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シグナルアナライザMS2830A機能強化  低位相雑音 MS2830A-066販売開始

2012/08/24

位相雑音の低減により、各種公共・業務用無線通信システムの評価を低価格で実現

スペクトラムアナライザ/シグナルアナライザ MS2830A

 

アンリツ株式会社(社長 橋本 裕一)は、シグナルアナライザMS2830Aの機能を強化。新たに、MS2830A-040/041/043の位相雑音[※1]の低減を可能とする「低位相雑音MS2830A-066」を開発。8月27日から販売いたします。

MS2830A-040/041/043に、MS2830A-066を搭載することにより、MS2830Aの位相雑音性能を、-122 dBc/Hz[※2]中心周波数[※3] 220 MHz[※4]オフセット周波数[※5] 25 kHz[※6])、-118 dBc/Hz(中心周波数500 MHz、オフセット周波数10 kHz)まで向上できます。これにより、帯域幅[※7]が数kHz~数十kHzの狭帯域公共・業務用無線通信システムの近傍スプリアス[※8]隣接チャネル漏洩電力[※9]評価で要求されている位相雑音性能を実現しています。

上記評価では高額な計測器が使用されていましたが、本低位相雑音オプションを搭載したMS2830Aは158万円からの低価格で購入可能。計測器の調達コストを最大約70%低減できます。

公共・業務用無線通信システムは、消防や警察、防災、タクシーなどさまざまな分野で利用されていますが、デジタル化や周波数再編に伴い、新たな計測器のニーズが高まっています。

アンリツはMS2830Aの低位相雑音化を実現したことにより、各種公共・業務用無線通信システムの円滑な普及に貢献いたします。

 

[開発の背景]

公共・業務用無線通信システムで使用される無線通信機器の評価では、他の通信チャネルへの干渉や妨害を防ぐために、近傍スプリアスや隣接チャネル漏洩電力が必須の測定項目となっています。

しかし、被測定信号のスプリアス、隣接チャネル漏洩電力よりも計測器の発する位相雑音が大きい場合、正確な値を得られないという問題が生じます。

このため、この用途で使用される計測器では位相雑音性能が重要視されますが、狭帯域の公共・業務用無線通信機器の評価で要求される位相雑音性能を満足している計測器は高額であり、安価に購入できる計測器のニーズが高まっていました。

そこでアンリツは、シグナルアナライザMS2830Aの新たなハードウェアオプションとして、「低位相雑音MS2830A-066」を開発。高額な計測器で行われていた各種公共・業務用無線通信機器の評価をMS2830Aで可能とし、低価格化を実現しました。

 

[製品概要]

シグナルアナライザMS2830Aは、各種無線通信機器、電子デバイスの開発・製造用計測器であり、上限周波数により5機種(MS2830A-040:3.6 GHz[※10]、MS2830A-041:6 GHz、MS2830A-043:13.5 GHz、MS2830A-044:26.5 GHz、MS2830A-045:43 GHz)を用意しています。

今回開発した「低位相雑音MS2830A-066」は、MS2830A-040/041/043用ハードウェアオプションです。

MS2830A-040/041/043にMS2830A-066を搭載することにより、主に帯域幅が数kHz~数十kHzの狭帯域公共・業務用無線通信システムの近傍スプリアス、隣接チャネル漏洩電力評価で要求されている位相雑音性能を実現しています。

本MS2830Aを使用することにより、高額な計測器で行われていた公共・業務用無線通信機器の評価が可能となります。

<本オプションを搭載したMS2830Aの位相雑音性能>

・-122 dBc/Hz(中心周波数220 MHz、オフセット周波数25 kHz)

・-118 dBc/Hz(中心周波数500 MHz、オフセット周波数10 kHz)

【シグナルアナライザMS2830A】

MS2830Aは、高速測定と高精度測定を低価格で実現したシグナルアナライザです。

スペクトラムアナライザのみの基本モデルから送受信試験を一台で行えるワンボックス構成まで、用途に応じた測定システムを柔軟に構築できます。

MS2830Aは、上限周波数により5機種(MS2830A-040:3.6 GHz、MS2830A-041:6 GHz、MS2830A-043:13.5 GHz、MS2830A-044:26.5 GHz、MS2830A-045:43 GHz)を用意しており、用途に応じて選択できます。

MS2830A-040/041/043は、オプションでベクトル信号発生器を内蔵でき、1台で送信/受信特性評価が行えます。

MS2830A-044/045は、新スプリアス法[※11]が要求している26 GHzまでの測定が行えます。また、外部ミキサを組み合わせることで最大110 GHzまで測定可能となり、次世代無線通信システムの研究・開発用計測器としても使用できます。


[ この製品をもっと詳しく ]

 

[対象市場・用途]

対象市場

各種無線通信機器メーカー

用途

公共・業務用無線通信機器の開発・製造

 

[ ※用語解説]

[1] 位相雑音
信号発生の原理上、必ず含まれる不要なエネルギーであり、発振源の出力周波数の近傍で発生する。

[2] dBc/Hz
位相雑音の単位。搬送信号に対する雑音の比を1 Hz単位に換算した値で表す。

[3] 中心周波数
測定信号の周波数。

[4]  MHz(メガヘルツ)
周波数の単位であり、1秒間に100万回周波数が振動することを意味する。

[5] オフセット周波数
希望周波数(得たい周波数)から、どれ位離れた周波数であるかを示した値。

[6] kHz(キロヘルツ)
周波数の単位であり、1秒間に1000回周波数が振動することを意味する。

[7] 帯域幅
電波の周波数の範囲。

[8] 近傍スプリアス
ひずみや回路間の干渉によって生じる不必要な信号。設計上意図されているものとは別の周波数成分のこと。不要波とも呼ぶ。

[9] 隣接チャネル漏洩電力
無線通信システムでは、一つのチャネル幅に信号が収まるように無線出力を行っているが、出力アンプの歪み特性により、一つのチャネル内に収まらず隣のチャネルに信号がはみ出す現象が起こる。これが隣接チャネル漏洩電力である。

[10] GHz(ギガヘルツ)
周波数の単位であり、1秒間に10億回周波数が振動することを意味する。

[11] 新スプリアス法
国際電気通信連合 無線通信部門が勧告しているスプリアス発射規制。新スプリアス法では、スプリアス発射試験の上限周波数が変更され、設備更新が必要になっている。

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