ビルトインタイプの1550nm波長掃引光源を開発
2021/07/26
お客さまの各種装置に組み込み可能な小型化を実現
アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、センシング用光源として産業、医療、インフラ、プラント計測など、幅広い分野で活用できるビルトインタイプの1550nm帯波長掃引光源 AQA5500D(掃引周波数1.25kHz)、AQB5500D(同150Hz)を開発しました。7月26日から販売いたします。
今回商品化した波長掃引光源は、ビルトインタイプとして小型形状が特長であり、各種装置への組み込みに適しています。従来のベンチトップタイプと同様に、単一の狭線幅の縦モードをモードホップフリーで掃引する、位相連続でかつ高コヒーレンス[※1]な波長掃引光を出力します。本波長掃引光源をOFDR[※2]などの光干渉法による測長計測に用いれば、数10m離れた位置からミクロンオーダの高精度で測定することができます。
本光源は、OCT装置や薄膜の膜厚計側装置への組み込み、FA分野における形状計測装置や、インフラ・プラントなどの大型構造物のOFDRシステムへの組み込みなどにご活用いただけます。本光源の提供を通じて、アンリツはセンシング技術の発展に貢献しIoT社会を後押してまいります。
開発の背景
近年、レーザ光の可干渉性を利用した光計測法のひとつであるOFDRがさまざまな分野で応用され始めています。高精度形状測定、薄膜の膜厚測定、微細構造形状計測などの分野では実用化が進んでいます。
これらの分野では、お客さまの各種装置への組み込みに適した、小型で軽量なビルトインタイプの光源が求められています。昨年開発したベンチトップタイプに続き、本製品を提供することにより、お客さまのニーズにお応えしました。
製品概要
アンリツの波長掃引光源は、単一の狭線幅の縦モードを位相連続で、かつモードホップフリーで波長掃引しています。装置組込に適した本波長掃引光源は、干渉計、受光器、A/Dコンバータ等を組み合わせることにより、数10mの広い測定範囲を高速かつミクロン精度で測定できるOFDR測定器を構築することが可能となります。
OFDRについてもっと詳しく
対象市場・用途
- 対象市場
- FA/医療/インフラ/プラントにおける測長・測距、形状計測
- 用途
- 測長・測距、形状計測
- 例)FA分野:産業用OCT、精密計測・検査(膜厚、加工物の形状、バリ、傷など)、振動計測(リアルタイムな測距)、外乱存在下(スパーク等)での測距、対象物から離れた場所からの測距
- 医療分野:医療用OCT、ファイバセンシング
- インフラ/プラント分野:大型構造物の形状、変位、ファイバセンシング
用語解説
- [※1] 高コヒーレンス
- 高コヒーレンスとは光の可干渉性が高い(コヒーレンス長が長い)ことを示す。
- [※2] OFDR(Optical Frequency Domain Reflectometry)
- レーザ光の可干渉性を利用した光計測手法のひとつ。レーザ光の出射位置から測定対象点までの距離を非接触かつ高精度に計測できるため、近年ではさまざまな分野で応用されている。