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CFOメッセージ(財務戦略)

強固な財務基盤を活かし、成長投資・資本効率向上・株主還元の好循環を実現することで、企業価値の持続的な向上と2030年度売上高2,000億円の達成を目指します。

2024年4月にスタートした中期経営計画GLP2026は、2030年度に売上高2,000億円企業を実現するための重要なマイルストーンです。2025年度はその2年目として、外部環境の不確実性が続くなかでも、アンリツグループの総合力と強固な財務基盤を活かし、増収増益と資本効率向上を実現しました。

連結業績は売上収益1,175億円、営業利益148億円、当期利益117億円となり、ROEも9.1%へ改善しました。さらに、営業キャッシュ・フロー179億円を創出しながら、DEWETRON社の連結子会社化をはじめとする成長投資を実行し、自己資本比率76.6%の健全な財務体質を維持しています。

一方、GLP2026最終年度の目標達成はもちろん、その先の2030年度売上高2,000億円企業に向けては、成長投資・資本効率・株主還元の好循環を実現することが重要です。事業ポートフォリオの変革と収益基盤の強化を進め、持続的な企業価値向上に取り組んでいきます。

2025年度の振り返り:不確実性のなかで収益基盤を強化

2025年度は、5Gと6Gの端境期の継続に加え、米国関税政策やEV市場の投資調整など、不確実性の高い事業環境となりました。一方で、生成AIの普及はデータセンターへの投資を加速させており、当社にとって中長期的な成長機会であると認識しています。

通信計測事業では、モバイル関連投資の本格回復には至らなかったものの、データセンター関連ソリューションが新たな成長ドライバーとして存在感を高めました。また、産業計測分野への取り組み強化により汎用測定器の売上も拡大し、通信計測カンパニー内においても収益源の多様化が進みました。

全社レベルでは、PQA事業が食品・医薬品市場における品質保証の高度化、自動化・省人化ニーズの拡大を背景に、売上成長だけでなく収益性向上にも大きく貢献しました。PQA事業は、通信計測とは異なる顧客基盤と安定した需要特性を持つ事業であり、当社グループにおける重要な収益の柱として着実に存在感を高めています。

さらに、環境計測事業およびセンシング&デバイス事業も着実に成長し、環境計測事業ではDEWETRON社を新たにグループに迎えることで、グローバル展開と事業領域拡大に向けた基盤を強化しました。

その結果、モバイル関連市場が本格回復に至らない環境下においても、アンリツグループは増収増益を達成しました。これは、従来のモバイル向け通信計測中心の事業構造から、データセンター関連ソリューション、産業計測、PQA、環境計測、センシング&デバイスなど複数の成長ドライバーを持つ事業ポートフォリオへと進化し、収益基盤の強靭化が着実に進展していることを示しています。

財務面では、棚卸資産の適正化や販売効率の改善を進めるとともに、営業活動によるキャッシュ・フローを着実に創出しました。また、成長投資を継続しながらも健全な財務基盤を維持しており、今後は投資後のPMIとシナジー創出を加速し、投下資本リターンの向上につなげていきます。

主な財務指標

ROE向上に向けた取り組み:収益性・資産効率・資本政策を一体で改善

当社は、企業価値向上の重要指標としてROEを重視しています。2025年度のROEは9.1%となり、当社が認識する株主資本コスト7%を上回る水準を確保しました。一方で、GLP2026最終年度の目標であるROE12%、さらに2030年度に向けたROE15%の実現には、収益性の向上、資産効率の改善、資本政策の高度化を一体で進める必要があります。

収益性の向上に向けては、通信計測事業における6G、IOWNおよび生成AIに伴うデータセンター関連需要を確実に取り込むとともに、PQA事業の収益力向上、DEWETRON社とのシナジー創出、環境計測事業およびセンシング&デバイス事業の成長を通じて、事業ポートフォリオ全体の利益成長を加速させます。

資産効率の改善に向けては、CCCの改善や棚卸資産の適正化に加え、事業別ROICを活用した経営資源配分を推進します。M&Aや設備投資においては、投資判断から投資後のモニタリングまで一貫して資本コストを意識し、企業価値向上につながる投資を厳選していきます。

また、資本政策については、強固な財務基盤と発行体格付「A」を維持しながら、成長投資と株主還元の最適なバランスを追求し、持続的なROEの向上につなげていきます。

GLP2026期間のROE計画

ROE分解推移

ROE目標:要素分解

ROE/企業価値向上と経営課題およびGLP2026の主な目標

キャッシュ・フロー経営:成長の原資を自ら生み出す

CFOとして最も重視していることの一つは、成長のためのキャッシュを自ら創出する力です。売上成長だけでなく、収益性、棚卸資産、売上債権、仕入債務、投資効率を総合的に管理し、営業キャッシュ・フローを安定的に創出することが、持続的な企業価値向上の前提となります。

2025年度は営業活動によるキャッシュ・フロー179億円を創出しました。一方で、成長投資の実行により投資活動によるキャッシュ・フローは147億円の支出となりました。これは、2030年度2,000億円企業に向けた事業基盤強化のための投資であり、今後はその成果を売上成長、利益率改善、ROE向上につなげていく段階に入ります。

今後も、開発ROI、事業別ROIC、CCC、営業キャッシュ・フローを一体で管理し、成長投資と財務規律を両立させます。これにより、短期的な業績変動に左右されない強靭な財務体質を維持しながら、中長期の成長機会を確実に取り込んでいきます。

キャッシュフロー推移

営業CFマージン率の推移

CCCの推移

キャピタルアロケーション:成長投資を企業価値向上に結びつける

GLP2026では、成長投資に400億円以上を配分する方針を掲げています。投資対象は、6Gと3つの新領域である産業計測、EV/電池、医薬品を中心とし、M&A、設備投資、研究開発、人材投資を組み合わせて成長の柱を育成していきます。

2025年度にDEWETRON社をグループに迎えたことは、環境計測事業のグローバル展開を加速するうえで重要な一歩です。今後は、同社の電力計測・データ収集技術と、当社グループが有するEV/電池試験、社会インフラモニタリング、グローバル販売網を組み合わせ、事業シナジーを早期に具体化していきます。

また、生成AIの急速な普及により、データセンターではネットワークの高速化・大容量化が進んでいます。これに伴い、光インターコネクト、PCIe、半導体・電子部品の評価ニーズは今後も高度化していくと考えています。当社は、通信計測で培ってきた高度な「はかる」技術を活かし、顧客の開発スピード向上と品質確保を支えることで、この成長機会を確実に捉えていきます。

さらに、中長期的な企業価値向上のためには、人的資本への投資も不可欠です。成長領域を担う技術人材、グローバル事業を推進する人材、M&A・PMI・FP&Aなど経営基盤を支える専門人材の育成と獲得を進め、持続的な競争優位の確立につなげていきます。

GLP2026期間のキャピタルアロケーション

株主還元:成長投資とのバランスを取りながら、還元の充実を図る

株主還元については、連結配当性向50%以上を目標とし、利益成長に応じてDOEを高めることを基本方針としています。

2025年度の年間配当は1株当たり50円とし、そのうち期末配当には創業130周年の記念配当4円を含めました。これは、株主の皆さまからの長年のご支援に対する感謝を示すとともに、当社の財務基盤と今後の成長に対する自信を反映したものです。

一方で、当社が目指す企業価値向上の源泉は、単なる還元拡大だけではありません。6G、新領域、グローバル展開、人的資本、研究開発への投資を通じて利益成長を実現し、その成果を株主の皆さまに還元することが、最も持続的な株主価値向上につながると考えています。

自己株式取得についても、財務状況、成長投資の進捗、株価水準、資本効率を総合的に勘案し、機動的に判断していきます。

投資家・株主の皆さまとの対話を通じて、経営の透明性を高める

資本市場からの期待は年々高まっています。ROE、ROIC、資本コスト、PBR、TSR、政策保有株式、人的資本、気候変動対応、ガバナンスなど、投資家・株主の皆さまが重視する視点は広がっています。

当社はこれらを単なる開示項目としてではなく、経営の質を高めるための重要な対話テーマと捉えています。

CFOとして、株主・投資家の皆さまとの対話を通じていただいたご意見を、経営戦略、財務戦略、資本政策、開示の改善に活かしていきます。IR部門をCFO直下に置く体制を活かし、経営の透明性を高めるとともに、財務情報と非財務情報を統合的に発信することで、アンリツグループの中長期的な価値創造ストーリーをより分かりやすくお伝えしていきます。

2030年度2,000億円企業に向けて

アンリツは、130年にわたり、社会の変化と技術革新に向き合いながら事業を進化させてきました。これからも、「はかる」を超え、限界を超え、持続可能な未来へ貢献する企業として、6G、生成AIを支える次世代ネットワーク、食品・医薬品の安全・安心、EV/電池、産業計測、社会インフラの高度化といった成長領域で新たな価値を創出していきます。

CFOとしての使命は、強固な財務基盤を守るだけでなく、その財務基盤を成長のために活かし、資本効率を高め、企業価値の持続的な向上につなげることです。GLP2026最終年度に向けて、成長投資の成果を着実に刈り取り、ROE12%の達成、そして2030年度ROE15%・売上高2,000億円企業への道筋をより確かなものにしていきます。

株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆さまの期待に応えるため、アンリツグループは、キャッシュ創出力、財務規律、資本効率、透明性ある対話をさらに強化し、資本コストを上回る持続的な企業価値の創造に取り組んでまいります。

配当性向と自己株式取得

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