全地球航法衛星システム(GNSS)受信機能を搭載した製品の受信試験に対応:MG3710E

ベクトル信号発生器MG3710Eは周波数上限6GHz、RF変調帯域幅160MHzのベースバンド発生器を内蔵し、無線LANや、LTE等のモバイル通信、デジタル放送などさまざまな変調信号の出力ができます。そのなかで、全地球航法衛星システム(GNSS)の信号出力にも標準で対応しています。
各信号の出力には、それぞれに対応した波形パターンが必要です。
全地球航法衛星システム(GNSS)信号用の波形パターンはGPS、QZSS、GLONASSに対応しており、それらの受信機能を搭載した製品の受信試験に使用することができます。
機能
- 周波数範囲
100kHz ~ 2.7GHz/4GHz/6GHz
- 出力レベル設定範囲
–144dBm ~ +30dBm(オプション含む)
- 出力信号
GNSS信号(GPS、QZSS、GLONASS)に標準で対応
GNSS以外にも様々な変調信号の出力に対応
MG3710Eの接続例

GNSS波形パターン(標準搭載)
下表にある波形パターンを用意しています。
これらの波形パターンを選択することにより、変調信号を出力することができます。
GPS
- Satellite ID Number は1のみです。
- MG3710Eは、GPS受信感度試験用の妨害波として、AWGNや三角波、矩形波も出力できます。
主な用途 |
波形パターン名 |
概要 |
同期調整 |
SYNC_ADJ |
- A-GPS受信機能付きモバイル端末の同期調整用
- GLOBAL POSITIONING SYSTEM STANDARD POSITIONING SERVICE SIGNAL SPECIFICATIONで規定されたサブフレーム構成に基づきフォーマットされたTLM、HOWおよびデフォルトナビゲーションデータ
- 1サブフレームを1周期とする
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DATA0、DATA1、DATA10、DATA1c |
- 上記SYNC_ADJと組み合わせて使用するデータ信号
- TLMとHOWの1, 0のビットはそれぞれDATA0、DATA1が使用される。ただし、先頭ビットのみDATA1cが使用される
- Navigation Dataの1, 0のビットはDATA10が使用される
- SYNC_ADJにはDATA0、DATA1、DATA10、DATA1cを出力する順番や繰り返し回数が定義されており、SYNC_ADJを呼び出して使用する
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感度テスト |
TLM |
- GPS受信機の受信感度測定、動作確認用
- GLOBAL POSITIONING SYSTEM STANDARD POSITIONING SERVICE SIGNAL SPECIFICATIONで規定されたサブフレーム構成に基づきフォーマットされたTLM、HOWおよびデフォルトナビゲーションデータ
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TLM_PARITY |
- GPS受信機の受信感度測定用
- GLOBAL POSITIONING SYSTEM STANDARD POSITIONING SERVICE SIGNAL SPECIFICATIONで規定されたサブフレーム構成に基づきフォーマットされたTLM、HOWおよびNav Data
- すべてのWordにCRCが必要な受信機用
- Word3~Word10のNav Data部分にはランダムデータが挿入される
- 5サブフレームを1周期とする
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BER測定 |
PN9 |
- GPS受信機のBER測定用
- サブフレーム フォーマットなしのPN9連続データ
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パリティ検出 |
PARITY |
- GPS受信機のパリティ検出用
- GLOBAL POSITIONING SYSTEM STANDARD POSITIONING SERVICE SIGNAL SPECIFICATIONで規定されたWordフォーマット
- 10Wordの繰り返しで、1Wordは24ビットのPN9fixデータと6ビットのパリティビットからなる
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QZSS
- 準天頂衛星「みちびき」対応(L1-C/A)
- Satellite ID Number は193のみです。
主な用途 |
波形パターン名 |
概要 |
感度テスト |
DefaultNavData |
- QZSSの受信機能を備えたGPS受信機の受信感度測定用
- Global Positioning System(GPS)Standard Positioning Service(SPS)Signal Specificationで規定されたサブフレーム構成に基づきフォーマットされたTLM、HOW、およびデフォルトナビゲーションデータ
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パリティ検出 |
ENC |
- QZSSの受信機能を備えたGPS受信機のパリティ検出用
- Global Positioning System Standard Positioning Service Signal Specificationで規定されたワードフォーマット
- 1ワードは、24ビットのPN9fixデータと6ビットのパリティビットからなる
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PARITY |
- QZSSの受信機能を備えたGPS受信機のパリティ検出用
- Global Positioning System Standard Positioning Service Signal Specificationで規定されたワードフォーマット
- 1ワードは、24ビットのランダムデータと6ビットのパリティビットからなる
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BER測定 |
QZSS_PN9 |
- QZSS 受信機能を備えたGPS受信機のBER測定用
- サブフレーム フォーマットなしのPN9連続データ
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GLONASS
主な用途 |
波形パターン名 |
概要 |
感度テスト
Check Bit検出 |
15String_Message
15String_PN9 |
- GLONASS受信機の受信感度測定、Check Bit検出用
- Global Navigation Satellite System(GLONASS)Interface Control Documentで規定されるString Structureに従う
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BER測定 |
GLONASS_PN9 |
- GLONASS受信機のBER測定用
- String、フレーム フォーマットなしのPN9連続データ
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その他の対応波形パターン
MG3710Eは無線LANや、LTE等のモバイル通信、デジタル放送などさまざまな変調信号も出力できますので、それらの受信機能とGPS、QZSS、GLONASS受信機能を搭載した製品の評価を、複数の信号発生器を使用せず1台のMG3710Eで行うことができます。
また、1台のMG3710Eに2つの出力ポートを搭載でき、片方のポートを希望波出力用、片方のポートを妨害波出力用として使用することもできます。
詳細は末尾の各種資料のリンクからご参照ください。
オーダリング インフォメーション
形名 |
品名 |
備考 |
MG3710E |
ベクトル信号発生器 |
本体
基準発振器:エージングレート ±1 × 10–6 /年、±1 × 10–7 /日
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MG3710E-001 |
ルビジウム基準発振器 |
必要によりいずれかを選択
MG3710E-001:エージングレート ±1 × 10–10 /月
MG3710E-002:エージングレート ±1 × 10–7 /年、±1 × 10–8 /日
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MG3710E-002 |
高安定基準発振器 |
MG3710E-032 |
1stRF 100kHz~2.7GHz |
GNSS受信試験はMG3710E-032で可能
オプション034、036も選択可能 |
MG3710E-034 |
1stRF 100kHz~4GHz |
MG3710E-036 |
1stRF 100kHz~6GHz |
MG3710E-041 |
1stRF ハイパワー拡張 |
必要により選択
信号出力の設定範囲の上限を拡張
レベル設定範囲:上限 +30dBm(標準 +17dBm) |
MG3710E-042 |
1stRF ローパワー拡張 |
GNSS受信試験に必要
信号出力の設定範囲の下限を拡張
レベル設定範囲:下限 –144dBm(標準 –110dBm) |
MG3710E-045 |
1stRF ARBメモリ拡張 256Mサンプル |
GPS:TLM_PARITY、QZSS:ENCの波形パターンを出力するときに必要
標準のARBメモリサイズ 64Mサンプル(256MB)を128Mサンプル(512MB)に拡張 |
ベクトル信号発生器 MG3710Eについてさらに詳しく
波形のフォーマットや注意事項などの詳細を、下記のカタログおよび取扱説明書に掲載しています。
あわせてご参照ください。