アンリツ株式会社(社長 橋本 裕一)は、MP2100A BERTWaveシリーズの機能を強化。アクティブオプティカルケーブル[※1] ダイレクトアタッチケーブル[※2]のジッタ分離解析[※3]を可能とするジッタ解析ソフトウェアMX210001AおよびS21伝送特性[※4]解析、波形シミュレーションを可能とする伝送解析ソフトウェアMX210002Aを開発。9月5日から販売を開始いたします。
MP2100Aは、波形発生器、BER[※5]測定器、サンプリングオシロスコープ[※6]を一体化した計測器であり、アクティブオプティカルケーブル /ダイレクトアタッチケーブルのBERとアイパターン/アイマスク[※7]が同時に測定できます。
さらに今回開発したMX210001A、MX210002AをMP2100Aにインストールすることで、ジッタ分離解析、S21伝送特性解析、波形シミュレーションも行えます。専用の計測器を個別に用意することなく、アクティブオプティカルケーブル /ダイレクトアタッチケーブルの評価が1台のMP2100Aで可能。計測器の導入コストを約1/2に低減できます。
アンリツは、1台のMP2100Aでアクティブオプティカルケーブル /ダイレクトアタッチケーブルの評価で必要とされる測定に対応したことにより、各種高速デジタル伝送システムの円滑な普及に貢献いたします。
[開発の背景]
アクティブオプティカルケーブル /ダイレクトアタッチケーブルは、高速データ通信を可能とするケーブルであり、デジタル伝送装置やデータセンター内の高性能サーバ、スーパーコンピュータ、スイッチ[※8]、バックプレーン[※9]など、さまざまなデジタル機器・電子部品で普及が拡大しています。
このため、アクティブオプティカルケーブル/ダイレクトアタッチケーブルの評価を可能とする計測器のニーズが高まっていますが、これまでは複数の計測器を個別に使用する必要がありました。
そこでアンリツは、MP2100A BERTWaveシリーズの機能を強化し、新たに、ジッタ分離解析、S21伝送特性解析、波形シミュレーションを可能としました。これにより、1台のMP2100Aでアクティブオプティカルケーブル/ダイレクトアタッチケーブルの評価で必要な測定が行えます。
[製品概要]
ジッタ解析ソフトウェアMX210001Aおよび伝送解析ソフトウェアMX210002Aは、MP2100A BERTWaveシリーズ用ソフトウェアです。
MX210001AはTJ・DJ・RJ・DDJ・DDPWS[※10]など各種ジッタの分離解析に、MX210002AはS21伝送特性解析、波形シミュレーションに対応しています。
上記2種類のソフトウェアを搭載したMP2100Aを使用することにより、MP2100A固有の機能であるBER測定、アイパターン/アイマスク測定に加え、ジッタ分離解析、S21伝送特性解析、リニアイコライザ[※11]、プリエンファシス[※12]による高度な波形解析が可能となります。
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[主な特長]
■計測器導入コスト削減
MP2100Aは、BER測定とアイパターン/アイマスク測定機能を一体化した計測器です。さらに今回、ジッタ分離解析、S21伝送特性解析、波形解析を可能としたことで、アクティブオプティカルケーブル /ダイレクトアタッチケーブルで必要とされる評価が1台で行えます。複数の計測器を用いる必要がなく、計測器の導入コストを約1/2に低減できます。
■測定効率向上
MX210001A/MX210002Aは連携動作することから、リニアイコライザシミュレーションを施した波形のジッタ、アイパターン/アイマスクを同時に解析でき、測定効率向上に貢献いたします。
■各種高速デジタル通信規格に対応
MX210001A/MX210002AはFibre Channel[※13]やInfiniBand[※14]、USB[※15]、SAS/SATA[※16]、10/40/100GbE[※17]など各種高速デジタル通信規格に対応したアクティブオプティカルケーブル /ダイレクトアタッチケーブルの評価が可能であり、さまざまな用途で使用できます。
[対象市場・用途]
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対象市場
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通信機器メーカー、サーバ・コンピュータメーカー、電子部品メーカー、ケーブルメーカー
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用途
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アクティブオプティカルケーブル/ダイレクトアタッチケーブルの開発・製造
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[ ※用語解説]
[※1] アクティブオプティカルケーブル
光ファイバの両端にプラガブルモジュール(拡張性のあるモジュール)を装備したケーブル。光ファイバの採用により、伝送距離の長距離化、軽量化、低消費電力化、高密度実装を実現したもの。
[※2] ダイレクトアタッチケーブル
銅線の両端にプラガブルモジュールを装備したケーブル。主に7m以下の短距離接続用に用いられる低コストタイプ。
[※3] ジッタ分離解析
電気信号を伝送する場合、経路特性や外部環境などの影響を受け、信号の伝達時間が変化する。こうした遅延時間の揺らぎをジッタと呼ぶ。ジッタ分離解析とは、ジッタの発生原因や性質別にその成分を分離し、解析すること。
[※4] S21伝送特性
高周波回路や高周波部品の特性を表す回路網パラメータのひとつで、伝送媒体固有の影響により発生する信号の損失をあらわす。
[※5] BER:Bit Error Rate
信号に含まれるビットエラーの割合。
[※6] サンプリングオシロスコープ
一定の時間間隔で繰り返し抽出した波形を組み合わせて元の波形を再現し、その品質を観測する計測器。
[※7] アイパターン/アイマスク
アイパターンは、光信号の伝送部品や伝送経路(光ファイバなど)の品質尺度となる波形。計測器の画面上に何回か波形を重ね合わせて描くと波形が目のように見えることからアイパターンと呼ばれる。
アイマスクは、アイパターンの目の部分の開口率。
[※8] スイッチ
コンピュータネットワークで転送先の機器を切り替える通信装置。
[※9] バックプレーン
各種デジタル伝送装置、サーバに搭載される回路基板。複数のコネクタ、スロットなどを用いて、拡張ボードやケーブルなどを相互接続し、処理速度を高速化する。
[※10] TJ・DJ・RJ・DDJ・DDPWS
ジッタをその発生原因や性質により分類した略称。
TJ: Total Jitterの略称。ジッタの総量。
RJ: Random Jitterの略称。無限に広がる性質をもっており、その広がりが正規分布に近似している。
DJ: Deterministic Jitterの略称。RJと対比して、広がりが有限で確定しているジッタ。
DDJ: Data Dependent Jitterの略称。データ信号列に依存したジッタ。
DDPWS: Data Dependent Pulse Width Shrinkageの略称。データ信号列に依存して、各ビットのパルス幅が縮小することにより生じるジッタ。
[※11] リニアイコライザ
デジタル通信システムでは、伝送媒体固有の影響により高周波帯域の信号損失が発生し、通信品質に影響を及ぼす。この損失を補償するために、受信した信号の高周波成分だけを増幅する機能をリニアイコライザと呼ぶ。
[※12] プリエンファシス
リニアイコライザと同様、高周波信号の損失を補償するために、送信側であらかじめ高周波成分だけを増幅すること。
[※13] Fibre Channel
Fibre Channelは、主に高い性能が要求されるサーバで、コンピュータ本体と外部記憶装置を接続するのに利用されているデータ伝送方式。
[※14] InfiniBand
主にスーパーコンピュータにおいて、複数のプロセッサとHDD等の高速外部デバイス間の接続に利用される。複数の転送レートをサポートする他、複数のチャネルを束ねて利用することで高速な帯域を実現することができる。
[※15] USB:Universal Serial Bus
キーボードやマウス、モデムなどの周辺機器とパソコンを結ぶデータ伝送路の規格。
[※16] SAS/SATA
サーバに搭載されるハードディスクの規格。
[※17] 10/40/100GbE
GbEはギガビットイーサネットの略称。10GbEは1秒間に10ギガビット、40GbEは1秒間に40ギガビット、100GbEは、1秒間に100ギガビットの通信を可能とするイーサネット。