アンリツ株式会社(社長 橋本 裕一)は、ラジオコミュニケーションアナライザMT8820Cの機能を強化。新たにLTE TDD[※1]方式に対応した携帯端末、データカード[※2]のRF送受信試験[※3]を呼接続(擬似基地局と通信している状態)で行えるLTE TDD測定ソフトウェア MX882013Cを開発。12月6日から受注を開始いたします。
MT8820Cは、携帯端末・データカードの開発・製造用計測器のプラットフォームです。各種通信方式に対応した個別のハードウェア、ソフトウェアを搭載することにより、各種携帯端末・データカードの通信品質を評価できます。
すでに販売しているLTE測定ハードウェアを搭載したMT8820Cに、今回開発した測定ソフトウェアをインストールすることで、MT8820Cが擬似基地局として動作し、LTE TDD方式携帯端末・データカードのRF送受信試験が呼接続で行えます。
中国やインドなどでは、次世代高速移動通信システムとしてLTE TDD方式の導入が計画されており、実証試験に向けた端末・データカードの開発が急ピッチで進められています。
アンリツは、呼接続でLTE TDD携帯端末・データカードのRF性能評価を可能としたことにより実証試験をサポートし、LTE TDD方式の発展と普及に貢献して参ります。
[ この製品をもっと詳しく ]
[開発の背景]
日本、アメリカではLTEサービスの商用開始が本年12月に予定されています。こうした移動通信システムの高速化はグローバルに進展しており、中国、インドなどでの新興諸国では、LTE TDD方式の採用を計画し、実証試験に向けた研究開発が活発化しています。
アンリツは従来からLTE FDD方式に対応した開発・製造用計測器として、ラジオコミュニケーションアナライザMT8820Cを提供してまいりました。
さらに今回上記市場動向を踏まえ、LTE TDD方式に対応。新たに、呼接続状態でLTE TDD携帯端末・データカードのRF送受信試験を可能としました。
[製品概要]
ラジオコミュニケーションアナライザMT8820Cは、LTE TDD携帯端末、データカードの開発・製造用計測器のプラットフォームとなるものです。
LTE TDD測定ソフトウェアMX882013Cは、LTE TDD携帯端末・データカードとの呼接続機能に対応したMT8820C用のオプションソフトウェアです。
LTE 測定ハードウェアMT8820C-008を搭載したMT8820CにMX882013Cをインストールすることにより、TS 36.521(6章、7章)[※4]に準拠したRF送受信試験が呼接続で行えます。
[主な特長]
■開発・製造プロセスに応じたRF送受信試験が可能
MT8820Cは、初期開発で実施される張り切り試験[※5]でのRF送受信試験を可能としています。今回の機能強化により、量産化前の開発や初期の製造段階で実施される呼接続試験も可能となり、開発・製造プロセスに応じた試験が行えます。
■LTE FDD/LTE TDDに1台のプラットフォームで対応可能
MT8820Cは、LTE FDD方式の呼接続試験に対応していますが、先進的なメーカーでは、LTE FDDとLTE TDD双方をサポートした端末・チップセットの研究開発が進展しています。今回、LTE TDD方式にも対応したことにより、1台のプラットフォームLTE FDD/LTE TDD携帯端末・データカードの試験が可能。設備コスト削減に貢献します。
■マルチモード対応LTE TDD携帯端末の試験が可能
LTE TDD端末は第2世代/第3世代/第3.5世代の携帯電話ネットワークでも使用できるマルチモードシステム対応が検討されています。MT8820Cは、従来機種であるMT8820B/MT8815Bで提供していた第2世代/第3世代/第3.5世代携帯電話端末の評価用測定ソフトウェア、ハードウェアも搭載できます。これにより、1台のMT8820Cでマルチモードに対応したLTE携帯端末やデータカードのRF送受信試験が行えます。
■1台のMT8820Cで、2台の携帯端末、データカードが同時に試験可能
MT8820Cは、2台の携帯電話端末を同時に試験できるパラレルフォン®測定機能をオプションで搭載できます。これにより、LTE携帯端末、データカードの量産試験が効率よく行えます。
[対象市場・用途]
■
|
対象市場
|
:
|
携帯電話端末メーカー、データカードメーカー
|
■
|
用途
|
:
|
LTE TDD携帯端末やデータカードの開発・製造
|
[ ※用語解説]
[※1] LTE TDD:Long Term Evolution and Time Division Duplex
LTE規格には、FDD方式とTDD方式の2つがある。LTE FDDは使用する周波数帯域を送信用と受信用に分割し、同時に送受信する方式であるが、LTE TDDは、送信信号と受信信号を同じ周波数で短い時間間隔で分割し、交互に伝送する。
[※2] データカード
携帯電話網を利用して、Webページの閲覧やメールの送受信を行うための通信機能を備えたカードのこと。
[※3] RF送受信試験
携帯端末、データカードの送信特性と受信特性を評価するための試験。
[※4] TS 36.521(6章、7章)
3GPP LTEの送受信性能に関する規格。第6章では送信性能が定められ、第7章では受信性能が策定されている。
[※5] 張り切り試験
RF送受信試験の一つ。信号発生器や信号解析器を用いて行い、擬似基地局と通信せずに携帯端末、データカードのRF送受信特性を評価する試験。