Skip to main content

優先拠点における依存と影響の特定

アンリツグループは、2025年度に厚木地区とAnritsu Companyを対象として依存と影響の詳細分析を行いました。ENCORE※1を用いて自然への潜在的な依存と影響を評価した結果を基に、地域の実態を踏まえ分析した結果、以下のことがわかりました。

※1 ENCORE:Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposureの略称。自社の属するセクターにおける自然への依存とインパクトを特定するツール

厚木地区

厚木地区では、自然関連の依存と影響の分析の結果、水資源や温室効果ガス排出、汚染に関して依存や影響があることが分かりました。生物多様性に関する分析では、保護区との近接により生物多様性の重要性、周辺地域での生態系の十全性低下が確認されました。この結果から、土地利用において生物多様性の保全に資する施策を実施することは、地域にとっても意義のあることと考えられます。

具体的な施策を検討するために、敷地内と周辺地域の自然環境の現状把握と課題の抽出を行いました。その結果は以下の通りです。

 

敷地内の生物多様性の状況

2025年5月~6月にかけて、敷地内に生息する鳥類および昆虫類を対象とした専門家調査を行いました。また、従業員が日常の管理業務を行うなかで確認した種についても記録を行い、鳥類と昆虫類の確認種を整理しました。

その結果、厚木地区の敷地には、在来種からなる樹林や草地、水域など多様な環境が存在することから、市街化された中にあっても、地域に生息する鳥類の休息、採餌、繁殖の場として一定の役割を果たしていることがわかりました。

在来種による樹林

在来種による樹林

敷地内で確認したキタキチョウ

敷地内で確認したキタキチョウ

セグロセキレイ (神奈川県RDB 減少種)

セグロセキレイ(神奈川県RDB 減少種)

周辺地域の自然の状況

生物多様性の評価では、流域や自治体といった地域単位で自然を捉えて現状を把握し、対応策を検討することが大切です。そのため、土地利用の変遷や植生の現況等について、公開情報を基に机上調査を行いました。

 

[周辺地域の自然環境]

調査項目 調査結果
標高、地形、土質
  • 厚木地区は、河川に沿って低地や台地が形成された河岸段丘の一部にある
植生
  • 西側の山地には、植林地や落葉広葉樹の二次林が広がっている
  • 台地上には耕作地が点在している
  • 1.5km圏内では恩曽川沿いにコナラ群落(二次林)、本社東側にシラカシ群落が分布する
保護地域
  • 植林地や落葉広葉樹の二次林が分布する西側の山地は国定公園や鳥獣保護区域に指定されている
土地利用の変遷
  • 厚木地区の周辺では市街化が進み、田畑の減少や住宅・工場の増加が進行してきた
  • 河川周辺および台地と平地の境目である斜面緑地は、現代でも残っている
  • 恩曽川周辺の稲作は、地域の数少ない農環境である

 

課題および今後の方向性

厚木地区の周辺には、厚木市の特徴的な地形のひとつである台地の辺縁部に残る斜面林や、恩曽川沿いおよび恩曽恩名のコナラ林等が地域の景観を作り出し、これらの残された緑地が生物多様性を支える機能を担っています。

しかし、市街化等により緑地や農地は減少傾向であり、昔ながらの地域景観や防災機能、生物の生息空間も失われつつあります。外来種の増加や、水辺や草地といった多様な環境が減少していることも、それらの環境に依存する生物の多様性に影響を与えています。

このような自然環境の中で、厚木地区の敷地内の緑地は、地域の生物多様性保全に貢献できる可能性を有しています。今後、敷地を生物多様性に配慮して有効活用し、この地域の生物多様性の保全に寄与していくことを目指します。

Anritsu Company(米国カリフォルニア州)

Anritsu Companyでは、自然関連の依存と影響の分析により、水資源、水質浄化、洪水の緩和など水に関連した自然への依存が多く確認されました。そこで、2025年度は、水に関連した机上での分析を深めました。その結果は以下の通りです。

 

Anritsu Company(米国カリフォルニア州)の水に関連した分析

カリフォルニア州の年間平均気温は1895年以降上昇しています。これに伴う積雪量の減少、蒸発の増加、植物や人間による利用量の増加が見られ、同じ降水量であっても、利用できる水の量は減少すると考えられます。

 

カリフォルニア州の月別平均気温

出典:NOAA National Centers for Environmental Information (NCEI), Climate at a Glance: Statewide Time Series, 参照日 2026年7月23日

出典:NOAA National Centers for Environmental Information (NCEI), Climate at a Glance: Statewide Time Series, 参照日 2026年7月23日

 

また、降水量の年ごとの変動は、干ばつや洪水の発生リスクとも関係しています。以下の図は、1951年から2008年までの米国本土における降水量の年ごとの変動を示したものです。Coefficient of Variation(変動係数)が高いほど、年ごとの降水量の変動が大きいことを表します。カリフォルニア州では降水量の変動が大きく、干ばつの強度や期間が増す一方、強い嵐や高い洪水流量も生じやすくなっています。

出典:Dettinger, Michael & Ralph, Fred & Das, Tapash & Neiman, Paul & Cayan, Daniel. (2011). Atmospheric Rivers, Floods and the Water Resources of California. Water. 3. 445-478. 10.3390/w3020445. をもとにカリフォルニア州の範囲を加筆

出典:Dettinger, Michael & Ralph, Fred & Das, Tapash & Neiman, Paul & Cayan, Daniel. (2011). Atmospheric Rivers, Floods and the Water Resources of California. Water. 3. 445-478. 10.3390/w3020445. をもとにカリフォルニア州の範囲を加筆

 

今後の方向性

主に水資源について調査を行いましたが、一般的な評価ツールおよび机上調査では拠点レベルでのリスク分析に必要な詳細な情報が得られません。今後は、自然への依存と影響が大きいと示唆された「水資源・水質・洪水被害・周辺の生物多様性の重要性・廃棄物」の観点で地域情報を収集・整理します。この情報を基に精緻な分析を行い、リスク評価を進めていきます。

以下のお住まいの国をご確認の上、最寄りのイベント、連絡先情報、特別キャンペーンをご覧ください。
Japan