5G基地局向けRF試験ソフトウェアを販売開始
2021/09/29
5G基地局の量産に貢献するRF試験の効率化を実現
アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、ラジオ コミュニケーション テストステーション MT8000Aの機能を拡充する、5G基地局のノンシグナリング[※1]RF試験用ソフトウェアを2種類開発しました。9月29日から販売いたします。
MT8000Aは、これまで5G無線機・デバイスのRF試験、プロトコル試験、その他機能試験を1台でサポートできるプラットフォームとして、グローバルに採用されています。
今回開発したソフトウェアは、3GPP TS38.141に基づく5G基地局の送信試験用ダウンリンク[※2]信号の測定と受信試験用アップリンク[※3]信号の生成が行えます。さらに、FR1とFR2の両方で最大4つの送受信RFポートを搭載し、これらを同時に利用した並行測定により、試験効率の向上に役立ちます。
アンリツは、5G基地局の多数アンテナ測定に対応し、主要なRF測定項目を1台で実現する計測ソリューションの提供により、5G基地局量産時の生産性向上とコスト削減に貢献します。
開発の背景
5Gサービスの本格的な拡大にともなって、5G基地局の生産数が増加し、その種類も多様化する傾向にあります。基地局は対応する周波数帯ごとに設計され、性能調整の方法や試験仕様が異なります。基地局に搭載されるアンテナ数(RFポート数)も増えつつあり、試験時間は長くなる傾向があります。
また、市場の動向や需要によって生産する基地局の種類や量は変動する一方で、コスト削減の圧力は高まっています。こうした中、基地局の製造ラインでは柔軟な検査設備の構築と試験コストの削減、試験時間の短縮が課題となっています。
この課題を解決するためにアンリツは、MT8000Aの機能拡充をおこない、FR1とFR2のそれぞれに複数のRF送受信ポートを備えることで5G基地局の効率的なRF試験を実現しました。
製品概要と特長
Base Station Test Suite for NR mmWave MX800045A
28 GHzや39 GHzなどのFR2 5G基地局の製造用RF試験ソフトウェア
Base Station Test Suite for NR sub-6GHz MX800046A
2.5 GHz、3.5 GHz、4.5 GHzなどのFR1 5G基地局の製造用RF試験ソフトウェア
- 参照規格:3GPP TS38.141-1
送信試験:送信電力、周波数エラー、EVM、TAE、隣接チャネル漏洩電力比、OBUE
受信試験:受信感度
MX800045A/MX800046A共通
5G基地局試験の効率化に貢献する機能を多数搭載
- 測定結果やパラメータを直感的に理解できる、使い易いGUIをサポートしています。
- 1回のRF信号キャプチャ(測定実行)で複数の送信項目を解析し、結果を取得できます。
- 複数のコンポーネントキャリア信号を広帯域幅で一括キャプチャし、測定できます。
- 最大4つの送受信ポートを使った同時・並列測定ができます。
対象市場・用途
- 対象市場
- 基地局ベンダ、通信機器モジュールベンダ
- 用途
- 5G基地局の無線装置(RU:Radio Unit)のRF信号送受信試験・製造検査
用語解説
- [※1] ノンシグナリング
- 無線機のRFテストにおいて、無線機および測定器の設定を無線通信(シグナリング)で行わず、外部PCから直接制御する方法。
- [※2] ダウンリンク
- 基地局から端末に向けて送信される無線信号。
- [※3] アップリンク
- 端末から基地局に向けて送信される無線信号。
- [※4] EVM
- Error Vector Magnitudeの略。測定しているデジタル変調信号が、理想信号に対してどのくらいの誤差を持つのかを表した指標。
- [※5] TAE
- Time Alignment Errorの略。5G NR基地局から送信される5G NR信号のタイミング差。複数のアンテナポートを持つ基地局において、各アンテナポート間の信号送信タイミングが一定のタイミング差の範囲に収まることを確認する。
- [※6] 隣接チャネル漏洩電力比
- 搬送波の送信電力を基準とし、隣接する通信チャネルに漏洩する電力の比。
- [※7] OBUE
- Operating Band Unwanted Emissionsの略。5G NR基地局が運用される周波数帯域内に発射される不要波の電力を測定する。