高コヒーレンスな1060 nm波長掃引光源モジュールの販売を開始
2022/09/27
アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、センシング[※1]用光源として、医療・化学などの計測分野で利用できる1060nm帯波長掃引光源AQA0600A(掃引周波数1.25kHz)を開発し、9月27日から販売いたします。
今回商品化した波長掃引光源は、組込型の小型モジュールであり、水分の吸収の影響が小さい1060nmの波長を位相連続でかつ高コヒーレンス[※2]に波長掃引します。本波長掃引光源は、40×27×31.6 mmの小型・金属パッケージに内蔵されており、医療・化学分野のOCT[※3]装置への組込、バイオイメージング装置への組込、膜厚計測装置への組込などに活用できます。
開発の背景
近年、レーザ光の可干渉性を利用した光計測法のひとつであるOCTがさまざまな分野で応用されています。生体の断層構造を非接触で計測できることから、特に眼科診断を行う医療の現場ではOCTが網膜断面の観測などに活用され、広く普及しています。
医療・化学をはじめとした幅広い分野に貢献するために、アンリツはMEMS[※4]技術によりキロヘルツ(kHz) オーダーの高速波長掃引が可能で高コヒーレンス、かつ、中心波長が水分の吸収の影響が少ない1060nmとなる波長掃引光源を開発しました。
製品概要
アンリツの波長掃引光源は、単一の狭線幅の縦モードを位相連続で波長掃引できます。高コヒーレンスな波長掃引光により、広い距離範囲を高精度に計測することができます。アンリツの波長掃引光源は、生体や生物などのOCT計測やバイオイメージングなどの光センシングに最適です。
対象市場・用途
- 対象市場
- 医療分野/化学分野
- 用途
- 医療/化学分野におけるOCT計測、バイオイメージング
例)医療分野:医療用OCT
化学分野:バイオイメージング、膜厚計測
用語解説
- [※1] センシング
- センシングとは、光、超音波、エコー、X線などを用いて離れたところにある対象物の物理量を定量的に測定する技術。代表的な産業用光センシングの例として、サーモビュアによる表面温度測定や、光を対象物に照射しその反射光の波長や時間差から対象物までの距離を測定するものがある。
- [※2] 高コヒーレンス
- 高コヒーレンスとは光の可干渉性が高い(コヒーレンス長が長い)ことを示す。
- [※3] OCT(Optical Coherence Tomography/ 光コヒーレンストモグラフィー:光干渉断層計)
- 光の干渉を利用して物体や人体の内部を断層撮影し、さらにビームスキャンすることで、立体的な構造を精密に計測する技術。近赤外光を利用して、非破壊および非接触で撮影できるのが特長で、薄膜製品の不良・不具合検査や、眼科医療の検査などに使用されている。
- [※4] MEMS(Micro Electro-Mechanical Systems)
- 機械要素部品、センサ、アクチュエータ、電子回路を一つのシリコン基板、ガラス基板、有機材料などの上に微細加工技術によって集積化したデバイス。