データセンターの設立やモバイルネットワークの拡大により、より大容量、長距離伝送が求められています。IEEEでは100GbEの商用化が進み、400GbEの研究や800GbEの検討が始まっています。ITU-Tではより長距離伝送向けにDP-QPSKといった位相変調を用いたコヒーレントトランシーバの商用化が進んでおり、16QAMや32QAMといったより多値に変調できる方式によりシンボルレートを上げずに伝送容量を上げる研究が進んでいます。
変調方式やシンボルレートが上がると、伝送装置を変更しなければならないため追加投資が必要となります。しかし、ファイバアンプは光信号の状態で信号を増幅できるため、変調方式やシンボルレートが変更されてもファイバアンプ設備が流用できるというメリットがあります。ファイバアンプは大きく2種類あり、一つはEDFA (エルビウムドープドファイバアンプ)でもう一つはFRA (ファイバラマンアンプ)です。EDFAとは、希土類元素であるEr:エルビウム(原子番号68)をコアに添加したErドープ光ファイバを利得媒体とし光励起により1.55μm帯の信号光を増幅させるものです。波長多重信号(wavelength-division multiplexing: WDM)の一括増幅が可能になり、光海底ケーブルや光加入者系などの長距離: 大容量通信システムの重要なシステム構成要素となっています。FRAとは、EDFAと異なり伝送路の光ファイバ自体を利得媒体として利用する光増幅器です。光ファイバ中の非線形光学効果である誘導ラマン散乱を利用したもので、信号光の1.55μm帯では励起光に対して100nm長波領域に利得帯域を持ちます。そのため、励起光波長を変えることで任意の波長域で増幅できるのが特徴です。
アンリツでは、光通信用デバイスとしてPump LD、SOA、Gain Chipを用意しています。
Pump LDは、ファイバアンプの励起用LDモジュールでEDFAに適した1.48μm FP-LDモジュールとFRAに適した1.4μm FBG付FP-LDがあります。FBG付FP-LD は、FP-LDにFBG (Fiber Bragg Grating)が形成されたファイバを接続し、波長選択され波長安定性が高く線幅の狭いLDです。
SOA は、入力信号を直接増幅する光半導体で、主に100GBASE-ER4/ZR4のWDM波長を受信側で増幅するためにCFPやCFP2モジュールにレシーバーアンプとして組み込まれます。
Gain Chipは、外部共振型波長可変レーザ用の光源で利得が大きく広い利得帯域を有しているため、コヒーレントトランシーバやiTLA向け外部共振型波長可変レーザ用に最適です。
以下が、光源の種類における最適なアプリケーション例です。
主なアプリケーション
- EDFA、FRAに最適な光源:Pump LD
- ER4、ZR4トランシーバのレシーバーアンプとして最適な光デバイス:SOA
- コヒーレントトランシーバやiTLAに最適な光源:Gain Chip