シグナルアナライザMS269xAで5G NR信号解析を実現
2018/07/19
5G NR TDD sub-6GHz帯の信号解析をソフトウェア追加で実現
アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、5Gシステム(第5世代移動通信システム)NR信号解析ソリューションを拡充。シグナルアナライザMS2850Aに続き、シグナルアナライザMS2690A/MS2691A/MS2692Aでも5G NR[※1]信号の解析を可能とするソフトウェアを、7月19日から販売いたします。
今回開発したソフトウェアは下記3種類です。
・5G測定ソフトウェア (基本ライセンス)MX269051A
・NR TDD sub-6GHz ダウンリンク MX269051A-011
・NR TDD sub-6GHz アップリンク MX269051A-061
これらのソフトウェアをMS269xAシリーズに搭載することにより、6GHz以下(sub-6GHz)で運用される5G基地局、端末のRF送信特性[※2]が評価できます。
お客様が既にご使用中のMS269xAシリーズにソフトウェアをインストールすることで5G測定が行えます。これにより、従来と同様の操作性でsub-6GHz対応無線装置の効率的な開発や製造ができ、5G商用化の早期実現に貢献します。
開発の背景
5Gシステムの開発・製造では、コストを低減させるために、4G/LTE以前の移動通信システムで使用している測定器を活用したいというニーズがあります。
アンリツは、従来からLTE/LTE-Advancedをはじめ各種通信方式の信号解析用測定器として、シグナルアナライザMS269xAシリーズを提供しています。
そこで今回、MS269xAシリーズの機能を強化し、5Gシステムでの運用が計画されているsub-6GHzの5G NR信号の解析を可能としました。
製品概要
5G測定ソフトウェアとNR TDD sub-6GHzオプションは、MS269xAシリーズ本体内蔵型のソフトウェアです。sub-6GHzのダウンリンク信号[※3]とアップリンク信号[※4]をサポートし、1コンポーネントキャリア(CC) [※5] 最大100MHz帯域幅の信号解析ができます。
本ソフトウェアを使用することにより、MS269xAシリーズで、6 GHz以下で運用予定の5G NR TDD信号の送信電力や周波数誤差、EVM[※6]などの5G NR信号解析を、簡単かつ安定的に実行できます。
MS269xAシリーズは優れたレベル確度とダイナミックレンジ、高精度な信号解析を行うことができます。さらに内蔵のベクトル信号発生器オプションなど、多種なオプションを揃えており、無線装置の品質向上と測定器のsub-6GHz対応コスト低減に貢献いたします。
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主な特徴
・広いダイナミックレンジ[※7]性能によりEVM測定 0.5%未満
(ダウンリンク 1CC 100MHz帯域幅 中心周波数3.5GHzにて)
・ボタン一つでEVM測定を最適化するオートレンジ機能を搭載
対象市場・用途
■ 対象市場:無線通信機器メーカー、電子部品メーカー、携帯電話事業者
■ 用途:sub-6GHz対応無線装置の開発/製造など
用語解説
- ※1 5G NR
- 5G New Radioの略。5Gの要求条件を満たすために、3GPPで新たに規定される無線方式。
- ※2 RF送信特性
- RFはRadio Frequencyの略であり、送信信号のパワーや変調精度などを指す。
- ※3 ダウンリンク信号
- 基地局から端末に向けて送信される信号。
- ※4 アップリンク信号
- 端末から基地局に向けて送信される信号。
- ※5 コンポーネントキャリア(CC)
- 無線通信の搬送波あたりの通信帯域のこと。キャリアアグリゲーション(CA)や5Gなどで、複数の帯域を束ねてひとつの通信としたときの、それぞれの帯域を指す。
- ※6 EVM
- Error Vector Magnitudeの略。測定しているデジタル変調信号が、理想信号に対してどのくらいの誤差を持つのかを表した指標。
- ※7 ダイナミックレンジ
- 測定器の性能を表す尺度。ダイナミックレンジが大きいほど、広いレベル範囲の信号を測定できる。