アンリツ株式会社(社長 橋本 裕一)は、LTE計測ソリューションを拡充。新たに、エリアテスタTM ML8780A/ML8781Aの機能を強化し、LTE基地局への対応を可能とするLTE測定ユニットMU878030A、LTE測定ソフトウェアMX87803xAおよびBCCH復調ソフトウェアMX878039Aを開発。12月27日から販売いたします。
ML8780A/ML8781Aは、無線基地局の建設・保守用測定器のプラットフォームです。ML8780A/ML8781Aに今回開発した測定ユニットと測定ソフトウェアを搭載することにより、LTE基地局エリアで伝播する信号を高精度に測定できます。これにより、LTE基地局の配備数や設置場所を最適化できます。
日本では12月24日にLTEの商用サービスが開始され、通信エリアを拡大するためにLTE基地局の建設が進められています。
アンリツは、LTE基地局に対応したエリアテスタの提供を開始することで、LTEサービスの通信品質向上に貢献いたします。
*エリアテスタの名称はアンリツの登録商標です。
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ML8780A
ML8781A
[開発の背景]
LTE(Long Term Evolution)は、現行の第3世代移動無線通信サービスの5倍から10倍の速度でデータ通信を可能とする高速移動通信サービスです。
世界各国の通信事業者がLTEサービスの導入を計画しているなか、日本では、東京・大阪・名古屋の3大都市圏で12月24日から商用サービスが開始されました。その後、全国の県庁所在地や主要都市に展開されることが計画されており、基地局建設・保守用計測器市場が拡大することが見込まれています。
アンリツは従来から、W-CDMA基地局用の計測器として、エリアテスタML8780A/ML8781Aを提供しています。さらに今回、LTE基地局への対応を図り、LTEサービスエリアの最適化で必要とされる測定を可能とする測定ユニットと測定ソフトウェアを開発いたしました。
[製品概要]
エリアテスタML8780A/ML8781Aは、無線基地局の建設・保守用測定器のプラットフォームです。各種通信方式に対応した個別のハードウェア、ソフトウェアを搭載することにより、サービスエリアの無線品質を評価できます。
ML8780Aは、240 mm × 170 mm × 90 mmというハンドヘルド計測器です。また、ML8781Aは、ML8780A同様のサイズですが、パネル操作機能を省き、測定と測定データ収集に特化したドライブテスト[※1]用計測器です。
ML8780A/ML8781Aに今回開発したLTE測定ユニットMU878030A、LTE測定ソフトウェアMX87803xAを搭載することにより、LTE基地局からの受信電力や受信品質などの測定が行えます。また、BCCH復調ソフトウェアMX878039Aを併せて使用することにより、無線信号に含まれる報知情報[※2]を取得できます。測定データはGPSの位置情報と合わせてファイルに保存できることに加え、マルチパス[※3]の解析も可能です。これらの測定機能により、LTE基地局の配備数や設置場所を最適化できます。
LTE測定ソフトウェアMX87803xAは、4つの周波数帯域(MX878031A:2.1 GHz帯、MX878033A:1.8 GHz帯、MX878034A:1.5 GHz帯、MX878036A:800 MHz帯)を用意しており、用途に応じて周波数帯域を選択できます。
また、すでに販売しているW-CDMA測定ユニットMU878010AおよびW-CDMA測定ソフトウェアMX878011A/13A/14A/16Aを併せて搭載することにより、1台のML8780A/ML8781AでLTE基地局とW-CDMA基地局の両方のサービスエリアを同時にかつ高精度に評価できます。
[主な特長]
■ 高精度エリア解析
ML8780A/ML8781Aは、1基地局あたり最小10ミリ秒での測定が可能です。これにより、電力変化をリアルタイムに捕捉できます。また。干渉波にも強く、優れた測定ダイナミックレンジ[※4]および測定確度を有しており、正確で信頼性の高いエリア評価が可能です。
■ 小型・軽量
ML8780A/ML8781Aは、小型・軽量設計を実現しており、測定現場に容易に持ち運べます。
ML8780A:240 mm × 170 mm × 90 mm, 3.0kg 以下(MU878030A 1台、バッテリユニット付き)
ML8781A:240 mm × 170 mm × 61 mm, 1.9kg 以下(MU878030A 1台、バッテリユニット無し)
■ スタンドアロン測定とバッテリ動作
ML8780A/ML8781Aと同様の機能を有する他社の計測器は、PCと接続して使用する形態が一般的です。このため、測定作業に手間がかかっていました。ML8780A/ML8781Aは測定時にPCを必要とせず、効率よく作業が行えます。また、バッテリユニットを用いることで、AC電源の無い場所での測定も可能になります。
[対象市場・用途]
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対象市場
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携帯電話事業者、基地局建設・保守業者
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用途
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LTE基地局サービスエリアの最適化、および保守
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[ ※用語解説]
[※1] ドライブテスト
計測器を自動車に積み込み、走行しながら基地局エリアの電波品質を測定すること。
[※2] 報知情報
携帯電話サービスで、無線基地局が携帯端末に送信する信号。位置登録に必要な基地局の基本情報などが含まれ、端末が通信を開始するために必要となる。BCCHはBroadcast control channelの略である。
[※3] マルチパス
基地局から送信された電波が建物や地形などの障害によって反射・回折し、携帯端末が複数の経路から同じ電波を受信してしまうこと。
[※4] ダイナミックレンジ
計測器の性能を表す尺度。ダイナミックレンジが大きいほど、広いレベル範囲の信号を測定できる。