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グループCEOメッセージ

“はかる”を起点に、社会課題の解決へ

2030年度2,000億円企業の実現に向け、成長領域への展開を加速する

不確実性を前提に、持続的に成長する企業へ

2025年度は、増収増益という成果を収めることができました。

しかし、この1年を振り返ると、決して平坦な道のりではありませんでした。第1四半期には、米国の関税政策の影響などにより、お客さまが設備投資に慎重な姿勢を取られ、厳しい事業環境となりました。先行きが見通せない中で、経営として難しい判断を迫られる場面もありました。その後、第3四半期以降は、生成AIの普及を背景としたデータセンター関連投資が拡大し、市場環境は大きく変化しました。その結果、第4四半期には想定を上回る需要の伸びを捉えることができ、年間では増収増益という成果につなげることができました。

この1年を通じて改めて実感したことは、「不確実性」は特別な事象ではなく、これからの経営における前提条件になるということです。米中関係、関税政策、世界各地の紛争などの地政学リスクは、企業の力だけでは動かすことのできない要因として、市場環境を短期間で大きく変化させています。こうした時代に求められるのは、未来を完全に予測することではありません。変化の兆しをいち早く捉え、必要な判断を行い、迅速に行動へ移すことのできる企業体質をつくることです。そのためにも、私たちは変化に柔軟かつ迅速に対応できる組織へ進化していかなければならないと考えています。

ただし、短期的な市場変動と、長期的な成長戦略は分けて考える必要があります。例えば、現在EV市場は調整局面にあります。しかし、脱炭素社会の実現に向けた技術革新や環境計測分野の重要性が低下するわけではありません。通信市場も6Gに向けた端境期にありますが、その先には新たな社会インフラやサービスを支える大きな成長機会が広がっています。目の前の変化だけに左右されるのではなく、将来必要となる技術や事業領域へ継続的に投資していく、その姿勢こそが、持続的な成長につながると考えています。

2030年度2,000億円企業が意味するもの

その未来に向けた象徴として掲げているのが、「2030年度売上高2,000億円企業」という目標です。しかし、この目標の本質は、単純に売上規模を拡大することではありません。重要なのは、この挑戦を通じてアンリツ自身が新たな価値を生み出す企業へ変革していくことです。

これまでアンリツは、通信計測を中心に、高い専門性と技術力によって社会を支えてきました。お客さまの高度な要求に応える製品を提供し、社会インフラの品質や信頼性を支える。その積み重ねによって、現在の技術基盤とブランドを築いてきました。これは、アンリツが長年培ってきた大きな強みです。しかし、これからさらに成長していくためには、これまで培った強みを守るだけでは十分ではありません。その技術を新たな市場や社会課題の解決へ広げ、より多くの価値を生み出していくことが必要です。

2030年度2,000億円という目標は、単なる売上目標ではなく、アンリツが次のステージへ進むための変革への意思を示すものです。

「私たちは、これからどのような価値を社会へ提供し、どのような企業へ進化していくのか」。その未来像を社員一人ひとりが共有し、自分自身の挑戦として捉えることで、初めて組織全体の力を結集することができます。

2,000億円という目標は、現在の事業構造を単純に延長するだけでは達成できません。通信計測で培った技術力をさらに磨きながら、新たな市場へ挑戦し、事業領域を広げていく必要があります。

これからのアンリツが目指す姿は、単に計測器という「製品」を提供する企業ではありません。技術、ソフトウェア、サービスを組み合わせ、お客さまとともに課題を解決する「ソリューションパートナー」へ進化することです。

「はかる」という技術を起点に、社会に新たな価値を提供する。その変革こそが、2030年度2,000億円企業という目標の本当の意味だと考えています。

GLP2026を起点に、成長領域への展開を加速する

2030年度に目指す姿を実現するためには、これまで培ってきた強みをさらに伸ばすと同時に、新たな成長領域へ踏み出していくことが不可欠です。現在推進している中期経営計画GLP2026は、そのための重要なマイルストーンです。

GLP2026では、通信計測を中核事業としてさらに強化しながら、「産業計測」「EV/電池」「医薬品」を新たな成長領域として位置づけています。通信計測については、6Gをはじめとする次世代通信技術の発展を見据え、将来の市場創出につながる技術開発を着実に進めていきます。

持続的な成長を実現するためには、特定の市場サイクルだけに依存しない、強靭な事業ポートフォリオを構築することが重要です。そのためには、アンリツが長年培ってきた「はかる」技術を、より幅広い産業分野へ展開していく必要があります。

例えば、産業計測分野では、自動車をはじめとする幅広い産業へ計測技術の価値を提供していきます。また、医薬品分野では、食品検査で培った技術や品質保証の知見を活かし、高付加価値な検査ソリューションの確立を目指します。

FY2026 成長分野のビジネス拡大を加速

産業計測を次の成長エンジンへ ― 汎用計測器を起点に市場接点を広げる

産業計測は、中期経営計画GLP2026で重点的に開拓する成長領域の一つです。2030年度に売上高2,000億円を目指す当社にとって、産業計測分野を500億円規模へ育てることは、将来の成長ドライバーを確立する重要な取り組みです。

現在は、通信計測事業の汎用計測器、高砂製作所の汎用電源、DEWETRON社の電力計測器を中心に200億円強の事業規模ですが、既存の強みを活かしながら、市場・製品・販売の各面で成長力を高めていきます。

その中心となるのが、通信計測で培ってきた汎用計測器です。産業計測の市場は、自動車、電子部品、コンピューティング、エアロスペース、ナショナルセキュリティ、ロボットなど幅広い領域に広がっています。既に有力競合企業が存在する市場ではありますが、アジアを中心に市場構造が変化しつつある今は、当社が存在感を高める好機でもあります。

この機会を捉えるため、当社は通信計測事業と環境計測事業にまたがる汎用製品を横断的に展開する組織として、産業計測本部を新設しました。

その役割は、既存製品を新たな市場へ販売することにとどまりません。商品力、ブランド力、販売力を総合的に高め、当社の技術をより広い産業市場の価値へ転換していくことにあります。

商品力の強化では、通信・高周波領域の高度な計測技術をさらに磨くとともに、協業やM&Aも活用し、基本測定器を含む製品ラインナップを拡充していきます。その一環として、2026年6月30日付でAim-TTi Holdings Limitedの発行済株式20.0%の取得を完了しました。同社グループの製品群と当社の計測技術を組み合わせることで、より幅広い顧客ニーズに対応できる体制を整えていきます。

ブランド力の面では、創業以来、通信分野の最先端を支えてきた当社の歴史と技術力を、新たな市場における信頼の源泉として活かしていきます。

品質、信頼性、技術対応力を兼ね備えたブランドとして認知を高めるとともに、技術ブランドを外部へ伝える取り組みも進めていきます。

販売力の強化では、お客さまの課題を理解し、計測によってどのような価値を生み出せるのかを提案できる人材の育成が不可欠です。人材育成機関として2024年4月に立ち上げたA-SKILLsなどを通じて、製品知識に加え、計測技術を顧客価値として伝える力を高め、商品力を市場成果につなげる体制を強化していきます。

当社はこれまで、特定のお客さまの高度な要求に応える専用品に強みを発揮してきました。今後は、汎用製品を通じて幅広い市場と接点を持ち、そこで得た知見を専用品や高度なソリューションへ展開していきます。この循環を確立することが、産業計測事業の成長スピードを高め、当社全体の事業基盤をより強固なものにしていくと考えています。

技術だけでは会社は成長しない。変革を担う「人」を育てる

アンリツが次の成長ステージへ進むために、最も重要な要素の一つが人材です。

アンリツの最大の強みは何かと問われれば、私は迷わず「技術力」と答えます。通信計測で培ってきた高周波技術、センシング技術、ソフトウェア技術など、世界で競争できる技術を持っています。そして、その技術を支えてきた優秀な技術者の存在は、アンリツにとってかけがえのない財産です。

ただ、これから新しい市場へ挑戦し、持続的な成長を実現するためには、技術力だけでは十分ではありません。重要なのは、その技術を社会や市場の価値へ変換する力です。新たなニーズを見つけ、事業の可能性を描き、社内外の人を巻き込みながら最後までやり遂げる。そうした「事業を創る人材」が、これまで以上に必要になります。

私はよく、「アンリツには立派な客車はたくさんある。しかし、先頭を引っ張る機関車がもっと必要だ」と話しています。

高度な専門性を持つ技術者は、これからもアンリツの競争力の源泉です。そのうえで、その技術をどの市場へ展開するのか、どのような価値へ変えていくのかを考え、行動できる人材が増えなければ、会社の成長には限界があります。そのためには、人材育成の考え方そのものも変えていく必要があります。

これまでアンリツは、長年培ってきた企業文化との親和性を重視しながら、人材を育ててきました。それは、技術力や品質へのこだわりを守り、アンリツらしさを継承していくうえで大きな意味がありました。

しかし、次のステージへ進むためには、異なる経験や価値観を持つ人材を積極的に迎え入れ、組織の中に新しい視点を取り込んでいくことが必要です。同じ価値観を持つ人だけでは、新しい市場を創り出すことはできません。異なる考え方が交わり、議論が生まれる。その中から、新しい発想や挑戦が生まれていく。私は、そのような組織へ変化していくことが重要だと考えています。

GLP2026においても、人材は経営戦略の中心に位置づけています。A-SKILLsをはじめとする育成施策も、単に知識やスキルを身につけるための制度ではありません。一人ひとりが自らの仕事を事業成長につなげる視点を持ち、未来のアンリツを創る当事者になること。その意識を育むことを目的としています。

2030年度2,000億円企業という目標は、経営陣だけが掲げるものではありません。社員一人ひとりが未来の姿を理解し、自分自身の挑戦として捉えることで、初めて実現できるものだと考えています。

社会に必要とされる企業であり続けるために

アンリツは、通信ネットワークを支える測定器メーカとして、グローバルに事業を展開し、社会インフラの品質と信頼性を支えてきました。通信、食品、医薬品など、社会が安心して機能し続ける基盤には、正確に「はかる」という私たちの技術があります。

これまで培ってきた技術と信頼は、アンリツの大きな財産であり、新たな価値を生み出す出発点でもあります。

これからのアンリツは、「はかる」技術を起点に、社会の変化や課題に対して自ら解決策を提供する企業へ進化していきます。生成AIの普及による通信インフラの高度化、脱炭素社会に向けたEV/電池技術の進展、食品・医薬品分野で高まる安全・安心への要求は、新たな事業機会であると同時に、私たちが果たすべき責任でもあります。

技術を製品として提供するだけでなく、社会の課題を理解し、価値あるソリューションとして届けることが重要です。

ESG経営でも、この考え方を事業活動の中で実践することが重要です。その具体例の一つが、資源循環、すなわちサーキュラーエコノミーへの取り組みです。GLP2026では、使用済みのPQA製品から回収したステンレスを再資源化し、再び自社製品へ活用するサプライチェーンの構築を進めています。環境負荷の低減を製品価値や企業価値の向上につなげていきます。

市場を創り、未来を拓くアンリツへ

これまでアンリツは、限られた市場の中で高い技術力と専門性を磨くことで成長してきました。しかし、これからも社会に必要とされ続けるためには、市場の成長を待つのではなく、自ら新しい価値を創造し、市場を切り拓く企業へ変わらなければなりません。技術を磨き、その技術を社会へ届ける力を高める。挑戦によって未来を開拓していきます。

2,000億円という目標は、その挑戦の結果として到達する一つの通過点です。目指すべき姿は、変化する社会の中で必要とされ続け、持続的に成長できる会社です。

そのために、私たちは「はかる」技術を磨き、人を育て、社会との接点を広げていきます。通信、産業、環境、食品、医薬品など、さまざまな領域で社会課題の解決に貢献し、より良い未来を創ることが、アンリツの使命です。

こうした挑戦は、アンリツだけで実現できるものではありません。お客さま、お取引先、株主・投資家、地域社会、そして社員をはじめとするステークホルダーの皆さまとの対話と共創があってこそ、社会に必要とされる価値を生み出すことができます。

これまでアンリツを支え、信頼を寄せてくださった皆さまに心より感謝申し上げます。これからも「はかる」技術を起点に、期待を超える価値をお届けし、信頼され、選ばれ続ける企業を目指して歩み続けます。

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