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光デバイス講座
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光信号増幅器も様々─EDFA, FRA, SOA


光信号増幅器とは

光ファイバ中を通過する光の伝送損失は、光波長が1550nm帯で1kmあたり0.2dB未満と非常に小さい値です。しかし、光ファイバの長さが10km、100kmと長い距離になると、その伝送損失は無視できなくなります。長距離ファイバを伝搬する光(=信号)が非常に弱くなった場合には、光信号増幅器によって光を増幅させる必要があります。

光信号増幅器は、光信号を電気信号に変換せずに光のまま信号を増幅させるもので、今日の長距離光通信網を支える非常に重要なデバイスです。主な光信号増幅器には、EDFA、FRA、SOAなどが挙げられます。


OFAとSOAとの違いについて

光増幅器には、光ファイバ増幅器(OFA; Optical Fiber Amplifier)と半導体光増幅器(SOA : Semiconductor Optical Amplifier)の2種類があります。光ファイバ増幅器は、さらにエルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA : Erbium Doped Fiber Amplifier)とファイバラマン増幅器(FRA : Fiber Raman Amplifier)の2種類があります。

光信号増幅器 光ファイバ増幅器
(OFA; Optical Fiber Amplifier)
エルビウム添加光ファイバ増幅器
(EDFA : Erbium Doped Fiber Amplifier)
ファイバラマン増幅器
(FRA : Fiber Raman Amplifier)
半導体光増幅器
(SOA : Semiconductor Optical Amplifier)
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EDFA(エルビウム添加光ファイバ増幅器)

前述のとおりEDFAはOFAの1種であり、光ファイバのコア部にエルビウム・イオンを添加した光増幅器です。その特長としては、高利得、低雑音、かつ偏波無依存という特性を持っており、光増幅できる励起光波長は1.55μm帯または1.58μm帯の信号光を増幅します。

以前は、減衰した光については光中継器にて一旦電気信号に変換してから電気的に増幅/波形の再生を行い、再び光に変換し再送信していましたが、1990年代にEDFAが登場し、光のまま信号の増幅が可能となりました。

EDFA構成例

合波モジュールに1.48µmの光を照射すると、内部でエネルギーとして蓄えられ、1.55µm帯の光が伝搬した際に光増幅作用が発生して、20~30dBの利得が得られます。

EDFA構成例
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FRA(ファイバラマン増幅器)

FRAはOFAの1種であり、光ファイバに強い励起光を入射すると、ラマン散乱に基づく誘導放出が起こり、励起光波長から100nm程度長い波長域に増幅が得られます。その特長としては、増幅波長域が広く、これを励起光の波長により自由に設定することができます。

FRAの波長と光パワーおよび利得
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SOA(半導体光増幅器)

SOAはその名の通り半導体素子です。半導体レーザのへき開面に反射防止処理を施して共振器構造を無くすことにより、半導体の外部から光を入射することで、誘導放出による光の増幅が可能となります。

SOAは小型化が可能であり、EDFAと比較してランニングコストが小さい等で経済性でも有利です。近年までSOAは入力光の偏波依存性が大きいものでしたが、最近では低偏波依存の研究が進められております。また、データセンタ向けではEDFAからの置き換えが進んでおり、今後の光通信でも利用は拡大されると思われます。

SOA模式図

アンリツのSOA(半導体光増幅器) >


SOAアプリケーション例:

100G CFP/CFP2 ER4組込み用。携帯電話基地局とデータセンタ、またデータセンタ間40km伝送において、通信用光源として1.3μm帯が使用されているが、長距離伝送時の通信光の減衰対策にプリアンプとしてSOAが必要となります。現在は100G CFP/CFP2 ER4トランシーバの中に組み込まれ市場で活用されています。

SOAアプリケーション例

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