MT8000Aの5G NR試験カバレッジを拡張する新RFモジュールを開発
2022/01/21
5GデバイスのキャリアアグリゲーションやNR-DC試験に業界で初めて1台の測定器で対応可能に
アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、ラジオ コミュニケーション テストステーション MT8000Aの新たなハードウェアオプションとして、試験カバレッジを拡張した0.4-7.125GHz Enhanced RF Module MT8000A-033を開発しました。1月21日より販売を開始します。
本製品は、MT8000A用の新たなRFモジュールです。MT8000Aのモジュラーアーキテクチャを生かして、既存のMT8000Aについてもアップグレードすることで機能の拡張が可能です。
最大16Tx/8RxのRF送受信機を内蔵し、5G 4x4 MIMO SA[※1]の4バンド以上のキャリアアグリゲーションや、FR1[※2]コンポーネントキャリアとFR2[※3]コンポーネントキャリアを相互接続して広帯域化を実現するNR-DC(New Radio Dual Connectivity)、複雑化するアップリンク試験など、開発段階で必要とされる各種試験に、業界で初めて1台の測定器で対応しました。
さらに、現在サービス運用されているFR1の周波数帯に加えて、今後の5G NR周波数帯のトレンドとなるNR-UやLicensed 6GHzなどの周波数帯域にも幅広く対応します。これにより、さまざまな周波数帯が組み合わさった無線通信試験に柔軟に対応できます。5Gの複雑な試験に対して、お客さまの試験手順の効率化や、開発環境への設備投資の最適化に貢献いたします。
製品概要
ラジオ コミュニケーション テストステーション MT8000A
MT8000Aは、RF試験[※4]、プロトコル試験[※5]、アプリケーション動作試験、ビーム検証およびビーム特性評価を1台でサポートできるプラットフォームです。5Gチップセットや端末の開発に必要とされるNSA[※6]およびSAの基地局シミュレーション機能をサポートするほか、600MHz、2.5GHz、3.5GHz、4.5GHz、6GHz unlicensed bandなどのFR1周波数から24GHz、28GHz、39GHz、43GHzなどのFR2周波数まで、5Gサービスで利用される全ての周波数帯に対応します。
加えて、FR1での4x4 MIMO[※7]やFR2での8CC[※8]、256QAMといった通信高速化でニーズの高い機能や最新技術の3GPP Release16にも対応しています。
さらに、さまざまな試験パラメータの設定が可能なソフトウェアなど操作性に優れたユーザインタフェースを提供します。測定モジュール構成を複数パターン用意しているため、柔軟で効率的な試験環境を構築でき、将来にわたりお客さまの多様な試験ニーズに使用・拡張いただくことができます。
MT8000Aについてもっと詳しく
用語解説
- [※1] SA
- Standaloneの略。4G回線との相互接続はせず、5G回線のみでU-Plane(User Plane:ユーザーデータ信号)、C-Plane(Control Plane:制御信号)の両方の通信を行う技術。URLLC(Ultra Reliability, Low latency Communication = 超高信頼・低遅延通信)などの5Gの特長を最大限にサポートしている通信方式。
- [※2] FR1
- FR1(Frequency Range 1)は、5G NRで運用される600MHz - 7.125GHzの周波数帯。
- [※3] FR2
- FR2(Frequency Range 2)は、5G NRで運用されるミリ波の周波数帯。
- [※4] RF試験
- 携帯端末の無線送受信特性、パフォーマンスなどを確認するための試験。
- [※5] プロトコル試験
- 携帯端末と基地局間の通信手順が、規格に適合していることを確認するための試験。
- [※6] NSA
- Non-Standaloneの略。4G回線でC-Plane通信を行い、5G回線でU-Planeに特化して通信を行うネットワークで、3GPP Release 15で定義されている通信方式。
- [※7] 4x4 MIMO
- MIMOは、Multiple Input Multiple Outputの略であり、複数アンテナを使用して同時にデータを送受信し、データ通信の高速化を図った技術のこと。4x4 MIMOは、送信用、受信用で各4本のアンテナを使用したもの。
- [※8] 8CC
- CCはComponent Carrier(コンポーネントキャリア)の略であり、複数の帯域を束ねて通信速度を高速化する技術(キャリアアグリゲーション)における通信周波数帯域の単位。8CCは8つのコンポーネントキャリアを束ねて通信する。