ETS-Lindgren社のFR1/FR2 OTA試験でMT8000Aを採用
2020/04/02
協業によりSub-6GHzおよびミリ波対応5G NRサービスの普及に貢献
アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、ETS-Lindgren社が、同社の5G デバイス開発用OTA[※1]システムにおいて、ラジオ コミュニケーション テストステーション MT8000Aを採用したことをお知らせいたします。
お客さまは、MT8000Aと同社のEMQuest™ EMQ-100を組み合わせて使用することにより、デュアルバンド(FR1[※2]およびFR2[※3])に対応した5G NRデバイスの伝播試験や感度試験など総合的なデバイス性能が、OTA環境で検証できます。
ETS-Lindgren社とアンリツは、モバイルデバイスの分野で協業関係を築いており、4G LTEにおいて、同社はラジオ コミュニケーション アナライザ MT8821Cを用いたOTAテストシステムを提供しています。
5G NRにおいても、同社のEMQuest™ EMQ-100とMT8000Aのシームレスな統合が完了したことから、5Gチップセットメーカーや端末メーカー、宅内機器(CPE)、オートモーティブ関連メーカーは、FR1/FR2に対応した5G NRデバイスの妥当性検証を高精度に行えるソリューションとして使用できます。
今回の発表にあたり、ETS-Lindgren社の事業開発担当ディレクターであるJames Young氏は次のように述べています。
「このテストシステムは特別なテストモードや接続方法を必要とせず、多様な5Gデバイスで使用できるという、大きな利点を持っています。テストラボではほとんどのデバイスが、そのデバイスへの特別な制御を排除したブラックボックスとして試験されます。5G NRのスタンドアローンモードであれ、4G LTEアンカーが必要なノンスタンドアローンであれ、FR1とFR2バンドの両方で接続を確立し、適合性と性能を検証できるテストシステムは、5G NRサービスの本格普及において重要な役割を担うと確信しています。」
Anritsu Americas Sales Companyの事業開発担当シニアマネージャーであるAdnan Khanは次のように述べています。
「5G NRのテストソリューションは、商用化の段階にきました。CTIAと3GPPが5G NR性能試験のテストケースを公表しているので、それらに対応したETS-Lindgren社とアンリツの幅広い製品を利用することにより5G 投資を効率的に広げられ、計測器やチャンバーの能力を最大化することができます。」
製品概要
ラジオ コミュニケーション テストステーション MT8000A
MT8000Aは、広帯域信号処理やビームフォーミング[※4]など、5Gシステムで必要とされる最新技術に対応した開発用テストプラットフォームです。
疑似基地局として動作し、開発中の5G端末やチップセットの機能や性能を検証できます。
1台のMT8000Aで、5Gで使用されるSub-6GHzとミリ波の両方の周波数帯に対応しています。また、チャンバー(電波暗箱)と組み合わせて使用することにより、OTA環境でミリ波信号の品質や通信手順を検証できます。
MT8000Aについてもっと詳しく
ETS-Lindgren EMQuest™ EMQ-100
EMQ-100は、基本的なアンテナ性能の測定、各種無線端末の放射性能試験および伝導性能試験などを可能とするチャンバーであり、完全にパラメータ化された多様なテストを行えます。
業界標準のOTA放射性能試験要件に対応しており、スタンドアローンアプリケーションのアンテナ解析に加え、内蔵型アンテナシステムや無線モジュールの試験にも使用できます。
ETS-Lindgren社のワイヤレステストソリューションについての詳細は、こちらをご覧ください。
用語解説
- [※1] OTA
- OTAは、Over The Airの略。空間を介して電波の送受信を行い、無線機の性能を測定する。
- [※2] FR1
- 5G NRで運用されるSub-6GHzの周波数帯。
- [※3] FR2
- 5G NRで運用されるミリ波の周波数帯。
- [※4] ビームフォーミング
- 複数の素子を持ったアンテナを用いて、場所による電波の強度を動的に制御する技術。これにより電波空間や電力を効率的に利用できる。