気候変動への対応
アンリツグループは、「気候変動への対応」をサステナビリティ経営におけるマテリアリティと位置づけています。私たちは次の取り組みにより、持続可能な社会の実現に貢献します。
- カーボンニュートラルの実現
直接的・間接的な排出を問わず、企業活動全体でパリ協定に整合した温室効果ガスの排出量削減を目指します。さらに、事業活動におけるエネルギーを100%再生可能エネルギーへと転換することで、排出と吸収のバランス達成を目指します。 - 温室効果ガスの排出量削減
化石燃料の使用拡大につながる投資を行わず、自社で太陽光発電設備を導入し、再生可能エネルギーによる自家発電比率を向上させるとともに、工場・オフィスでの省エネルギー活動を徹底します。 - 環境課題に関する教育・研修の実施
従業員、お客さま、サプライヤー、投資家、地域社会の方々など、社内外のステークホルダーとの対話を深め、環境課題解決に向けた教育活動に取り組みます。
これらの取り組みに加え、気候変動否定派や気候関連規制に反対する団体への資金提供など、気候変動に関する基本姿勢と矛盾する活動を行わず、環境課題解決に貢献し、持続可能な未来の社会の実現に寄与します。
TCFD 対応
TCFDへの賛同
アンリツ(株)は2021年6月30日にTask Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース:TCFD)※に賛同し、その提言に準拠した情報開示を行っています。
※ TCFD: G20金融安定化理事会が2015年に設立した国際的なタスクフォース。2023年10月に役割を終え解散し、その機能はInternational Sustainability Standards Board(国際サステナビリティ基準審議会:ISSB)へと統合されました。
TCFD提言に準拠した情報開示はこちらで掲載しています。
目標・進捗
温室効果ガス排出量削減関連の目標
アンリツグループは、2050年までにScope1+2のカーボンニュートラル実現を目指し、気候変動イニシアティブ(JCI)へ参加しています。カーボンニュートラルに向けて、SBT認定を取得した温室効果ガスの排出量削減目標、再生可能エネルギーの自家発電比率の向上をKPIとしています。
| KPI | 目標 | 2025年度実績 | |
|---|---|---|---|
| 温室効果ガス排出量削減 | Scope1+2(1.5℃目標) | 2050年までにカーボンニュートラルを実現する | 31.0%削減※3 |
| 2030年度までに2021年度比で42%削減する※1 | |||
| Scope3 Category1+11(Well-below2℃目標) | 2030年度までに2019年度比で27.5%削減する※1 | 26.6%削減※4 | |
| 太陽光自家発電比率の向上 | 2018年度に0.8%だったアンリツグループの太陽光発電比率を、同年度の電力消費量※2を基準に、2030年ごろまでに30%程度まで高める (Anritsu Climate Change Action PGRE 30) |
13.0% | |
※1 SBTイニシアチブから認証された目標
※2 策定時の2019年にアンリツの100%子会社ではなかったATテクマック(株)(現アンリツテクマック(株))、(株)高砂製作所、(株)鶴岡高砂製作所、(株)ハピスマ、DEWETRON GmbHの電力消費量は除く
※3 第三者保証を取得済み (取得日:2026年6月11日)
※4 第三者保証を取得済み (取得日:2026年7月29日)
エネルギー消費量関連の目標
国内グループは、経団連が策定したカーボンニュートラル行動計画※1と「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」(省エネ法)が求めるエネルギー消費量の削減についても目標としています。
| 目標 | 2025年度実績 |
|---|---|
| 基準年度比(2020年度)で、2030年度までエネルギー原単位改善率年平均1%の達成(電機・電子業界のカーボンニュートラル行動計画) | 13.3%削減 |
| 過去5年度間の実質売上高原単位のエネルギー使用量を年平均1%以上改善(省エネ法)※2 | 10.7%削減 |
※1 経団連が策定した計画。事業活動における温室効果ガス排出抑制や革新的技術の開発により2050年におけるカーボンニュートラル実現を方針としている
※2 対象はアンリツ(株)のみ
取り組み・活動実績
Scope1+2における温室効果ガス排出量
アンリツグループのScope1+2排出量の大部分は、購入電力に起因しています。そこで、使用する電力の低炭素化を主体的に推進する施策として、再生可能エネルギーを自家発電し、自家消費するAnritsu Climate Change Action PGRE 30に取り組んでいます。加えて再生可能エネルギー由来の電力の購入、オフィス、工場での省エネルギー施策および設備更新などによる削減活動を推進しています。
これらの活動により、2025年度のScope1+2の温室効果ガス排出量は10,718t-CO₂eとなり、SBT1.5℃目標の基準年度である2021年度比31.0%の削減となりました。
■ PGRE 30の進捗
アンリツグループは、2010年代から太陽光発電設備を導入しています。2019年度には、長期にわたって再生可能エネルギーの自家発電、自家消費を行い、温室効果ガス排出量の削減を進める取り組みとしてPGRE 30を策定しました。PGRE 30は厚木地区、東北地区、Anritsu Company(米国)で年間8,000MWhの発電量に相当する太陽光発電設備を導入し、2018年度に0.8%だった太陽光自家発電比率を、2030年ごろに30%程度まで高めることを目標とし、その実現に向けて取り組みを進めています。
計画時に対象としていた地区ではない川崎地区、Anritsu Infivis (THAILAND) Co., Ltd.でも太陽光発電設備を導入しており、2026年3月末時点のアンリツグループ全体の太陽光発電能力は3,125kWとなりました。東北地区では大容量蓄電池(NAS電池 定格出力:400kW 定格容量:2,400kWh)も導入し、蓄電した電力を夜間に使用しています。これにより、発電した電力を無駄なく使用するとともに、太陽光発電が減少する夕方以降の電力逼迫リスク対策にも貢献しています。
2025年度の太陽光自家発電比率は、13.0%です。
太陽光自家発電量
| 単位 | 2025年度 | 2024年度 | 2023年度 | 2022年度 | 2021年度 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 太陽光自家発電量 | MWh | 3,461 | 3,340 | 2,765 | 1,941 | 1,791 |
厚木地区
太陽光自家発電設備
ソーラーカーポート
東北地区
太陽光自家発電設備
蓄電池
Anritsu Company
太陽光発電設備
■ 事業活動におけるエネルギー消費量削減
国内グループでは職場単位で省エネ対策チームを編成し、次の活動を行いました。
- 実験室や職場における節電の呼びかけ、空調の適切な管理の推進
- 国内の各地区における電力使用量・電気料金などの情報を月次で従業員に提供
厚木地区の営業オフィスでは夏季に猛暑対策を優先したことから、電力使用量が増加傾向にありました。そこで次の活動を行い、電力使用量削減に注力しました。
- 空調設定の制限
- 窓等の断熱対策
- 毎日の電力メーター監視
- 休日の自動販売機、給湯器停止
これらの取り組みにより、アンリツグループの2025年度のエネルギー消費量は、2024年度比5.6%削減の258,060GJとなりました。
■ 2025年度に実施したエネルギー削減施策
| 実施地区 | 施策 | 削減量 (t-CO₂e/年) |
|---|---|---|
| 厚木 | 電力需要ピーク時の節電(デマンドレスポンス) | 1.1 |
| 変電所の設備の更新 | 10.1 | |
| 平塚 | 省エネ活動※1 | 53.4 |
| 東北 | 省エネ活動※1 | 95.3 |
| 川崎 | 空調機更新 | 9.2 |
| 鶴岡 | 省エネ活動※1 | 28.1 |
| 空調機更新 | 2.6 | |
| 合計 | 199.9 | |
※1 空調の適切な管理、節電の徹底など
Scope3における温室効果ガス排出量
アンリツグループは、Scope3総排出量の大部分(2025年度実績:78.5%)を占める「購入した製品・サービス(Category1)」と「販売した製品の使用(Category11)」における削減に取り組んでいます。 Category1およびCategory11における温室効果ガス排出量は、サプライヤーの電力消費および顧客による製品使用時の電力消費が主であり、サプライヤーへの排出削減依頼や環境配慮型製品の開発、お客さまへの製品紹介などに継続して取り組んでいます。
Category1の集計では総排出量配分方式を採用し、サプライヤーの排出量削減努力を反映しています。調達額が上位にあるサプライヤーから温室効果ガス排出を収集し、排出量算定における1次データとして活用しています。Category11の算定では製品の生涯稼働時間に加え、一部のお客さまの再生可能エネルギー導入率も反映しています。
2025年度のCategory1とCategory11を合わせた温室効果ガス排出量は、Well-below2℃目標の基準年度としている2019年度比26.6%削減となりました。
■ Category1の温室効果ガス排出量削減
サプライヤーとの情報交換会でSBT目標達成への協力を要請しています。「アンリツ環境レター」でアンリツグループの気候変動対策と実績を紹介し、省エネ、再エネ導入を依頼し、対応状況をアンケートで調査しています。
サプライヤーからのデータを基に算出した2025年度の連結売上高あたりの温室効果ガス排出量は、基準年度比(2019年度比)で31%削減となりました。
■ Category11の温室効果ガス排出量削減
アンリツグループは、環境配慮型製品の開発と測定ソリューションのソフトウエア化により、Category11の温室効果ガス排出量削減に取り組んでいます。
環境配慮型製品の開発では、独自の基準により「エクセレント エコ製品」「エコ製品」を認定する環境配慮型製品認定制度を導入し、製品の消費電力低減に取り組んでいます。製品ライフサイクルの各段階で温室効果ガス排出量を把握し、次の製品開発に生かしています。エクセレント エコ製品についてはカーボンフットプリントを開示しています。エクセレント エコ製品以外でも、カーボンフットプリントを算出した製品については問い合わせに応じて回答しています。
2020年度から温室効果ガス排出量が多い製品群を持つPQA事業部門と環境推進部門で連携し、温室効果ガス排出量削減活動を行っています。最新のX線制御技術によって、従来機種に比べ消費電力を約30%削減したX線検査機「XR76シリーズ」を開発し、2025年4月から販売を開始しました。また、高砂製作所とも連携し、高効率の製品ラインナップ拡充を通じて温室効果ガス排出量削減を推進しています。
2025年度末時点で販売中のエクセレント エコ製品は20機種、エコ製品は71機種です。2025年度の計測器の売上高に対する環境配慮型製品の割合は98%、「エクセレント エコ製品」の割合は92%でした。
国内グループでは、環境配慮型製品の経済効果を算定しており、2025年度の経済効果は、みなしで50百万円でした。
測定ソリューションのソフトウエア化では、専用ハードウエアから脱却し、汎用PCや汎用サーバー環境で試験を行えるソリューションを提供し、製品の開発・製造・輸送、お客さまの使用、廃棄の各プロセスで消費電力削減に貢献しています。
環境配慮型製品の詳細はこちらで掲載しています。
製品を通じた社会課題解決への貢献はこちらで掲載しています。
■ Category4の温室効果ガス排出量削減
国内グループでは、PQA事業の大型製品において専用コンテナを使ったトラック輸送から鉄道輸送へ切り替え、Scope3 Category4(輸送・配送)に関わる温室効果ガス排出量削減に取り組んでいます。
2025年度は、厚木地区から九州・四国へ出荷する製品の輸送をトラックから鉄道または船舶への切り替えに取り組み、90t-CO₂e(1,600GJ)のエネルギー消費量削減を実現しました。
2026年度は、次の施策を実施し、90t-CO₂e以上の削減に取り組みます。
- 厚木地区から九州・四国・北海道へ出荷する製品の輸送をトラックから鉄道または船舶への切り替え
- トラックの積載率向上によるトラック運行数削減
■ バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量
第三者保証
アンリツ(株)は、温室効果ガス排出量(Scope1、Scope2マーケットベースおよびロケーションベース、Scope3※)、エネルギー消費量について、株式会社サステナビリティ会計事務所による第三者検証を受審しています。2025年度の上記の値について、同事務所による国際保証業務基準ISAE3000およびISAE3410に準拠した検証により、限定的保証を受けました。
※ Scope3は、Category1~7、11~13、15が対象
独立第三者の保証報告書はこちらで掲載しています。
Topic
CDPの評価
■ 2年連続 Aリスト選定
アンリツ(株)は、CDPが実施する2025年気候変動評価において、2年連続で最高評価である「Aリスト」に選定されました。CDPは、世界的に著名な非営利団体であり、企業や自治体から開示される環境関連情報を評価しています。Aリストは、気候変動対策の優れた実績と情報開示の透明性が評価された企業が選ばれます。2025年は、22,100社を超える企業が回答した中、アンリツは、温室効果ガス排出量の削減、再生可能エネルギー利用の拡大、サプライチェーン全体での環境負荷低減に継続して取り組んできた点が高く評価され、2年連続で「Aリスト」に選定されました。
CDP 2年連続Aリスト選定に関するニュースリリースはこちらで掲載しています。
■ 5回目となるサプライヤーエンゲージメントリーダーを獲得
アンリツ(株)は、CDPの「サプライヤーエンゲージメント評価」(SEA)において、最高評価である「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」を獲得しました。CDPは質問書に回答した企業の気候変動に関するサプライヤーへの働きかけを「ガバナンス」「リスク管理プロセス」「目標」「Scope3管理」「バリューチェーンエンゲージメント」の5つのカテゴリーで評価し、特に優れた企業を「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」として選定しています。本選定の獲得は、2020年、2021年、2022年、2024年に続く5回目です。