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TCFD提言に準拠した情報開示

TCFDへの賛同

アンリツは2021年6月30日にTask Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース:TCFD)※に賛同し、その提言に準拠した情報開示を行っています。

 

※ TCFDはG20金融安定化理事会が2015年に設立した国際的なタスクフォース。2023年10月に役割を終え解散し、その機能はInternational Sustainability Standards Board(国際サステナビリティ基準審議会:ISSB)へと統合されました。

ガバナンス

アンリツ(株)の取締役会が、アンリツグループの気候変動全般に関する課題や取り組みを監督しています。各種活動の推進は、グループCEOおよびCFOが責任を負っています。リスクと機会の管理は、グループ全体のリスクマネジメントシステムに組み込まれ、環境総括役員がリスク管理責任者としての責務を負っています。環境総括役員はアンリツグループの環境戦略を担う環境・品質推進部を所管するとともに、環境管理委員会の委員長、グローバル環境管理会議の主宰者を務め、リスクと機会をグローバルに評価・管理しています。環境総括役員は、経営戦略会議および取締役会にリスクと機会の年間を通したマネジメントサイクルの結果を定期的に報告し、意見や必要な指示を受けています。

取締役会は、経営戦略会議において審議されたSBTイニシアチブ(SBTi)への計画申請やAnritsu Climate Change Action PGRE 30(PGRE 30)に基づいて実施する再生可能エネルギー発電設備や省エネルギー設備導入などの投資案件を決議するとともに、温室効果ガス排出量削減目標やPGRE 30の進捗を確認しています。

気候変動に関する情報開示は、中期経営計画(GLP)の策定もしくはレビューとして毎年度経営戦略会議で審議・承認し、取締役会に報告し、その監督の下で行います。役員報酬における短期インセンティブの算定には、各人の貢献度を計る指標として、売上高と営業利益、サステナビリティ目標の達成度を用いています。 サステナビリティ目標に気候関連の目標(温室効果ガス排出量の削減、自家発電比率の向上)が含まれています。

戦略

気温が1.5℃あるいは4℃上昇する場合のシナリオを基に、 短期(1年)・中期(3年)・長期(~30年)のリスクと機会を抽出し、気候変動に関する分析を実施しています。シナリオ分析ではバリューチェーン全体を含めた事業戦略と財務計画への影響を考慮しています。その結果、規制強化の影響や生産拠点の一部での物理的な影響を想定し対応策を定めるとともに、 脱炭素社会に寄与するソリューション開発に取り組むこととしました。

 

シナリオ分析

タイプ 要因 シナリオ※1 想定シナリオの詳細 時間的視点 想定される影響 影響度※2 対応策
移行リスク 炭素税の課税 1.5℃ 温室効果ガス排出量への課税 長期 ・事業活動に伴うコストの増加 やや大 ・1.5℃目標でSBT認証を取得したScope1+2の削減
・インターナルカーボンプライシングの導入
1.5℃ 物価上昇で景気が停滞 中期 ・顧客の投資が縮小・遅延して売上が減少
・調達難や部材コスト増により利益が減少
中 ・ソフトウエアベースの仮想化試験環境とソフトウエア無線を組み合わせたソリューション開発を推進し、部材価格の変動影響が少ないビジネスモデルを構築
・効率化とグループ統一調達プロセスの確立による原価競争力の強化
物理リスク 自然災害の頻発化・激甚化 4℃ 各地で異常気象が頻発化・激甚化 長期 ・生産工場の操業や部材の調達に影響 大 ・東北アンリツ㈱第一工場の生産機種を第二工場に移管し、河川氾濫による操業への影響ゼロを実現
・海外製造拠点における浸水対策の実施
・アンリツグループ内の生産拠点の連携による相互生産の推進
・部材生産地をマップ化し、調達への影響を最小化
・複数社購買可能な体制を構築
・サプライヤー分散とAI・IoTを活用した需給・生産・物流の一体最適化による供給変動への対応力強化
長期 ・気温上昇により、製造工程における品質保証が難しくなる 大 ・2023年度に外気温の変動に左右されない空調管理システムを導入し、運用を開始
機会 エネルギーミックスの変化 1.5℃ 再エネ発電比率が高まる 長期 ・太陽光発電設備の導入コスト低下 やや大 ・PGRE 30の推進で自家発電比率を高め、電力料金を低減
2025年度はこれまで設置した3,125 ㎾の太陽光発電設備が稼働。東北アンリツ㈱第二工場では、メガソーラー級発電設備と蓄電池を組み合わせたシステムを運用
省エネ技術の進展 1.5℃ 投資により新技術が普及 中期 ・新たな省エネ技術の採用で製品の環境付加価値向上 やや大 ・環境配慮型製品の開発推進で製品を省エネ化
・省エネ部品を積極採用
市場の変化 1.5℃ 高機能と環境性能を備えた製品の需要拡大 中期 ・試作機不要の開発を望む顧客が増加し、仮想化等、シミュレーション試験環境の需要増 大 ・ソフトウエアベースの仮想化試験環境ソリューションを提供
中期 ・データセンターの省エネ化に必要な製品の需要増加 やや大 ・次世代グリーンデータセンター向け光電融合デバイスの開発・製造向けソリューションを提供
・低消費電力、高電力効率の光デバイス製品を提供
長期 ・EV普及により高効率パワートレインや電池の開発用評価機器の需要増加
・社会インフラにおける再エネや燃料電池を効率的に活用するエネルギーマネジメントシステムの需要拡大
大 ・高品質なパワートレインや電池の開発を効率化するテストソリューションを強化
・パートナー企業との協働によりエネルギーマネジメントシステムの事業機会を獲得
自然災害の頻発化・激甚化 4℃ 気象の激甚化による食糧生産、需給環境の悪化 長期 ・食品廃棄ロスのさらなる削減のため、原材料段階での異物検出や不良品のピンポイント選別の需要が拡大 やや大 ・原材料段階で色、成分、虫、細菌、成分などの品質不良を識別できるソリューションの実用化
・DX、AI、ロボットを活用した異物検出精度向上や生産ラインのモニタリング、不良品選別ソリューションを提供
各地で異常気象が頻発化・激甚化 長期 ・防災投資が増加して河川や道路の監視ソリューションの需要増加 中 ・パートナー企業と映像情報システム等、防災・減災ソリューションの対応力を強化
長期 ・少子・高齢化に伴うオペレーション人員不足をカバーする遠隔監視ソリューションの需要増加 中 ・ICTシステムを活用したより高度な防災・減災システムの実現に寄与するソリューションを提供

※1 参照シナリオ:【移行】 IEA NZE by 2050 【物理】 IPCC RCP 8.5

※2「影響度」は、売上・利益等の財務上の影響額とそのリスクと機会が顕在化する可能性を考慮して、「大、やや大、中、やや小、小」の5段階で当社独自の基準に基づいて判断したもの。なお、影響度の低い「やや小」と「小」の掲載は省略

リスク管理

アンリツ(株)は、気候変動に関するリスクと機会を環境リスクの一部として位置づけ、グループ全社で総合的に管理するリスクマネジメントシステムに組み込んでいます。中期経営計画(GLP)の策定および定期的なレビューの過程を通じて継続的にモニタリングし、見直しを行っています。個別のリスクと機会については、各事業部門、コーポレート部門およびグループ会社がGLPの策定・レビューの過程で抽出しています。環境管理委員会は、これらのリスクと機会について、発生の可能性および事業や財務への影響度の観点から重要性を評価し、優先度の高い項目を特定したうえで、対応策を整理しています。 抽出・評価結果および対応方針は、定期的に経営戦略会議において審議・承認され、その内容は取締役会へ報告されます。これにより、気候変動に関するリスクと機会は、当社グループの事業戦略および投資判断を含む意思決定プロセスに反映される仕組みとなっています。

指標と目標

アンリツ(株)は、SBT認証を取得した温室効果ガス(CO₂換算)排出量(Scope1+2およびScope3)削減目標と再生可能エネルギー自家発電比率を指標としています。

 

KPI 目標 2025年度実績
温室効果ガス排出量削減 Scope1+2(1.5℃目標) 2050年までにカーボンニュートラルを実現する 31.0%削減※3
2030年度までに2021年度比で42%削減する※1
Scope3 Category1+11(Well-below2℃目標) 2030年度までに2019年度比で27.5%削減する※1 26.6%削減※4
太陽光自家発電比率の向上 2018年度に0.8%だったアンリツグループの太陽光発電比率を、同年度の電力消費量※2を基準に、2030年ごろまでに30%程度まで高める
(Anritsu Climate Change Action PGRE 30)
13.0%

※1 SBTイニシアチブから認証された目標

※2策定時の2019年にアンリツ(株)の100%子会社ではなかったATテクマック(株)(現アンリツテクマック(株))、(株)高砂製作所、(株)鶴岡高砂製作所、(株)ハピスマ、DEWETRON GmbHの電力消費量は除く

※3 第三者保証を取得済み (2026年6月11日)

※4 第三者保証を取得済み (2026年7月29日)

 

■ Scope1+2の削減活動

Scope1+2の温室効果ガス排出量の削減については、その大部分がエネルギー消費によるものであるため、再生可能エネルギーの使用拡大と工場やオフィスでの省エネを両輪とする活動を行っています。

 

  • 太陽光自家発電設備の導入

再生可能エネルギーでは、太陽光の自家発電・自家消費を重視しています。アンリツグループは2010年代から太陽光発電設備を導入しています。2019年度には、長期にわたって再生可能エネルギーの自家発電、自家消費を行い、温室効果ガス排出量の削減を進める取り組みとしてPGRE 30を策定しました。PGRE 30は厚木地区、東北地区、Anritsu Company(米国)で年間8,000MWhの発電量に相当する太陽光発電設備を導入し、2018年度に0.8%だった太陽光自家発電比率を、2030年ごろに30%程度まで高めることを目標としています。(株)高砂製作所、Anritsu Infivis (THAILAND) Co., Ltd.でも太陽光発電設備を導入しており、2026年3月末時点のアンリツグループ全体の太陽光発電能力は3,125kWです。東北地区では発電容量1,300kWの太陽光発電設備と定格容量2,400kWhの蓄電池を組み合わせた大規模太陽光発電システムを導入し、夜間に必要な電力の一部を蓄電した再生可能エネルギーで賄っています。再生可能エネルギー由来の電力を供給する電力会社との契約等による温室効果ガス排出量削減にも取り組んでいます。

 

  • 省エネ活動

省エネ活動では、2023年3月に立ち上げた省エネ対策チームの下、適切な空調管理と実験室での節電などを継続しています。あわせて、国内の各地区における建屋別・フロア別の電力使用量、電気料金を社内イントラネットで見える化しています。各部門は前年実績との比較や増減要因を分析し、その結果を環境管理委員会で共有・確認しています。これにより、現場主体の改善を継続的に促し、組織的な省エネ管理と従業員の意識向上を図っています。

 

この結果、Scope1+2の温室効果ガス排出量は2021年度比31.0%削減となりました。

 

■ Scope3の削減活動

Scope3では、Scope3総排出量の78.5%(2025年度参考値)を占める「購入した製品・サービス(Category1)」と「販売した製品の使用(Category11)」の削減に取り組んでいます。

 

  • Category1の削減活動

Category1排出量の削減では、主要サプライヤーを中心に、Scope1、Scope2およびScope3排出量の調査および情報提供の依頼を行うとともに、サプライヤーとの定期的な情報交換会等を通じて、温室効果ガス排出量の把握および削減に向けた取り組みへの協力を呼びかけています。

これらの活動により、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出削減を推進しています。

Category1の排出量算定では、購入金額に基づく原単位計算を基本とし、主要サプライヤーの排出特性を可能な範囲で反映する方法により算定しています。購入金額の品目別集計に基づく排出量算定に加え、購入金額上位の主要サプライヤーを対象に排出量調査を実施し、サプライヤー固有の排出原単位を反映しています。

 

  • Category11の削減活動

Category11排出量の削減では、環境配慮型製品の開発による低消費電力化の推進および測定ソリューションのソフトウエア化の拡大に注力しています。環境配慮型製品の開発では、独自の基準により「エクセレント エコ製品」「エコ製品」を認定する制度を導入し、製品の消費電力低減に取り組んでいます。2025年度は、計測器の売上高に占める環境配慮型製品の割合は98%、エクセレント エコ製品の割合は92%となりました。測定ソリューションのソフトウエア化では、専用ハードウエアを必要とせず、汎用PCや汎用サーバー環境で利用可能なソリューションの開発・販売を進めることで、顧客におけるエネルギー消費の抑制にも貢献しています。 Category11排出量は、製品の消費電力、想定される生涯稼働時間および販売台数に基づき算定しています。製品分類ごとに設定した生涯稼働時間を用いて排出量を算定した上で事業別に集計し、さらに、事業別売上高上位の顧客を対象とした再生可能エネルギー導入状況を考慮することで、合理的な範囲で排出量算定に反映しています。この結果、Scope3(Category1+Category11)の温室効果ガス排出量は、2019年度比26.6%削減となりました。

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