MT1000AでPTPワンダ測定による時刻同期の揺らぎ評価を実現
2021/09/28
5Gモバイルネットワークの開通・保守に必要な時刻同期測定機能を強化
アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、100 Gbpsまで対応した業界最小クラスの測定器、ネットワークマスタ プロ MT1000Aに、PTP[※1]網における時刻同期エラーのワンダ測定機能を搭載し、10 Hzより低い周波数の揺らぎ成分の評価を実現しました。
5Gネットワークでは、自動運転、スマートファクトリーや遠隔医療など、さまざまな産業に関わるサービスの実現が期待されており、通信のリアルタイム性が重要となります。PTPワンダは、時刻同期が長期間に安定していることを示す尺度です。MT1000Aが提供する同期測定機能により、5Gネットワークの品質保証に貢献してまいります。
開発の背景
5G(第5世代通信システム)は、「超高速」「高信頼・低遅延」「多数同時接続」といったさまざまなシナリオに対応するネットワークとして普及が進んでいます。
この中でも高信頼・低遅延通信は、自動運転、スマートファクトリーや遠隔医療といったさまざまな産業を横断するユースケースを実現するための重要な技術になります。
これらミッションクリティカルな技術を使ったアプリケーションでは、機器同士が高速かつリアルタイムに連携するため、通信の伝送遅延を小さくすることが重要となりますが、加えてそれぞれの機器の時刻が正確に同期している必要があります。
また、低遅延通信を実現するためには5Gネットワーク内でのMEC[※2]アーキテクチャのサポートが必須になり、各サイトに配置されるMECシステム間の連携を実現するためにも時刻同期は非常に重要な技術となります。
時刻同期の実現はSyncE[※3]、PTPと呼ばれる技術をネットワークに適用しますが、これらの技術を使って同期を高精度・高安定に保つことが、オペレータやサービスプロバイダが提供する高信頼・低遅延通信を生かしたサービスの品質保証に繋がります。
アンリツはSDH/SONETの時代からトランスポートネットワーク向けに揺らぎを測定するジッタ・ワンダ測定機能を搭載し、コア・メトロネットワークの発展に寄与してまいりました。
この経験と技術をもとに、MT1000Aの時刻同期測定にタイムエラーのPTPワンダ測定を追加しました。ワンダを測定することにより、長期間の同期の安定性を定量的に評価することが可能です。さらに、PTS[※4]と呼ばれる新しい時刻同期ネットワークの測定にも対応しているため、お客さまのサービス品質保証により広く貢献いたします。
製品概要

MU100090BはGPS、QZSS(みちびき)、Galileo、GLONASSおよびBeidouに対応したGNSS[※5]同期発振器です。各衛星測位システムからの信号を受信し、UTCとトレーサビリティのある基準時刻および10 MHz周波数信号を出力します。この基準タイミングを、最大25 GbpsまでのSyncE、PTP試験をサポートするポータブル測定器MT1000Aに供給し、ネットワークの時刻同期精度を測定します。
またソフトウェアオプションSyncEワンダ MU100011A-021とMU100090Bを組み合わせることにより、ネットワークが供給するEthernet回線の周波数精度をITU-T規格に従って合否判定することができます。
さらにMX109020A Site Over Remote Accessを組み合わせることにより、遠く離れた複数のサイトに置かれたMT1000Aを中央局から一括して遠隔操作・監視することができます。これにより同期障害が発生している個所をすばやく特定することができます。
MT1000Aについてもっと詳しく
対象市場・用途
- 対象市場
- 通信事業者、通信ネットワーク工事会社、通信装置ベンダ、MECサービス事業者
- 用途
- 通信ネットワークの開通・保守・トラブルシューティング、通信装置の簡易評価、サービス品質検証
用語解説
- [※1] PTP
- Precision Time Protocolの略。機器間の時計を合わせるためにIEEE1588v2規格で規定されたプロトコルで、ナノ秒レベルの精度で時刻同期することができる。
- [※2] MEC
- Multi-access Edge Computingの略。インターネット経由でアクセスするクラウドサーバーを、サービス消費者の最寄りの場所に一時的に配備することで超低遅延を実現するための技術。
- [※3] SyncE
- Synchronous Ethernet(同期イーサネット)とも呼ばれ、非同期網のイーサネットに対して、通信品質を向上させるために、ITU-Tが規格化した周波数同期に関する規定。
- [※4] PTS
- Partial Timing Supportの略。PTPによる時刻同期アーキテクチャの一形態で、ネットワークの一部にPTPに対応していない機器を含む場合を想定。ITU-T G.8275.2でプロファイルが規定される。
- [※5] GNSS
- Global Navigation Satellite Systemの略。人工衛星を用いた測位システムであり、GPSは米国の運用するGNSSのひとつ。欧州の運用するGalileo、ロシアの運用するGLONASS、中国の運用するBeidouのほかに日本の運用する準天頂衛星システム(QZSS; みちびき)などがある。