Compute Express Link® (CXL®)
メインメモリとデバイス間のキャッシュコヒーレンシを実現
Compute Express Link®(CXL®)は、PCI Express®(PCIe®)をベースとした高速インタコネクト規格であり、CPU・GPU・AIアクセラレータなどのデバイス間でデータの整合性を維持しながら高速な転送を実現します。CXLは、メインメモリのデータと各デバイスが保持するキャッシュの内容を常に一致した状態に保つキャッシュコヒーレンシ機能を提供します。これにより、従来のPCIe接続で必要だった同期処理のオーバーヘッドを削減し、CPU負荷の軽減やレイテンシの低減を通じてシステム全体の性能向上を実現します。
Compute Express Link®、CXL®は、Compute Express Link Consortiumの登録商標です。
PCI Express®、PCIe®は、PCI-SIGの登録商標です。
CXLデバイスの試験課題
課題 1: リンクトレーニング不具合の再現と原因特定
CXLデバイスの開発では、ホストプラットフォームとの接続時に、リンクトレーニングを通じて期待する転送速度やレーン構成で正常にリンクアップすることの確認が必要です。リンクトレーニングとは、デバイスとホスト間で転送速度、レーン構成などを決定し、イコライゼーションを実行しながらPCIeまたはCXLリンクを確立するためのシーケンスです。
しかし、開発中にはリンクアップに失敗する、想定した転送速度でリンクが確立しない、あるいは特定条件下でリンクが不安定になるといった問題が発生することがあります。これらの問題の原因を特定するためには現象の再現が不可欠ですが、実際のホストプラットフォームでは発生条件を意図的に再現することが難しく、問題発生箇所の切り分けに多くの時間を要する場合があります。結果として、デバッグ工数の増加や、開発スケジュールへの影響が課題となるケースがあります。
課題 2: ノイズ耐性・ジッタ耐性評価の困難さ
CXLでは、広帯域かつ低レイテンシなデータ転送を実現するため、ノイズやジッタによる信号品質の劣化がデータ伝送品質に与える影響を十分に評価することが重要です。特に実際のシステムでは、キャッシュコヒーレンシに伴う高負荷トラフィックが継続的に発生するため、こうした実動作条件で十分なデータ転送マージンを確保できていることを確認する必要があります。
このため、ノイズやジッタといったストレス量を意図的に印加し、デバイスが許容できるノイズ/ジッタマージンを評価することは重要です。しかし、規格に準拠した一般的な試験環境では、試験環境の設備や時間的な制約から、信号ノイズやジッタといったストレス量を印加するなど、実際の使用環境を模擬した条件での十分な評価は実施できないことがあります。その結果、開発段階で潜在的な信号品質問題を顕在化できず、市場投入後に性能低下が発生し、製品の信頼性へ影響を及ぼす可能性があります。
CXLデバイステストソリューション
ソリューション 1: リンクトレーニング条件を制御し問題を再現
アンリツのシグナルクオリティアナライザ-R MP1900Aに実装されるSequence Editor Functionは、リンクトレーニング条件を制御し、異常状態を意図的に再現できます。
Sequence Editor Functionは高速デジタルインタフェース向けのテストパターンおよびシーケンスを柔軟に構築できるソフトウェアです。リンクトレーニングシーケンス中のトレーニングパターンや送信回数を変更できるほか、ループ処理やブレークポイントの設定にも対応しています。これにより、実際のホストプラットフォームでは再現が難しい特定の通信条件や異常状態を意図的に発生させながら、デバイスの動作を詳細に検証できます。さらに、正常動作時と異常発生時の条件を比較しながら評価できるため、問題発生箇所の切り分けや原因特定を効率化できます。これにより、問題発生箇所の特定を加速し、デバッグ工数の削減と開発期間の短縮に貢献します。
リーフレット:
Sequence Editor ソリューション
ソリューション 2: 高負荷トラフィック下でのノイズ・ジッタマージンの定量評価
アンリツのMP1900Aに実装されるSequence Editor Functionは、CXL通信を模擬するテストシーケンスを作成できます。MP1900Aは、このシーケンスに従って高負荷なトラフィック状態を再現するとともに、ノイズやジッタを定量的に印加することができます。
これにより、実際のシステムに近い動作条件で、デバイスが許容可能なノイズ/ジッタマージンを効率的に評価できます。また、マルチレーンシナリオにも対応しており、複数レーンを用いたCXL通信やレーン間スキューに対する耐性評価も可能です。
MP1900AとSequence Editor Functionを組み合わせることで、従来は実施が難しかった高負荷トラフィック環境下でのストレス試験を実現します。これにより、市場投入後の通信不安定や性能低下のリスク低減に貢献します。