ガバナンス担当役員メッセージ
2025年度の振り返り
2025年度は、ガバナンスの実効性を高めるための基盤強化に取り組んだ一年でした。取締役会では2024年度に開始した経営課題の集中討議を深化させ、企業価値向上、人材戦略、M&A戦略といった重要テーマについて、中長期の視点から議論を重ねました。その結果、取締役間で課題認識が共有され、多様な専門性を有する社外取締役の知見を生かしながら、より実質的でバランスの取れた議論を行うことができました。
アンリツグループでは、社会情勢や経営への影響を踏まえて適時適切にリスク対応を行っています。2025年度は企業を取り巻くサイバー攻撃の増加・高度化が顕著になり、当社グループにおいても、監査等委員会からITガバナンス強化に関する提言がありました。私は2026年度よりCIOに就任し、情報セキュリティリスク担当役員の責務を担っております。このリスクへの対応が重要な経営課題であるとの認識の下、監査等委員会との定期的な意見交換を通じて、IT戦略とサイバーセキュリティ対応の高度化を推進していきます。
コンプライアンスにおいては、法令モニタリング体制の整備を進め、全社的に遵守状況を把握する仕組みを導入しました。特に重要テーマとしているハラスメント防止については、ハラスメント未満のインシビリティから学ぶコミュニケーションをテーマとした講演会や研修を実施しました。加えて、誰もが安心して適切な救済措置を受けられるよう、通報窓口の認知度向上に取り組み、早期発見・早期対応の実効性向上に努めました。
グローバルガバナンスの強化
アンリツグループは海外売上比率の高い事業構造を有しており、各国の法制度や文化の違いを踏まえながらも、一貫性ある意思決定を行う基盤の整備が重要となります。そのためには、制度やルールの整備に加え、国や地域を超えて共有される判断軸を確立することが不可欠です。当社グループでは、企業理念である「誠と和と意欲」をその中核的な判断軸として位置付けており、経営層から従業員まで広く浸透している点を強みとしています。
こうした考えの下、グローバルなコンプライアンス体制を統括する会議体「Global Legal & Compliance Committee(GLCC)」を設置し、ガバナンス強化に取り組んでいます。GLCCでは、各国・地域の法令や規制の共有、コンプライアンスリスクの把握と対策の検討、企業倫理や行動規範の浸透状況の確認を行い、グループ全体で公正かつ誠実な事業活動を推進しています。現在、GLCCをはじめとする拠点横断の会議体やプロジェクトを通じて、グループ内での対話が活発化しています。こうした取り組みを通じて企業理念のさらなる浸透を図り、意思決定の軸をより強固なものとすることで、グローバルガバナンスの浸透と高度化を加速してまいります。
中長期で目指すガバナンス像
2030年度売上2,000億円の達成に向けた事業の拡大に伴い、経営に求められる判断は一層多様化し、意思決定を取り巻く環境も複雑化していくことが見込まれます。このような環境下で求められるのは、スピードと統制を両立するガバナンスです。環境の変化に迅速に対応しながらも、企業として守るべき原則に基づいた一貫性のある判断を確保することが、これまで以上に重要になります。その実現に向けて、取締役会の監督機能の強化、内部統制・リスク管理の高度化、コンプライアンスの徹底を柱としたガバナンス強化に取り組んでいきます。アンリツグループはこれからもステークホルダーのみなさまとの対話を重視し、透明性・公平性・客観性を確保した経営を通じて社会から信頼される企業であり続けます。