Inseego社が5Gの設計検証にアンリツのテストソリューションを採用
2020/03/26
測定性能、柔軟性の高いプラットフォームおよび豊富な認証テストケースを評価
アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、Inseego Corp.(以下、Inseego社)がアンリツのラジオ コミュニケーション テストステーション MT8000A、5G NRモバイルデバイステストプラットフォーム ME7834NRおよびNew Radio RFコンフォーマンステストシステム ME7873NRなど、各種5G関連テストソリューションを、採用したことをお知らせします。
MT8000Aは5G端末の検証で、ME7834NR/ME7873NRは、各々プロトコルコンフォーマンステスト[※1]、RFコンフォーマンステスト[※2]で使用されます。
これに加え、CATR Anechoic Chamber MA8172A、RF Chamber MA8171Aも採用しSub-6GHz帯(FR1)およびミリ波帯(FR2)のコンフォーマンステストを行います。
Inseego社は、今回のテスト機器選定にあたり、アンリツのテストソリューションが総合的な性能に優れ、柔軟な拡張性を有することに加え、5G、LTE-Advancedキャリアアグリゲーション[※3]、MIMO[※4]を含む広範なソリューションを有することを評価しました。
また、コンフォーマンステストケースにおいて、多数のGCF[※5]/PTCRB[※6]認証を取得していることも、採用の要因となりました。
採用に当たり、Inseego社のAdam Goulldプロダクトマネジメント担当副社長は次のように述べています。
「高性能な5G製品の開発および提供には、ラボからフィールド試験、さらにキャリア認証に至るまですべての段階で厳しい試験と精査が必要ですが、アンリツの測定ソリューションは、それら各段階での5G無線性能のベンチマーキングに欠かせません。」
Anritsu Americas Sales Company のRobert E. Johnson副社長兼ゼネラルマネージャーは次のように述べています。
「アンリツは、幅広い5Gテストポートフォリオを提供しています。アンリツのソリューションは、Inseego社の5G製品の品質向上、迅速な商品化に貢献すると確信しています。」
製品概要
ラジオ コミュニケーション テストステーション MT8000A
MT8000Aは、広帯域信号処理やビームフォーミング[※7]など、5Gシステムで必要とされる最新技術に対応した開発用テストプラットフォームです。疑似基地局として動作し、開発中の5G端末やチップセットの機能や性能を検証できます。
1台のMT8000Aで、5Gで使用されるSub-6GHzとミリ波の両方の周波数帯に対応しています。また、チャンバ(電波暗箱)と組み合わせて使用することにより、OTA[※8]環境でミリ波信号の品質や通信手順を検証できます。
MT8000Aについてもっと詳しく
5G NRモバイルデバイステストプラットフォーム ME7834NR
ME7834NRは、5G NRにおけるスタンドアローンモード(SA)[※9]/ノンスタンドアローンモード(NSA)[※10]双方で、3GPP TS 38.523で規定されるプロトコルコンフォーマンス試験、主要通信事業者の受入試験に対応しています。
また、5G用に新しく設計したOTAチャンバとRFコンバータを組み合わせることで、5Gで使用されるSub-6GHz帯(FR1)およびミリ波帯(FR2)を含む幅広い周波数帯域で試験が行えます。
ME7834NRは、LTE、LTE-Advanced(LTE-A)、LTE-A Pro、およびW-CDMA方式のプロトコルコンフォーマンス試験と事業者受入試験に対応したME7834LAをベースに開発しています。このテストシステムをすでに導入されているお客さまは実証済みのLTE-A試験環境を活用しながら、スムーズに5G対応システムにアップグレードすることができます。
ME7834NRについてもっと詳しく
New Radio RFコンフォーマンステストシステム ME7873NR
ME7873NRは、3GPP TS 38.521/TS 38.533で規定される5G NRのRFコンフォーマンス試験を自動で行える試験システムです。
5G NRにおけるスタンドアローンモード(SA)/ノンスタンドアローンモード(NSA)双方に対応します。また、5G用OTA(CATR)チャンバであるCATR Anechoic Chamber MA8172Aと組み合わせることで、Sub-6GHz帯(FR1)だけでなく、ミリ波帯(FR2)を含む5Gで使用される周波数帯域をカバーします。柔軟にシステムを構成できることから、お客さまは目的に合わせてME7873NRをカスタマイズできます。
ME7873NRは、LTE-Advanced RFコンフォーマンステストシステム ME7873LAからのアップグレードが可能であり、費用対効果の高いRFテストシステムを構築できます。
ME7873NRについてもっと詳しく
用語解説
- [※1] プロトコルコンフォーマンステスト
- 携帯端末と基地局間の通信手順が、標準規格に適合していることを確認するための試験。
- [※2] RFコンフォーマンステスト
- RFはRadio Frequencyの略。携帯端末の送受信特性、パフォーマンスなどが3GPP規格に適合していることを確認するための試験。
- [※3] キャリアアグリゲーション
- 複数の周波数帯を組み合わせ、より大きな帯域幅を仮想的に作り出すことが可能となる技術。
- [※4] MIMO
- Multiple-Input Multiple-Output の略。複数のアンテナを組み合わせてデータ送受信の帯域を広げる無線通信技術。
- [※5] GCF
- GCFはGlobal Certification Forumの略。携帯端末のグローバルな相互接続性を保証するため、ネットワークでの運用基準や携帯端末の認証試験基準を定めている団体。GCFにより承認された測定システム、測定項目は、そのテスト性能(測定手順、測定確度)が、携帯端末用認証試験で要求される条件に適合するものとして保証される。
- [※6] PTCRB
- PTCRBは、PCS Type Certification Review Boardの略。GCF同様、携帯端末のグローバルな相互接続性を保証するため、ネットワークでの運用基準や携帯端末の認証試験の基準を定めている団体。北米で運用されている周波数帯を対象としている。
- [※7] ビームフォーミング
- 複数の素子を持ったアンテナを用いて、場所による電波の強度を動的に制御する技術。これにより電波空間や電力を効率的に利用できる。
- [※8] OTA
- OTAは、Over The Airの略。空間を介して電波の送受信を行い、無線機の性能を測定する。
- [※9] スタンドアローンモード(SA)
- スタンアローンモードは、データ送受信、基地局との制御情報のやりとりの双方に5Gを使う方式。
- [※10] ノンスタンドアローンモード(NSA)
- ノンスタンドアローンモードは、4Gと5Gを合わせて使う方式。主に基地局との制御情報のやりとりは4G、データ送受信に4Gと5Gの両方を使う。