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『テクニカルノート』

感度モードと推定検出感度はなぜ変化する?

金属検出機は、異物が混入したときと混入していないときの被検査品への影響の変化を正確に捉えるため、最適な周波数の磁界を発生させていることをご存知でしたでしょうか? 金属検出機メーカは各社異なる設定手順を採用していますが、金属異物がトンネル状の検出ヘッド(磁界のトンネル)を通過したときに起きる磁界の変化を検出するという仕組みは同じです。アンリツの金属検出機は、特性の異なる磁界周波数の組み合わせである感度モードを先に選んでから使用を開始します。今回は、この感度モードについて解説します


周波数の組み合わせ「感度モード」

弊社では、それぞれ特性の異なる磁界周波数をアルファベットA、B、C、Dで表し、A → B → C → Dの順で周波数が低くなります。塩分、水分を含有しているウェット品は電流が流れやすく、磁界を乱しやすいので周波数の低いDが選択されます。逆にドライ品は電流が流れにくく、磁界も乱しにくいので高い周波数のA が選択される傾向があります。ただし、ドライ品でもサプリメントのような被検査品は、電流を流しやすい内容物を含む場合があり、BやCが選択されることがあります。

周波数の違い

弊社の金属検出機は、鉄と非鉄それぞれに最も反応する周波数を同時に発生させ、双方を高感度で検出する「同時2 周波磁界検出方式」という仕組みを採用しています。そのため、下図のように特性の異なる磁界周波数を2つ組み合わせた「感度モード」(9つある)から1つ選択して金属異物を検出します。

感度モード9つの組み合わせ

被検査品の特性を検査機に登録する設定時に(アンリツでは、“品種の登録とオート設定”、以下“オート設定”)、同じ個体の被検査品を金属検出機の検出ヘッドに12回通すと*、下記のように機械が被検査品に最適な「感度モード」を自動で選択し、「推定検出感度」をFeとSUSの球体テストピースサイズの直径に置き換えて表示しています。

*最新モデルM6-hの設定回数です。別のモデルでは流す回数は異なります。

品種の登録とオート設定

被検査品の性質によって感度モードは変わる

実験1

同じ被検査品が製品影響の違いで、選ばれる感度モードがどう変化するかをスポンジを食品サンプルに見立てて実験しました。乾いたスポンジでは製品影響は小さいですが、それに水分や塩分を足して製品影響を大きくしました。下の表はその結果です。
では、詳細を見てみましょう。

状態 感度モード 推定検出感度(mm)
乾いた状態(ドライ) [S-A] Fe φ 0.6 SUS φ 0.9
軽く水に浸した状態(準ウェット) [S-B] Fe φ 0.7 SUS φ 1.1
食塩水に浸した状態(ウェット) [D-A] Fe φ 0.7 SUS φ 2.1
乾いたスポンジ=製品影響「小」

水分や塩分を含まず磁界が乱れにくいため、感度モード[S-A]が選ばれました。

乾いたスポンジと感度モード
水に軽く浸した状態=製品影響「中」

水に軽く浸すと、表示された周波数は先ほどとは異なり、一段低いモードの[S-B]になりました。

軽く水に浸したスポンジと感度モード
食塩水に浸した状態=製品影響「大」

塩分、水分を多く含むので、磁界の乱れが大きくなり[D-A]が選択されました。

食塩水に浸したスポンジと感度モード

[S-A]と[D-A]の推定検出感度だけ考えれば、[S-A]の方が優っているように見受けられますが、そう単純ではありません。[S-A]モードに[D-A]設定のサンプルを流してみましょう。被検査品の影響を強く受け、誤検出していることがわかります。
このことから適切な感度モードを使用しないと安定した検査ができないことをご理解頂けると思います。

製品影響モニタ【[S-A]での乾いたスポンジ影響値】
製品影響モニタ【[S-A]設定で食塩水に浸したスポンジを流すと誤検出】

他の感度モードを選択する理由は?

先ほどの実験で被検査品の性質によって感度モードが変化することを交えて述べましたが、ここでは同じアイテムでも、物によっては感度モードを自動ではなく、任意に変更した方が良い場合について解説します。

ウェット品の冷蔵ハンバーグでオート設定を行ったところ、感度モード[S-A]が選ばれました。

感度モードS-Aが選択

冒頭で「塩分、水分を含有しているウェット品は電流が流れやすく、磁界を乱しやすいので周波数の低いDが選択されます」と述べましたが、当社の最新モデルM6-h シリーズ 金属検出機は、独自のアルゴリズムにより被検査品の製品影響を低減することが可能なため、より周波数の高い感度モードを選択し、金属異物への反応を良くして高感度を狙います。

製品の影響値だけを下げる

基本的にはオート設定後に表示される感度モードを使用することをメーカーとして推奨していますが、ウェット品を周波数の高い感度モードで検査すると、誤検出する場合があります。これは生産現場でよく発生するトラブルの一つで、同じ被検査品を12回流して感度モードを選択するオート設定では、実生産では起きる許容範囲内の品質のバラツキまで考慮できずに周波数が高すぎる感度モードを選んでしまうことが原因です。バラツキは、質量、組成、品温など、さまざまな要素で起こり得ます。

実験2

被検査品のバラツキにより誤検出

感度モード[S-A]で同じ商品のハンバークを複数個、連続して流し、製品影響がどのように変化するかを実験しました。被検査品のバラツキにより緑色の波形が一定でないため[S-A]で運用した場合、誤検出になる可能性があります。

オート詳細設定画面からオート設定を変更

再度同じ個体のハンバーグを12 回流してオート設定を行いましたが、また[S-A]が選択されてしまいました。そこで「詳細結果」タブを押し、「オート詳細設定画面」で表示された[S-A]よりも周波数の低い[D-B]を選択し、オート設定をしました。今回は3回流せば完了します。SUSの推定検出感度がø1.6から2.0と低下しましたが、先ほどの[S-A]とは対照的に製品影響が安定しており、誤検出が起きていないことが分かります。

ガイダンスのとおりにオート設定を行ったのに、実際の生産では誤検知が頻発する場合は、最初に選ばれた感度モードではなく、画面に出ている「詳細結果」タブを押し、より周波数の低い感度モードを選択すると効果的です。

オート設定詳細

感度モードは、下図のように高感度から高安定に変化します。

感度モードが高感度から高安定に変化

(注) 社内基準でテストピースサイズが定められている場合は、新しい感度モードでも、それを被検査品に載せて流して検出できるかを確認してから生産を開始してください。


まとめ

今回のテクニカルノートで、磁界の強さや磁界周波数で決まる「感度モード」があること、それが被検査品の性質に応じて自動で選ばれることや、推定検出感度が変化することをお分かり頂けたと思います。アンリツの金属検出機は、一つだけではなく、異なるモードの推定感度も同時に表示するので、誤検知が頻発したときは、感度と安定性のバランスを考えて別のモードを選ぶことができます。この機能を品質と生産性の向上にお役立てください。


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用語解説:金属検出機関連

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