Skip to main content
光デバイス講座

光デバイス製品のセンシング応用分野

現在、私たちは多種多様なセンサに囲まれながら生活しています。例えば、あなたが近所を散歩すると、普段身に着けているスマートホンの振動センサ(万歩計)やGPSアンテナ、街頭の監視カメラ、すれ違う車のドライブレコーダや衝突防止センサ、コンビニやビルの赤外線センサ(自動ドア)など、目視できるものもあれば意識せずにセンシングされているものもあります。いわば、センシング社会の中でその恩恵を受けながら生活していると言っても過言ではないでしょう。

光デバイス製品のセンシング応用分野

「光デバイス製品のセンシング応用分野」と題した今回の講座では、アンリツが提供している光デバイスがどのようなセンシングに利用されているのか、どのようなところに使用することができるのかについて解説します。以下、当社の光デバイスの適応波長として、800 nm~2,000 nmの近赤外領域の非通信分野について分野ごとに説明します。

ヘルスケア

ヘルスケアにおける光デバイス製品の応用分野マップを図1に示します。

ヘルスケアの応用分野マップ
図1. ヘルスケアの応用分野マップ

図1中のOCTとは、Optical Coherence Tomographyの略で、光干渉断層撮影といいます。OCTは、光の干渉現象を利用して物体の表面の粗さや生体の断層イメージを精密に計測し、非破壊、非接触で確認できる技術です。この技術は、眼科領域では早くから導入されましたが、その理由として「非接触検査が可能」で「眼は光の散乱が比較的少ない半透明な生体物質」というOCTのメリットが最大限活かせるアプリケーションであるからでしょう。
1,060 nmは、近赤外領域では水の吸収が最も小さい波長で知られておりますが、この波長の応用製品として眼の奥行を測る眼軸長測定器があります。白内障の患者に人工レンズを入れる際に、その人に合ったレンズを選択する必要があり、眼軸長測定器による検査でレンズの度数を決めています。
1,500 nm付近のレーザ穿孔とは、体外受精の際に受精卵にレーザパルスで穴を空ける技術で、実際に商用化されております。
1,650 nmは、近赤外領域ではグルコースの吸収波長として最も感度が良く、血糖値センサの開発で注目されている波長ですが、最近では中赤外領域が有望との見方もあります。

ヘルスケア分野の対象製品はこちら

産業計測

産業計測における光デバイス製品の応用分野マップを図2に示します。

産業計測の応用分野マップ
図2. 産業計測の応用分野マップ

800~900 nmの短波側では、精密な位置決めに用いられるAuto Focusユニット、レーザスケール、マイクロエンコーダがあります。波長が短いほど、スポットサイズを小さくできる、空間分解能が向上するなどのメリットがあります。
1,060 nmは、前述のとおり水の吸収が小さい波長ですが、この波長の光をファイバレーザ技術でワット級クラスまで増幅することで、レーザ溶接が可能となります。
1,300 nmでは、半導体ウェハの膜厚計があります。本来、膜厚計測では1,200 nm帯が適しておりますが、光学部品の入手性やコストを考慮して、1,300 nmが一般的に使用されています。また、馴染みのない言葉でIR-OBIRCH(アイアール・オバーク)とありますが、これは赤外光=Infra-Redを用いたOptical Beam Induced Resistance Changeという解析法の略です。近赤外光を金属配線部分に照射・走査させて、電流経路や配線ショートの箇所を分析します。Siバンドギャップ:1,100 nmより長波長の光を用いることで、Si基板やチップ裏面からの解析が可能となります。
また、1,400 nm以上の長波側はアイセーフ波長(1.4 µ~2.6 µm)と呼ばれており、人眼に対して比較的安全性が高い領域です。この波長帯付近では、空間光を使ったアプリケーション、例えば変位計測、産業用OCT、3D形状計測などがあります。特に変位計測や3D形状計測では、レーザ光の可干渉性を利用したOptical Frequency Domain Reflectometryと呼ばれる計測手法により、対象物までの距離を非接触・高精度に計測できます。

産業計測分野の対象製品はこちらOFDRについてもっと知りたい

その他の分野

その他の分野における光デバイス製品の応用分野マップを図3に示します。

その他の応用分野マップ
図3. その他の応用分野マップ

ファイバジャイロ(Fiber Optic Gyro)とは、移動体に搭載することで、その姿勢(角速度)を検知するものです。ファイバジャイロの性能は近年かなり向上されており、0.1°/h(1時間に0.1°の回転速度を検知)クラスも市販されております。ここに使用する光源として、850 nm帯SLDが多く出ておりますが、1,300 nmや1,550 nmでも使用できます。FOGは、航空機、ヘリコプター、船舶などの姿勢制御には欠かせません。

FOGについてもっと知りたい

最近、海洋生態系へ影響を及ぼすマイクロプラスチックが問題となっております。マイクロプラスチックとは、大きさ5 mm以下のプラスチック片のことで、これを海水中から検知・除去する研究が行われています。検知するためには、マイクロプラスチックの吸収スペクトルに応じた近赤外レーザが有望と考えられています。
LiDARとはLight Detection And Rangingの略で、自動運転で注目されている障害物検知や天候観測に使用される技術です。計測対象物に向けて空間的にパルス光を照射し、対象物からの反射光や散乱光を受光することで、計測対象物までの距離や成分分析を行います。非常に微弱な光を捉えなければならないため、ノイズ原因となる可視光から離れた波長にする必要があります。また、出射するパルス光のパワーもある程度高い方が信号強度を向上できるため、人への影響が小さいアイセーフ波長の1,400 nm以上が望ましいと言えます。
更に長い波長領域に目を向けますと、各種のガス検知で使用される波長があります。例えばメタン(CH4)では、1,651 nmおよび1,725 nmで吸収線が観測され、一酸化窒素(NO)では1,795 nmで吸収線が観測されます。このようにガスによって固有の波長での吸収スペクトルがありますので、ガス種に適した波長のレーザを選択することで検知ができます。
今回の講座では、近赤外領域の応用分野の一部を紹介しましたが、今後も新たな計測技術や用途が生まれてくるでしょう。我々も新たなニーズの発掘と、それに適した光デバイス製品の開発を続けていきます。
また、「この用途では、どの光デバイスが最適なのか?」、「この出力・波長のレーザが欲しい。入手できるのか?」といったご相談やご質問がございましたら、お問い合わせ窓口からご連絡ください。担当の営業から、回答・ご提案をさせていただきます。

Confirm your country below to see local events, contact information and special offers.