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『テクニカルノート』

X線検査機との上手な付き合い方
「ノイズ除去」と「検出リミット」

アンリツのX線検査機は被検査品を10回程度流すと、X線透過画像を取得するとともに、異物検出リミットを設定します。画像はモノクロで、X線透過量によって濃さが変わります。正常品におけるX線透過量(影の濃さ)のばらつきを考慮してリミットを設定すれば、生産ライン上を次から次に流れてくる被検査品に対し、正確にOK/NG の判定をすることができます。リミット設定したときと同じ状態の商品(被検査品)が連続して生産ラインを流れているときは、影の濃さも一定なので誤検出が連続して発生したりすることはありませんが、ロットが変わった、搬送状態が変わった時などに、透過画像の濃淡の変化がいつもより急峻になり、変化を示す波形の頂点が検出リミット(しきい値)を超えてNG と誤判定することがあります。そのような製品自身が持つ影響の変化はノイズになります。ノイズは画像処理により低減ができるので、誤検出の頻発を抑えながら、異物検出感度の維持ができます。※
現在より感度を良くするために「検出リミット(しきい値)」を厳しくするときも、最初に「ノイズ除去」を調整することが有効です。

具体的に、どのような調整作業をするのか、アンリツのⅩ線検査機のモニター画面を使って解説をします。また製品影響の変化(ノイズの要因)が発生しやすい検査品の事例も紹介します。

※ 他社製のX線検査機では、ノイズ除去の方法がアンリツとは異なります。

X線検査機

判定シグナル

アンリツのXR75シリーズX線検査機は、異物判定のシグナル(赤色、橙色、黄色、緑色)を出す表示窓がCT0からCT10まであります。CT0は被検査品全体の濃淡を示す目的で使用します。CT1~CT10は独立して、異物の特性に応じた判定をします。すべてのCT で「ノイズ除去」「検出リミット」の二つの調整が可能になっています。CT1~CT10のうちいずれかで、製品影響がしきい値を超える場合(シグナルが赤色になる)、X線検査機は被検査品をNGと判定しています。

検出リミットのしきい値CT1~10の役割

ノイズ除去

被検査品の個体間のばらつきや外部要因によって発生する製品影響の急峻な変化をアンリツではノイズと呼んでいます。ノイズを除去(画像処理で低減)することが誤検出の抑制には効果的です。各CTにある「ノイズ除去」の値を上げて、製品影響のピークを示す青い線の頂点が、直交する赤い線(しきい値)で示される「検出リミット」の下に来るように調整します。

ノイズ除去を上げて検出リミットよりも下回るように調節する→誤検出をなくすノイズ除去を上げる

下図の例は、青い線と接触している赤い線の「検出リミット」が上限に達しており、これ以上、上げることができません。
このようなケースは「ノイズ除去」を先に動かすしかありません。

誤検出が発生しているが、検出リミットが上限に達していて、これ以上赤い線(しきい値)を上げることができない
検出リミットの上限

米菓の“柿の種”を使って、誤検出した場合の「ノイズ除去」についてみてみましょう。柿の種は、バラ状の内容物(あられとピーナッツ)が一か所に留まらず、搬送中に向きや重なりの変化が起きやすい検査品の代表例です。ピーナッツのエッジ部(とがった部分)の影響で誤検出が起きたので、「ノイズ除去」で調整をしました。
CT4のシグナルがNGを示す赤からOKを示す緑に変わりました。

個包装の柿の種
個包装の柿の種

ノイズ除去を調整

内容物の重なりが集中した部分で、誤検出が起きることもあります。この場合も「ノイズ除去」でその影響を下げると効果があるでしょう。

包材内に隙間があるため個体にばらつきがあり、重なり合っている箇所で誤検出が発生する
重なりによる誤検出の発生


検出リミット

検出したいサイズのテストピースを被検査品に載せ、前述したCT0(全体の濃淡)やCT1~CT10(異物の特性に応じて反応)を見ながら、「検出リミット」を上下に動かすと、判定結果がOKからNG、NGからOKに変わる様子がX線検査機の操作部のモニターで確認できます。
「検出リミット」の調整は感度を少しでも良くしたいときに行いますが、先に「ノイズ除去」をしないといけない場合もあります。

テストピースを乗せた柿の種

右がテストピースを載せていないところで誤検出(1つの赤い点が、テストピースを示す直列に並んだ4つの赤い点と離れて存在)している例です。「検出リミット」を調整する前に、「ノイズ除去」を使って、この離れた赤い点を消しましょう。

誤検出している例

誤検出部分のノイズを消したら、テストピースの影響も下がったので、次に「検出リミット」を徐々に下げて(基準を厳しくして)行きます。テストピースを示す赤い点が1つ増えました。これで誤検出がなく、1つ下のサイズのテストピースを検出できることがわかります。

検出リミットをさげる/検出できたテストピースの比較


誤検出の対応例

コンビニやスーパーでお馴染みの深絞り包装のサラダチキンですが、内容物に凹凸があり形状が一定ではありません。また、フィルム材を台紙にシール(熱溶着)するときに、内容物の周囲にシワや気泡が発生しやすい被検査品です。近年、コスト削減から、台紙を薄くする傾向にあり、フィルムのシワと反りがより発生しやすくなっています。内容物の凹凸やシール部のシワが誤検出を誘発します。

フィルムのシワと反り 熱溶着により反りやすくなる

内容物が潜り込んだシワが入った被検査品をX線に流してみたところ、CT9が赤く表示されました。そこで赤いドットが消えるよう「ノイズ除去」の数値を徐々に上げていくと赤いドットが消えましたが、シグナルは黄色のままだったので、次にCT9 が緑色になるまで、「検出リミット」を上げました(緩めました)。リミットを緩めたので、社内基準のテストピースが検出できるか、生産前にチェックをしてから運用しましょう。

ノイズ除去と検出リミット調整後


便利な機能

CT1~CT10のいずれかでシグナルが赤色になった(誤検出している)事例を使って解説しましたが、複数のCTでシグナルが赤色になっている時は、「リミット自動調整機能」を使用して、同時に調整することも可能です。「ノイズ除去」「検出リミット」を一括して誤検出をしないレベルにX線検査機が調整してくれますが、全てのリミットが緑色になるとは限らず、黄色や橙色でとどまるCTもあります。同じOKでも色(橙、黄、緑)によって、検出リミットまでの余裕度が違います。

リミット自動調整機能/検出リミットと製品影響値

まとめ

誤検出が頻発して起きた場合、「ノイズ除去」で製品影響が判定リミットを超えないように調整し、次に「検出リミット」で微調整をするのが正しい手順です。いずれのリミットも上げすぎると、判定が甘くなり、社内管理基準になっているサイズのテストピースや異物を検出できなくなることがあるのでお気をつけください。X線検査機の運用開始後、長期間、誤検知が起きなかったが、突然、NGを頻発し始めた場合は、今回説明した調整方法では解決できないレベルの成分量の変化や、包装形態の変化が起きている場合もあります。その場合は、「品種登録」(初期設定)を再度行うことをお勧めします。


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