アンリツがスパイレント社と協業し、世界初の5G動画品質評価ソリューションを実現
2021/03/09
5Gデバイスの動画品質評価の効率向上に貢献
アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、米国Spirent Communications Inc.(本社︓カリフォルニア州サンノゼ、以下スパイレント社)との協業により、5G端末における動画品質評価ソリューションを実現したことをお知らせします。
ラジオ コミュニケーション テストステーション MT8000Aと制御ソフトウェアSmartStudio NR MX800070Aで5Gの擬似通信環境を構築してインターネット上のアプリケーションサーバを使用し、スパイレント社の動画品質評価システム Umetrix Videoを用いて5G端末における動画品質をラボ環境で評価することが可能となりました。
アンリツとスパイレント社は、モバイル通信における動画コンテンツの動画品質評価環境を実現し、お客さまの試験効率向上に貢献します。
開発の背景
4Gから5Gへの移行による通信の高速化や、昨今の環境変化によるテレワーク増加を背景に、サブスクリプションサービスによる動画コンテンツのストリーミング視聴や、会議ツール等によるビデオ通信の利用が急増しています。それに伴い5Gモバイルサービスでは映像品質の良し悪しが、通信事業者やスマートフォン、動画コンテンツを選択する上でユーザエクスペリエンスに直結する重要な要素となっています。
このように、通信事業者、スマートフォンをはじめとする5G関連機器ベンダ、コンテンツプロバイダにおいて、5Gデバイスの映像品質評価の重要性が高まっています。
統合ソリューションの概要

本統合ソリューションは、アンリツのMT8000AとSmartStudio NR MX800070Aおよびスパイレント社の動画品質評価システム Umetrix Videoから構成されます。
SmartStudio NR MX800070Aは、ラジオ コミュニケーション テストステーション MT8000Aの制御ソフトウェアです。
ステートマシンGUI[※1]を搭載し、簡易な操作性・柔軟なパラメータ変更機能に加え、5G基地局とコアネットワークを手軽にシミュレートでき、MT8000AをCall Boxとして運用することが可能です。ユーザがテストシナリオを作成することなく、GUIベースでスループット試験、IMS、SMS、PWSやNetwork Triggerを使用した準正常、異常状態のシミュレーション、インターネット接続など、さまざまな評価や試験を実施することができます。
動画品質評価において、ネットワーク条件をフレキシブルに設定し、5Gライブネットワーク環境を簡単に再現できるため、効率的な動画品質の分析に役立てることができます。また、複数APIに対応しており、お客さまの試験系に合わせた自動化環境を構築することができます。
Umetrix Videoは、映像受信側のみでさまざまな実映像コンテンツの品質測定が可能な評価システムです。VMOS(Video Mean Opinion Score)[※2]に従ってQoE(Quality of Experience)[※3]をスコアリングできます。ビデオストリーミングサービスをサポートし、ビデオコンテンツそのものを分析して、元のビデオを事前に表示せずにスコアリングし、より高速で安価な再現性のある設計検証、回帰テスト、および競合ベンチマークを実現できます。
MT8000Aについてもっと詳しく
スパイレント社について
スパイレント社は通信機器、情報通信ネットワークのパフォーマンス測定器のパイオニアとして常に業界をリードし続けています。5G・IoT・仮想化・V2Xなどの次世代ネットワークにおけるアプリケーションを実環境に展開する前の、パフォーマンス測定、セキュリティ・テストシステム検証の手段を提供することで、ネットワークやアプリケーションの性能保証を支援します。テストの自動化、統合、管理システムも提供しており、評価試験環境をトータルでサポートします。
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用語解説
- [※1] ステートマシンGUI
- テスト対象の端末の状態を複数のステート(状態)と遷移によって表現したGUI。ユーザはGUI上の図を見ることにより端末の状態が一目で分かり、テストケースや端末の操作によって状態が遷移する様子を容易に確認することが可能。
- [※2] VMOS(Video Mean Opinion Score)
- 映像における、ユーザエクスペリエンスの主観的な知覚品質を評価するために使用される数値方法。平均オピニオン評点。
- [※3] QoE(Quality of Experience)
- 通信サービスにおいて、ユーザが感じる品質のこと。ユーザの体感品質。以前はパケット損失率やスループット等の測定可能な情報が評価指標となっていたが、同一の環境でもユーザの状況によって品質の感じ方が異なることがわかり、近年ではQoEが注目されている。