アンリツ株式会社(社長 橋本 裕一)は、高速移動体通信システムであるLTE[※1]用計測ソリューションを拡充。新たに、商用マルチモードLTEスマートフォン・携帯端末の検証を1台で実現するシグナリングテスタMD8475Aを開発。7月4日から販売いたします。
MD8475Aは、LTE 方式に加え、第2世代/第3世代移動通信システム(2G/3Gシステム)であるGSM/GPRS/EGPRS、W-CDMA/HSPA、CDMA2000® 1x/1x EVDO方式に対応した擬似基地局として動作します。
MD8475Aを使用することにより、複雑なシーケンスプログラム[※2]を作成することなく、商用マルチモードLTEスマートフォン・携帯端末(注)の通信機能試験、サービス検証に加え、LTE と2G/3Gシステム間でのCS-Fallback[※3]試験、ハンドオーバ[※4]試験などが行えます。(CS-Fallback試験とハンドオーバ試験のCDMA2000対応は2012年前半を予定しています。)
商用マルチモードLTEスマートフォン・携帯端末は、通信エリアを拡充するために、2G/3Gシステムの基地局エリアでも通信を可能とするマルチモード端末として開発されています。
アンリツはMD8475Aの販売を開始することにより、LTEサービスの円滑な普及、端末開発効率向上に貢献いたします。
なお、本MD8475Aは、ワイヤレステクノロジーパーク2011(7月5日~6日、パシフィコ横浜)にて出展いたします。
【注:マルチモードLTEスマートフォン・携帯端末】
LTEに加え、第3世代のW-CDMAやCDMA2000® 1x/1x EVDO、TD-SCDMA、第3.5世代のW-CDMA/HSPA、TD-SCDMA/HSPA、第2世代であるGSM/(E)GPRSなどにも対応したスマートフォン・携帯端末。たとえば、LTE/W-CDMA/GSMの場合、LTE基地局エリアからW-CDMAやGSMのエリアに移動した場合でも、移動先の基地局で通信できる。
*CDMA2000 は、Telecommunications Industry Association(TIU-USA)の登録商標です。
[開発の背景]
LTE は、最大100Mbpsの高速通信を実現する高速移動体通信システムです。北欧や米国、日本など世界各国の通信事業者が既にサービスを開始しており、今後もグローバルでの普及が期待されています。
LTEは、2G/3G基地局エリアでも通信できるマルチモード端末として開発されていることから、端末開発においては、既存システムにも対応した基地局シミュレータが必要です。
そこでアンリツは、商用マルチモードLTEスマートフォン・携帯端末の検証を可能とするシグナリングテスタMD8475Aを開発いたしました。
MD8475Aは、LTE 方式に加え、2G/3Gシステムにも対応した擬似基地局として動作することから、1台の基地局シミュレータで、商用マルチモードLTEスマートフォン・携帯端末の各種検証が行えます。
[製品概要]
シグナリングテスタMD8475Aは、LTE 方式に加え、W-CDMA/HSPA、GSM/GPRS/EGPRS、CDMA2000® 1x/1x EVDO方式に対応した擬似基地局として動作します。
MD8475Aを使用することにより、基本呼接続試験(通話試験、パケット通信試験、SMS/MMS[※5]試験)、2x2 MIMO[※6]環境下での最大スループット[※7]試験、消費電流試験、 CS-Fallbackやハンドオーバ試験など、商用マルチモードLTEスマートフォン・携帯端末の開発に必要な各種検証が行えます。(CS-Fallback試験とハンドオーバ試験のCDMA2000対応は2012年前半を予定しています。)
[ この製品をもっと詳しく ]
[主な特長]
■開発効率向上
MD8475Aは、通信条件及び動作条件をGUI[※8]上の操作で設定できます。
複雑なシーケンスプログラムを作成することなく試験が行えます。
■用途に応じた試験環境構築
MD8475Aは、本体と各種通信方式に対応したハードウェア、ソフトウェアから構成され、複数の通信システムを1台のシグナリングテスタで試験できます。
用途に応じて試験環境を構築でき、商用マルチモードLTEスマートフォン・携帯端末の開発において、設備コストを最適化できます。
■省スペース化
MD8475Aは、OSにWindows7を採用したPCを内蔵しています。これにより、外部サーバや制御用PCが不要となり、省スペースかつパーソナルな環境で検証作業を行えます。
*Windows は、Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標です。
[対象市場・用途]
■
|
対象市場
|
:
|
スマートフォン・携帯端末メーカー、チップセットメーカー、通信事業者
|
■
|
用途
|
:
|
マルチモードLTEスマートフォン・携帯端末・チップセットの評価
通信事業者の受け入れ試験
|
[ ※用語説明]
[※1] LTE:Long Term Evolution
下り(基地局から端末方向)100 Mbps以上/上り(端末から基地局方向)50 Mbps以上の通信を可能とする高速移動体通信システム。
[※2] シーケンスプログラム
基地局のレイヤ3(データ転送処理)レベルでの動作や通信の条件を定義したC言語プログラム。
[※3] CS-Fallback:Circuit Switched-Fallback
LTEで従来の3G音声サービスを提供可能とするために、音声発着信時に3Gへ切り替える仕組み。
[※4] ハンドオーバ
セル(1つの基地局がカバーするエリア)を超えて携帯電話が移動した際、新たなセルの基地局へのつなぎ替えを行うこと。
[※5] SMS/MMS:Short Messaging Service/Multimedia Messaging Service
SMSは、携帯電話同士で短い文字メッセージを送受信できるサービス。MMSは、音声や画像、動画などマルチメディアに対応したメッセージサービス。
[※6] 2x2 MIMO :2x2 Multi Input Multi Output
送受信アンテナを各2本づつ使用し、データの送受信を行う無線通信技術。
[※7] スループット
単位時間あたりのデータ転送量のこと。移動通信分野では、基地局と携帯電話端末間でのデータ通信における実質的なデータ転送速度を示す。
[※8] GUI:Graphical User Interface
ユーザに対する情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作をマウスなどのポインティングデバイスによって行うことができるユーザインターフェースのこと。