5G対応シグナルアナライザMS2850Aで高速データ転送を実現
2017/07/24
PCIe/ USB3.0インターフェースにより、開発効率を大幅に向上し、早期商用サービス開始に貢献
アンリツ株式会社(社長 橋本裕一)は、5G(第5世代移動通信システム)をはじめとする次世代高速無線通信用シグナルアナライザ MS2850Aのデータ転送オプションとして、PCIe[※1]/USB3.0[※2]インターフェースを開発。7月24日から販売いたします。
今回開発したインターフェースオプションは、「高速データ転送外部インターフェースPCIe MS2850A-053」と「高速データ転送用外部インターフェースUSB3.0 MS2850A-054」です。
MS2850A-053を実装したMS2850Aを使用することにより、10フレーム[※3]の5G信号を1秒以下で、MS2850A-054では約3秒で解析用外部PCに転送できます。
従来の1000Base-T[※4]インターフェースでは約40秒要していた転送時間を大幅に短縮することで、5G無線通信機器の開発効率を向上し、2019年から2020年に予定されている商用サービスの実現に貢献いたします。
[開発の背景]
5G システムは、3GPP規格策定の前倒しにより、2019年中の商用サービス開始が現実的なものとなり、開発が加速しています。
5G無線通信機の評価では、解析用ソフトウェアを搭載した外部PCを用いて事前にシミュレーションし、シグナルアナライザによる実際の測定結果を比較する手法があります。
この場合、シグナルアナライザでキャプチャしたデータを外部PCに転送する必要がありますが、従来の1000Base-Tインターフェースでは時間がかかることが課題となっていました。
また、開発リソースを有効活用するためにキャプチャしたデータをクラウド化し、複数のエンジニアが利用する方法が検討されており、この用途でもサーバーなどへの転送時間の短縮が求められていました。
そこでアンリツはMS2850Aの新オプションとして、PCIeとUSB3.0に対応したデータ転送インターフェースを開発。PCIeでは1秒以下、USB3.0でも約3秒という転送時間の大幅な短縮を実現しました。
[製品概要]
MS2850Aは、5Gをはじめとする次世代無線通信機器用シグナルアナライザです。測定周波数によって32 GHzモデルと44.5 GHzモデルを用意しています。MS2850Aは、32 GBの内蔵メモリを搭載し、1 GHz帯域幅の信号を最大3秒間キャプチャすることができます。今回開発したPCIe/USB3.0データ転送用インターフェースオプションを実装することにより、キャプチャした大容量データを解析用外部PCに短時間で転送できます。
<PCIe/USB3.0インターフェースオプションについて>
高速データ転送用外部インターフェースPCIe MS2850A-053
PCIe Gen2 x8規格に対応したデータ転送用インターフェースです。10フレームの5G信号データを1秒以下で転送できます。
高速データ転送用外部インターフェースUSB3.0 MS2850A-054
USB3.0規格に対応したtype Bコネクタでの転送を可能とするインターフェースです。10フレームの5G信号データを約3秒で転送できます。
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[主な特長]
■マルチキャリア信号の一括測定が可能
MS2850Aの測定ソフトウェアは業界初の本体内蔵型であり、最大8つのマルチキャリア[※5]信号の一括解析を実現しています。
■優れた測定性能を低価格で実現
MS2850Aは、低価格モデルでありながら、ハイエンドモデルをも上回る優れたダイナミックレンジ[※6]と振幅/位相フラットネス[※7]特性を備えており、高精度な信号解析が行えます。
[対象市場・用途]
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対象市場
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無線通信機器メーカー、電子部品メーカー、携帯電話事業者
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用途
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5G端末・衛星通信用無線通信装置・広帯域無線通信システムの開発/製造、衛星通信の監視など
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[※用語解説]
[※1]PCIe
PCIe(ピーシーアイエクスプレス)は、PCI-SIGによって策定された、I/Oシリアルインタフェース(拡張バスの一種)。
[※2]USB3.0
コンピュータ等の情報機器に周辺機器を接続するためのシリアルバス規格。
[※3]フレーム
無線リソース(ユーザーごとに使うことができる周波数帯域幅や送信電力)の単位。
[※4]1000Base-T
イーサネット規格の一つ。
[※5]マルチキャリア
複数の搬送波でデータ伝送する際の信号チャネル。
[※6]ダイナミックレンジ
測定器の性能を表す尺度。ダイナミックレンジが大きいほど、広いレベル範囲の信号を測定できる。
[※7]振幅/位相フラットネス
振幅フラットネスは、測定している無線機の送信信号レベルを、一定の周波数範囲内で、実際の信号レベルよりどれだけ変化させずに表示できるかを表した指標。
位相フラットネスは、測定している無線機の送信信号の位相(遅延時間)を、特定の周波数での値を基準にして、ある一定の周波数範囲内でどれだけ変化させずに表示できるかを表した指標。