センシングとは、光、超音波、エコー、X線などを用いて離れたところにある対象物を非接触で定量的に測定する技術です。代表的な産業用光センシングの例として、ファイバ内のラマン散乱効果による温度、振動、歪みの計測があります。また、光を出射し対象物から反射して戻ってきた散乱光の波長や時間差を確認することで対象物との距離が確認できるため、厚みや表面の粗さが測定できます。
アンリツでは産業用光センシング向けにSLD(スーパールミネッセントダイオード)、波長掃引光源(Wavelength Swept Light Source)、DFB-LD(分布帰還型(Distributed Feedback)レーザ)といった種類の光源を用意しています。
SLDは、レーザダイオード並みの出力パワーとLED (Light Emitting Diode)並みの広いスペクトル幅、低コヒーレンス性を兼ね備えた光源です。レーザダイオードと同等の狭い活性層で発光するため光ファイバとの結合に優れており、対象物の厚みの計測(OCT)やジャイロ用の光源として使用できます。
波長掃引光源は、狭線幅の縦単一モードを連続かつモードホップフリーで波長掃引することで、高コヒーレンスな波長掃引光が得られます。コヒーレンス長が長いアンリツの波長掃引光源は測定可能な距離範囲を100mまで広げることができ、OFDR(Optical Frequency Domain Reflectometry)の干渉信号を高いSNRで測定できることから位置分解能や確度を向上させることができます。医療系OCTや薄膜の膜厚計側のみならず、より長い測長分野である大型構造物のOFDRへ適用できます。
DFB-LDは、レーザダイオード内部に回析格子を実装した単一狭線幅の縦モードレーザです。一般的には通信用光源として使用されますが、より高出力のDFB-LDはガスセンシング用光源として使用できます。例えば1,653nmの波長はメタンガスに吸収されやすい特徴を持っていますので、戻ってきた反射光の1,653nmの強度を観測することでガス濃度を測定できます。
以下、光源の種類における最適なアプリケーション例となります。
主なアプリケーション
測長に最適な光源:SLD, 波長掃引光源
- 産業OCT(厚み計測)
- 精密計測(薄膜の均一性検査や加工物のバリ、傷検査、原子間力顕微鏡)
- 振動計測(回転体の振動)
- インフラ、プラント計測(大型構造物の変位)
位置情報の観測に最適な光源:SLD
特定物質の確認に最適な光源:DFB-LD