アンリツ株式会社(社長:橋本 裕一)は、BERTWave MP2100Aシリーズの機能を強化。125
Mbit/s[※1]から12.5
Gbit/s[※2]までの各種
光アクティブデバイス[※3]の性能評価を1台で可能とするビットレート拡張オプションMP2100A/01A-090とLow Pass FilterオプションMP2100A/02A-061 to 086を開発。11月8日から販売を開始いたします。
MP2100Aシリーズは、光アクティブ部品の性能評価で行われるBER[※4]測定とアイパターン[※5]解析を1台で可能とする計測器です。
MP2100Aシリーズに今回開発したMP2100A/01A-090を搭載することにより、従来機では8.5 Gbit/sから11.32 Gbit/sだったBER測定ビットレート[※6]を125 Mbit/sから12.5 Gbit/sまで拡張できます。
さらに、アイパターン解析で必要とされるベッセルフィルタ[※7]においても、対応ビットレートの拡充とオプション化を図り、MP2100A/02A-061 to 086を開発。最大6個のベッセルフィルタを用途に応じて選択、搭載できます。
これにより、MP2100Aシリーズの汎用性がさらに高まり、従来機種で対応していた10 Gbit/s帯に加え、低ビットレートの通信システムで使用される光アクティブデバイスの性能評価が1台で行えます。
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[開発の背景]
クラウドコンピューティング[※8]や高画質映像配信の需要が高まっています。また、日本、アメリカでは、本年12月に移動通信端末でFTTHクラスの高速通信を可能とするLTE(Long Term Evolution)の商用サービス開始が予定されており、伝送容量はますます増加すると見込まれています。
こうした状況を受け、通信ネットワークの光化が世界各国で進展し、各種光部品の開発・製造が活発化しています。
アンリツは従来からこの分野でBERTWave MP2100Aシリーズを提供しています。
MP2100Aシリーズは、光アクティブ部品の性能評価で実施されるBER測定とアイパターン解析を1台で同時に行え、コストパフォーマンスに優れています。その一方、BER測定可能なビットレート、ベッセルフィルタが高周波帯域に限られていました。
そこでアンリツは、MP2100Aシリーズの機能を強化。測定ビットレートの拡張とニーズに合わせて選択できるベッセルフィルタを開発しました。
これにより、MP2100Aシリーズの汎用性が高まり、現在運用されている各種通信システム用光アクティブデバイスの性能評価が1台で行えます。
[製品概要]
BERTWave MP2100Aシリーズは、光アクティブデバイスの評価で必須のBER測定とアイパターン解析を同時に実行できる計測器です。
今回開発したビットレート拡張オプションMP2100A/-090とLow Pass FilterオプションMP2100A/02A-061 to 086は、MP2100A用ハードウェアオプションです。
MP2100A/01A-090を使用することにより、MP2100AシリーズのBER測定ビットレートを拡張でき、125 Mbit/sから12.5 Gbit/sまでの信号のビットエラーのカウントが行えます。さらに、MP2100A/02A-061 to 086を使用することにより、光信号のアイパターン解析で必要となるベッセルフィルタを用途に応じて最大6個まで搭載できます。これにより、MP2100Aシリーズの汎用性が高まり、100BASE-FX[※9]、OC-3/STM1[※10]、CPRI[※11]、OUT-2[※12]など、現在運用されている各種通信システム用光アクティブデバイスの性能評価が1台で行えます。
MP2100Aは、BER測定機能のみのMP2101A、アイパターン解析機能のみのMP2102Aもラインアップしており、用途に応じた設備投資が行えます。
[主な特長]
■ 主要な光通信システムに対応
光通信システムは、100 Mbit/s帯の低速通信システムから10Git/s超の高速通信システムが主流となっています。MP2100Aに今回開発したオプションハードウェアを搭載することにより、125 Mbit/sから12.5 Gbit/sまでの信号のBER測定、アイパターン解析が行えます。
■ 優れたコストパフォーマンス
MP2100Aシリーズは、1台で各種光アクティブデバイスの性能評価で必要なBER測定とアイパターン解析を同時に実行できます。BER測定器とアイパターンアナライザを個別に用意する必要がなく、設備コスト、測定時間を半減できます。
■ LTE用光デバイスの評価が可能
MP2100Aシリーズは、LTEで使用される光トランシーバのビットレート(6.14/4/92/3.07/2.46/1.32 Gbit/s)に対応しており、受入検査用計測器として使用できます。
■ 高速リモート測定
光アクティブデバイスの製造評価では、リモートコマンドを用いて外部PCから計測器を遠隔操作し、自動で測定しています。MP2100Aシリーズは、複数の測定コマンドを一括処理できることから、製造評価を効率よく行えます。
■ 高精度消光比[※13]測定
アイパターン解析では、消光比が重要な測定項目の1つとなっています。MP2100Aシリーズは独自開発した高精度ベッセルフィルタ、校正機能を搭載しています。これにより、測定結果のバラツキが抑えられ、理論値に極めて近い消光比を得ることができます。
[対象市場・用途]
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対象市場
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光モジュールメーカー、ケーブル・コネクタメーカー
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用途
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光アクティブデバイスおよびケーブル・コネクタ
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[ ※用語解説 ]
[※1] Mbit/s: Megabit/second
データ転送速度の単位。1Mbit/sは、1秒間に1メガ(100万)ビットのデータを伝送できることを意味する。
[※2] Gbit/s: Gigabit/second
データ転送速度の単位。1Gbit/sは、1秒間に1ギガ(10億)ビットのデータを伝送できることを意味する。
[※3] 光アクティブデバイス
光信号を変調したり、電気信号に変換したりする光デバイス。
[※4] BER: Bit Error Rate
ビット誤り率。受信されたデジタルデータのビット列中に含まれる誤ったビットの比率。
[※5] アイパターン
光信号の伝送部品や伝送経路(光ファイバなど)の品質尺度となる波形。計測器の画面上に何回か波形を重ね合わせて描くと波形が目のように見えることからアイパターンと呼ばれる。得られた波形が同じ位置で重なり合っていれば品質が良いが、波形の位置がずれていた場合は波形品質が悪く、信号が正しく伝送されていないと判断する。
[※6] ビットレート
単位時間あたりで処理できるビットデータ数。単位としては「ビット毎秒」(bit/second)を使うのが一般的。通信回線が1秒間にどのくらいのデータを送受信できるかを表す。
[※7] ベッセルフィルタ
光信号をアイパターン解析する場合に必要なフィルタ。本フィルタを使用することで、規格で要求されているマスクに準拠しているか確認することができる。
[※8] クラウドコンピューティング
企業、個人などが自身で保有・管理しているコンピュータではなく、インターネット上にあるサーバのコンピュータ処理を使用できるシステム形態。利用者側では、コンピュータの購入費用やデータ管理の手間が不要となる。
[※9] 100BASE-FX
Fast Ethernetの規格の一つ。光ファイバーを用いた100MbpsのLAN。
[※10] OC-3/STM-1
SONET/SDHの伝送単位の1つ。伝送速度は155.52Mbit/s。
[※11] CPRI: Common Public Radio Interface
無線基地局の主要な内部インタフェースである無線制御部と無線部間インタフェースの規格。光モジュールが使用され、有線での通信を行う。
[※12] OTU-2
OTN(Optical Transport Network)の伝送単位の1つ。伝送速度は10.7092Gbit/s。
[※13] 消光比
光信号のハイレベル"1"の平均パワーとローレベル"0"の平均パワーの比。光アクティブデバイスの消光比が各規格に適合する必要がある。