで伝送されます。
  4. 加入者宅側のMT1000Aで、パケット損失率、遅延時間、パケットジッタの測定を行います。
アンリツMT1000Aのパケットジッタ統計値画面
パケットジッタ統計値画面
アンリツMT1000Aのパケットジッタ時系列変動画面
パケットジッタ時系列変動画面

これらの品質測定は、登録申請時に必須となっておりますが、「JLabs SPEC-040 IP放送品質測定運用仕様」では、トポロジー変更時や、経年劣化などによる機器の故障、線路の問題により、品質が劣化することも考慮し、運用中でも1年に1回以上の測定を推奨しています。

自動試験による効率的な評価

上記の評価のように定期的な測定を効率的に行うため、MT1000Aには自動試験機能を標準搭載しています。実施する試験内容を試験シナリオとして作成し、現場で試験シナリオを実行することにより、試験を自動で実施できます。

パケット損失率測定シナリオ例

a)ヘッドエンド局側

アンリツMT1000A、パケット損失率測定シナリオ例(ヘッドエンド局側)

b)加入者宅側

アンリツMT1000Aパケット損失率測定シナリオ例(加入者宅側)

パケットジッタ、パケット平均遅延時間測定シナリオ例

a)ヘッドエンド局側

アンリツMT1000A、パケットジッタ、パケット平均遅延時間測定シナリオ例(ヘッドエンド局側)

b)加入者宅側

アンリツMT1000A、パケットジッタ、パケット平均遅延時間測定シナリオ例(加入者宅側)

この機能を使用すると、メッセージダイアログの表示や自動で合否判定もできますので、マニュアルレス化による試験時間の短縮や、複数のパラメータ設定、複雑な操作を自動で行うため、操作ミス、判定ミスを低減し、測定する工事または保守担当者の負担を軽減できます。

ケーブルテレビネットワークの評価を1台で対応

ネットワークマスタ プロ MT1000Aは10GマルチレートモジュールMU100010Aと100GマルチレートモジュールMU100011Aをラインナップし、10M~100GまでのEthernet、100G OTNやFC、CPRI、SDH/SONETなどの通信規格をサポートしています。また、光ファイバの劣化や断線の評価が可能なOTDRモジュールも同時に実装できます。 このため、1台のMT1000Aがあれば、あらゆるIP放送における試験に対応できます。

アンリツMT1000A測定モジュールのラインナップ

資料ダウンロード(リーフレット)

IP 放送方式の伝送品質評価に対応(リーフレット)

IP 放送方式の伝送品質評価に対応
IGMPv1/v2/v3、MLDv1/v2 ホストエミュレーションに対応
[全2ページ、Ver.1.00、2019年7月掲載、0.76 MB]
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