DFB-LD(分布帰還型レーザ)とは
概要
DFB-LD(DFBレーザ/ Distributed feedback laser diode, 分布帰還型レーザ, DFB型半導体レーザ)は、活性導波路に沿って形成された回折格子によるブラッグ反射を利用して、レーザの発振縦モード(longitudinal mode)を単一化したレーザです。波長安定性が高く、線幅が狭いのが特長です。回折格子のピッチを設定することにより、必要とする波長を得ることができます。

DFB-LD 模式図

DFB-LD スペクトル例
DFB-LDは、主に大容量・長距離光通信の信号光に用いられるほか、ファイバセンシング、3Dセンシング、ガスセンシング、呼気や血管モニタリングを介した病気診断などの広範な新しいアプリケーションに利用されています。ガスセンシングの分野では、工場配管周囲のメタンガス漏洩を検査するガスセンサ用の光源として用いられます。
アンリツでは、1270nmから1742nmの波長のDFB-LDを提供しており、様々なアプリケーションで実績があります。
アンリツのDFB-LDモジュールは、RoHS指令に適合しています。モジュール形状は14ピンバタフライ型で温度制御用TEC、光出力モニタ用PDが内蔵されています。
特長
- 光出力例:80mW 1310nm / 40mW 1550nm / 10mW 1653nm
- 単一縦モード
- 波長範囲:1270nm ~ 1742nm
- ファイバ:シングルモードファイバ(SMF)
- 光コネクタ:各種光コネクタに対応
- 14pinバタフライパッケージ
- 光アイソレータ、モニタPD、クーラ内蔵
産業用光センシング >
ガスを光で測定:メタンガスセンシング >
用途
ガスセンシング
ガスセンサ(ガス検知器):
ガス検知器には、測定ガスにレーザを照射して検知するTDLAS(Tunable Diode Laser Absorption Spectroscopy / 波長可変半導体レーザ吸収分光)方式があります。ガス分子には、固有の赤外吸収スペクトル線がいくつか存在します。測定ガスの吸収線の波長に合わせたレーザ光を測定ガスに透過させ、駆動電流を高速変調することでその波長を掃引し、透過光量を測定することにより、1本の独立した吸収スペクトルを測定し、ガス検知を行います。使用するレーザ光は、波長が吸収線に一致し、かつ吸収線より狭い発振線幅が必要であり、DFB-LDが最適です。
下図はメタンガスの吸収スペクトルです。そのうち、十分な吸収強度があり近傍に他のガスの吸収スペクトルが存在しない1653nmの吸収スペクトルがTDLAS方式のガス検知でよく利用されます。
アンリツではメタンガスセンサ用に1653nm DFBモジュールを提供しています。
また、他のガスセンサに関しても他波長での提供実績があります。
産業用光センシング >
ガスを光で測定:メタンガスセンシング >