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『テクニカルノート』

重量選別機に与える風の影響と風防カバーの効果

重量選別機静止はかりや電子天秤と同様に、重量選別機も風のない場所での使用が推奨されます。しかし、実際の現場では、空調からの風や、外から入ってくる風が計量精度に影響を与えることがあります。
今回のテクニカルノートでは、疑似実験を通じてこの現象を再現し、風の影響を緩和するカバーの効果について解説します。

 

風が重量選別機に吹き込む原因

風が吹き込む原因は複数考えられます。

エアコンの風が直接秤に当たっている
風が吹き込む原因
エアコンの風が床や壁に跳ね返って秤やコンベア底面に当たる
風が吹き込む原因
部屋の開放部から風が吹き込んでくる
風が吹き込む原因

今回の実験ですが、圧縮空気を通したホースに数カ所、小さな穴を開けて、同じ圧で空気が吹き出すようにします。ホースを留め具で固定して、風を当てる場所を変えながら実験していきます。

小さな穴を開けたホース
小さな穴を開けたホース

秤部*に風が当たるとどうなるか?

※秤とケーシングで構成。上に載せているコンベアは含まない。

コンベア上に何も載せないときの重量選別機の表示は0g ですが、秤部に風を当てるとどうなるでしょうか。
風圧が秤部に負荷を与えるので、表示は0 より大きい正の数になります。重量選別機は自動オートゼロセット機能により、この状態でも運転(コンベアを回しながらの重量測定)は開始できますが、実重量と測定値の差は風の影響がないときより大きくなります。それを実験で見ていきましょう。

重量選別機の画面

実験1

秤部に直接、風を当てます。その状態で、コンベアを回して特定のワーク(実重量214.2g)を20回流します。20個の測定値を重量選別機のモニターで確認します。

秤部に直接風を当てる

実験2

秤部に風が当たるのを防ぐために、正面にカバーを取り付けてみます。
コンベアを回して、先ほどと同じワークを20回流します。20個の測定値を重量選別機のモニターで確認します。

正面にカバーを取り付ける

緑の色で塗ってあるのが個々の測定値です。数字が20個も並んでいるので両者の差が捉えにくいので、統計値で比較してみましょう。

正面カバーなし

カバー有り無しの比較(正面カバーなし)

正面カバーあり

カバー有り無しの比較(正面カバーあり)

使うのは「平均値(X-bar)」、「標準偏差(s)」、「最大値から最小値を引いた値(R)」です。統計値で比較すると、「正面カバーあり」の方が実重量に近く、ばらつきの少ない測定ができていることがわかります。

カバー有り無しの比較


コンベアの下から風を当てるとどうなるか

重量選別機の秤部はコンベアの下に取り付けてありますが、コンベアの重さをないものとして0g に調整しています。秤部の下側から風を当てるとどうなるでしょうか。
風はコンベアまで到達し上に押し上げる力となり、表示が0より小さい負の数になりました。重量選別機は自動オートゼロセット機能があるので、この状態でも運転(コンベアを回しながら測定)は開始できますが、実重量と測定値の差は無風状態のときより大きくなります。これも実験で見ていきましょう。

重量選別機の画面

実験1

秤部の下側から風を当てます。その状態で、コンベアを回して特定のワーク(実重量214.2g)を20回流します。20個の測定値と統計値を重量選別機のモニターで確認します。

秤部の下

実験2

秤部の下側から風が入るのを防ぐために、底面にカバーを取り付けてみましょう。コンベアを回して、先ほどと同じワークを20回流します。
20個の測定値と統計値を重量選別機のモニターで確認します。

底面カバーを取り付けた状態

最初の実験同様、統計値で比較すると「底面カバーあり」の方が実重量に近く、ばらつきの少ない測定ができていることがわかります。

底面カバーありなしの比較


コンベアの上を風が抜けていくとどうなるか

上、正面、背面から来る風を防ぐ風防カバーを取り付けておきます。
ただし、コンベアの入口/ 出口はワークが通過するのでカバーで塞ぐことができません。片側からコンベア上を流れる風を与えます。

風防カバー

風を送り込むことで、コンベアの上の空気圧はコンベアの下の空気圧より小さくなります。それによりコンベアに揚力がかかり、表示は負の数字になりました。この状態でも運転(コンベアを回しながら測定)は開始できます。特定のワーク(実重量214.2g)を20回流します。
風防カバーがあるときと、ないときで、統計値を比較します。

重量選別機の画面

風防カバーありなしの比較

意外なことに、風防カバーがないほうが成績はよくなりました。これは、カバーを外したことで空気の流れが分散し、コンベアにかかる揚力が弱くなるからです。


まとめ

生産施設に大きな窓があると、冬場は空調の風量を強めて室温を一気に上げることがあります。そのようなときは重量選別機に対する風の影響が大きくなるので注意しましょう。

残念ながら、コンベア上を上流から下流(もしくはその反対方向)に吹き抜ける風に対しては、有効なカバーがありません。一般に、「清潔区域」の充填・包装室と、重量選別機が設置されている「準清潔区域」は壁で仕切られていますが、重量選別機に商品を供給するコンベアを通すため、壁に開口部を設けている工場は多いようです。「清潔区域」は粉塵や虫の侵入防止目的で室内を陽圧に設定しているので、開口部から「準清潔区域」に風が吹きこみ、重量選別機の測定に悪い影響を与えます。開口部にすだれを付ける対策をしても、風を緩和することが難しいときは、つなぎのコンベアを追加して重量選別機を開口部から離す、もしくは重量選別機の向きを変える、などの対策をお願いします。

今回のテクニカルノートが、重量選別機をお使いになっている皆さまの参考になれば幸いです。


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