Pump LD、ポンプLD(FP-LD, FPレーザダイオード)とは
概要
Pump-LD(レーザダイオード)は、光通信ネットワークで使用されるファイバアンプの励起用の光源です。
Pump-LDには構造のシンプルなFP(ファブリペロー、Fabry-Perot)-LDと、FBG(ファイバブラッググレーティング、Fiber Bragg Grating)-LDがあります。FBG-LDは偏波保持ファイバに回折格子が形成されたFBGをFP-LDに接続することで、高い波長安定性と狭いスペクトル半値幅の光を出力します。それぞれのスペクトル例は下図の通りです。

FBGモジュール 模式図

FP-LD スペクトル例

FBG-LD スペクトル例
FP-LDは主にエルビウム(Er)ドープファイバアンプ(EDFA、Er Doped Fiber Amplifier)に使用され、EDFAの励起波長で特に励起パワー変換効率のよい1.48 μm帯の光を出力します。近年ではFRA(ファイバラマンアンプ、Fiber Raman Amplifier)の前方励起用途としても活用され始めました。FBG-LDは主にFRAに使用され、アンプの要求波長仕様に合わせて中心波長を選択できます。
アンリツではEDFAに適したFP-LDモジュールと、FRAに適したFBG-LDモジュールの両方を取り揃えています。FP-LDモジュールはEDFAの要求仕様に合わせ中心波長1475±15 nm、光出力は120 mWから650 mWが標準となります。FBG-LDモジュールはFRAの要求仕様に合わせた中心波長において、最大500 mWの光が出力できます。また、高次FRA、およびSバンド対応FRAに使用される1.3 µm帯のFBG-LDモジュールも対応できます。
アンリツのLDモジュールは、Telcordia GR-468-COREに準拠しており信頼性が高く、RoHS指令に適合しています。モジュール形状は業界標準の14ピンバタフライ型で温度制御用TEC(Thermo-Electric Cooler)、光出力モニタ用PDが内蔵されています。
特長
FP-LD モジュール
EDFA用励起光源に好適です。また一部機種はファイバラマンアンプ用の前方励起用としても適用できます。
- 光出力:120~500 mW(10 mW間隔で対応可能)
- 波長範囲:1475±15 nm
- ファイバ:シングルモードファイバ(SMF)、偏波保持ファイバ(PMF)
- 光コネクタ:各種光コネクタに対応
- 14pinバタフライパッケージ
- 光アイソレータ、モニタPD、クーラ内蔵
FBG LD モジュール
ファイバラマンアンプ用励起光源、1.3 µm帯にも対応できます。その他の波長についてはお問い合わせください。
- 光出力、波長範囲:
500 mW/1340 nm、1360 nm
300~500 mW/1420~1485 nm
300~400 mW/1420~1499 nm
- ファイバ:偏波保持ファイバ(Φ0.25 mm UVコート)
- 光コネクタ:各種光コネクタに対応
- 14pinバタフライパッケージ
- モニタPD、クーラ内蔵
用途
光ファイバ増幅器(EDFA、FRA)
光ファイバ増幅技術は、従来のように中継局で信号光を電気に変換することなく、光を光のまま増幅することで、光ファイバ伝送損失を補償することができる技術です。光ファイバ増幅器には主にEDFAとFRAがあります。
EDFAとは、希土類元素であるEr:エルビウム(原子番号68)をコアに添加したErドープ光ファイバを利得媒体とし光励起により1.55µm帯の信号光を増幅させるものです。1990年代後半に発明されたこのEDFAにより、波長多重信号(wavelength-division multiplexing: WDM)の一括増幅が可能になり、光海底ケーブルなどの長距離や光加入者系などの大容量通信システムの重要なシステム構成要素となっています。

EDFA模式図
この励起光源には0.98 µm帯または1.48 µm帯の波長が使われます。0.98 µm帯の励起光では量子変換効率が低く、雑音指数(NF)が低いという特長があります。一方、1.48 µm帯の励起光では量子変換効率が高いという特長があります。
アンリツは、EDFAが通信用光増幅として使用され始めた初期から、励起光源として1.48 µm LDモジュールを提供し続けています。
FRAは、EDFAと異なり伝送路の光ファイバ自体を利得媒体として利用する光増幅器です。光ファイバ中の非線形光学効果である誘導ラマン散乱を利用したもので、信号光の1.55 µm帯では励起光に対して約100 nm長波領域に利得帯域を持ちます。そのため、励起光波長を変えることで任意の波長域を増幅できるのが特長です。
光ファイバのラマン散乱スペクトル
より正確な励起光波長を得るために、FRA用励起光源にはLDモジュールの出力ファイバ内部に回折格子を設けたファイバ(FBG)を適用したFBG-LDが利用されます。このFBGによって、波長選択性および波長安定性が高いLD出力光が得られます。アンリツでは1.4 µm帯の幅広い波長範囲でFBGモジュールを提供しています。

FRA模式図