5G対応車載アプリケーション開発用ソリューションでdSPACE社と協業
2020/01/29
MWC 2020で共同展示を実施
アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、コネクテッドカー向けの次世代型自動車アプリケーションの開発を強力にサポートするため、dSPACE社(ドイツ)と協業し、Mobile World Congress 2020(MWC2020)で共同展示を実施します。
共同展示はアンリツブース(第6ホール F40スタンド)で行います。当社のラジオ コミュニケーション テストステーション MT8000AとdSPACE社のSCALEXIOリアルタイムシステムを組み合わせ、5G対応車載器アプリケーション試験のデモンストレーションを行います。
デモンストレーションでは、スマートインフラおよび実際の5Gネットワークを使用した仮想テストドライブ環境を構築し、V2I[※1]アプリケーションをエンドツーエンドで試験します。
共同展示の背景
5G通信システムとEdge Cloud[※2]の組み合わせにより、高データスループットかつ低レイテンシの情報伝送が可能となり、センサデータを車両やインフラ間で共有できるようになります。
これにより、協調認知、AIに基づいた群知能[※3]によるトラフィック(交通)の最適化がリアルタイムで可能となり、自動運転の安全性と快適さがさらに向上するとともに、環境への負荷も低減することができます。
こうしたアプリケーションを開発する場合は、5Gテストシステムが必要となります。
デモンストレーションの概要
デモンストレーションは、5G無線周波数(RF)試験およびプロトコル試験を可能とする一体型テストソリューションであるアンリツのラジオ コミュニケーション テストステーション MT8000Aと、要件の厳しいHardware-in-the-Loop(HIL)[※4]シミュレーションやラピッドプロトタイピング[※5]にも対応したdSPACE社のSCALEXIOリアルタイムシステムを組み合わせたテストシステムで行います。
さらに車両およびインフラをシミュレートするためのオープンなSimulink™[※6]であるdSPACE Automotive Simulation Models(ASM)によってSCALEXIOを補完することで、仮想テストドライブのシミュレーションを実現させています。これにより、V2X[※7]のデバイスやアプリケーションを実際の運用に即してテストできます。
また、dSPACE社が開発中の専用のソフトウェアインターフェースをMT8000Aに接続し、リアルタイムシミュレーション中に、バックエンドで5Gモバイルデータリンクを制御できる環境も紹介します。
dSPACE社のコネクティビティ担当者であるGregor Hordys氏は、「このソリューションにより、現地のインフラに依存せず、ラボで5G通信やエッジコンピューティングを利用した接続型の協調自動運転アプリケーションを早期に開発し、車両・ネットワーク間の一連の処理の妥当性を検証できます」と述べています。
アンリツのグローバルマーケットテクノロジ部門の責任者であるJonathan Borrillは、「両社の共同作業で生まれたこの強力なソリューションにより、5G V2Xのテストおよびエミュレーションを加速させることができます。業界の先駆けとなるこのデモでは、5G V2Xアプリケーションの開発向けの極めて刺激的なプラットフォームが示されています」と述べています。
dSPACE社について
dSPACE社は、最新の電子制御システムの開発およびテスト用ハードウェアおよびソフトウェアツールの分野における世界的なリーディングカンパニーです。30年以上にわたり、dSPACEの高品質なソフトウェアおよびハードウェアツールは、お客様の開発および技術革新を支援し、開発時間とコストを大幅に削減してきました。
MicroAutoBoxラピッドプロトタイピングシステム、HILシミュレータ、量産コード自動生成ツールTargetLinkなどの先駆的なdSPACEの製品は、車載エレクトロニクス開発向けのデファクトスタンダードとなっています。
dSPACEのツールは、自動車以外にも航空宇宙産業、メディカルエンジニアリング、産業オートメーション、Electric Driveテクノロジなど、さまざまな分野で利用されています。また教育機関でも技術者の育成にdSPACE製品が広く使われています。
dSPACEは、ドイツのパーダーボルンにある本社をはじめ、プロジェクトセンター、子会社、販売代理店からなるグローバルネットワークを通じて、世界中で1,700名のスタッフが製品・サービスを提供しています。詳しくは、www.dspace.comをご覧ください。
日本国内お問い合わせ先
dSPACE Japan株式会社
営業部 マーケティンググループ
電話 : 03-5798-5474
メール : marketingkk@dspace.jp
用語解説
- [※1] V2I
- 「Vehicle-to-roadside-Infrastructure」の略称。道路に設置された対応機器と自動車が通信を行う路車間通信を指す。
- [※2] Edge Cloud
- クラウド機能をネットワーク全体に分散し、ネットワークエッジにコンピューティングリソースを配置するクラウドコンピューティング技術。
- [※3] 群知能
- 生物の群れに見られるような、集団的振る舞いに基づいた人工知能技術。
- [※4] Hardware-in-the-Loop(HIL)
- 自動車に搭載されるECU(電子制御ユニット)。
- [※5] ラピッドプロトタイピング
- 製品開発で用いられる試作手法である。文字通り、高速に試作することを目的としている。
- [※6] Simulink™
- SimulinkはMathWorks社によって開発された、モデリング、シミュレーション、解析のためのマルチドメインシミュレーション及びダイナミックシステム。
- [※7] V2X
- V2V(車車間通信)やV2I(路車間通信)、V2P(ネットワークと自動車間の通信)など、自動車とモノとの通信の総称。