センシングとは、光、超音波、エコー、X線などを用いて離れたところにある対象物を非接触で定量的に測定する技術です。代表的な医療用光センシングの例として、光を出射し対象物から反射して戻ってきた散乱光の波長や時間差を確認することで対象物の断面や深さが確認できます。
アンリツでは医療用光センシング向けにSLD(スーパールミネッセントダイオード)、波長掃引光源(Wavelength Swept Light Source)といった種類の光源を用意しています。
SLDは、レーザダイオード並みの出力パワーとLED (Light Emitting Diode)並みの広いスペクトル幅、低コヒーレンス性を兼ね備えた光源です。レーザダイオードと同等の狭い活性層で発光するため光ファイバとの結合に優れております。超音波、エコー、X線と比べて測定対象物への侵入深さは1mm程度と浅くなるものの、分解能が1umと高くなります。加齢黄斑変性症や緑内障の早期発見のため、より高分解能が要求される網膜の断面を測定する眼科OCT用光源として使用できます。
波長掃引光源は、狭線幅の縦単一モードを連続かつモードホップフリーで波長掃引することで、高コヒーレンスな波長掃引光が得られます。コヒーレンス長が長いアンリツの波長掃引光源は測定可能な距離範囲を100mまで広げることができ、OFDR(Optical Frequency Domain Reflectometry)の干渉信号を高いSNRで測定できることから位置分解能や確度を向上させることができます。数cmとなる角膜頂点から網膜までの眼軸長さも十分に測定できるため、白内障治療として混濁した水晶体の代わりに人工レンズを入れますが、この度数を決めるための眼軸長測定器の光源として使用できます。
以下が、光源の種類における最適なアプリケーション例です。
主なアプリケーション
網膜の断面の観測に最適な光源:SLD
眼軸長測定に最適な光源:波長掃引光源