QUICCA活用例 Vol.7 2021年1月
食品工場の経営層、管理職のみなさまへ
異物混入事故対応で徹夜続き、何とかしたい
今回は、異物混入のご指摘を受けたときの対応について考えてみます。商品に異物が混入しているのを見つけたという消費者のご指摘は、通常、小売店を経由してメーカーに伝わります。異物混入が自社の生産工程のどこかで起きたことがわずかでも疑われる場合、品質保証部門は早急に社内調査を開始します。今回は、お取引先に報告が必要な「検査は正しく行われたか」と「異物混入の原因究明」について、その調査にどのくらい長い時間がかかっているかと、その改善策を提案します。
1.検査は正しく行われたか
ご指摘を受けて戻ってきた商品の包装に印字されている賞味期限から、その商品の製造日が特定できるので、品質保証部門の社員はその日の検査記録を探します。では、どのくらいの時間がかかるでしょうか。
①検査記録の取り出しと転記
日報バインダーを棚から取り出し、製造日付から該当する日報を探します。そこには作業者、品名、日常点検、NG排出数、検査機のエラー有無などが記載されており、検査が正しい手順で行われたかどうかが確認できます。確認後、報告書作成のために日報のコピーや転記をします。
②抜き取り検査の記録を探す
③検査機の内部に保存されているかデータ(動作来歴、判定記録)の取り出し
検査機に保存されている動作記録から、検査機が正常に稼働していたことを確認します。判定記録はこのあとの原因の究明の参考になります。次のような手順で検査データを取り出すことが多いと思います。
- 製造ラインの異物検査機の前に行き、検査来歴画面を表示。
- USBスティックを差し込んで検査データをコピー。
- USBを事務所のPCに差し込んでデータを移動。
<調査作業と時間>
| 手書きの検査記録(日報)の取り出しと転記 |
6-18h |
| 抜き取り検査の記録を探す |
1-2h |
| 検査機に保存されているデータの取り出し |
2-4h |
手書きの検査記録(日報)の取り出しと転記に長い時間がかかっています。現場での日報記入は一日数回行われ、検査機の種類も質量、異物、印字など複数あるので、一ライン当たり10枚以上の日報が発行されるので、探すだけでも一苦労です。
2.異物混入の原因究明
次に、品質保証部門は製造部のメンバーと一緒に、その日に製造ラインで何が起きたのかを調査します。主たる目的は、異物が実際に商品に入った工程や時間、原因を特定することですが、そこには、検査機の判定記録を全数チェックすることも含みます。
なぜかというと、NG判定があった場合、前後の商品にも異物が入っていた可能性を完全に否定できないからです。設備から剥がれた金属片がライン上に断続的に落ちた事故だと、破片のサイズによっては、リミットぎりぎりでOK判定になることがあります。このような丁寧な調査することで報告書の信頼性が上がります。
<調査作業と時間>
| 異物が混入した工程を推測 |
2-3h |
| 生産設備の筐体の欠損調査 |
1-2h |
| 現場作業者へのヒアリング |
1-2h |
| 欠損部分と異物の材質照合(※) |
1-2h |
| 検査機の判定記録の全数チェック |
12-48h |
(※)専門業社に調査依頼した場合は日数がかかる。
上記のように、検査機の判定記録の全数チェックが突出して時間がかかっているのがわかると思います。最近の検査機はすべての検体の検査記録をCSV(文字)やJPG(画像)などで残せますが、ロットの最初の一個から最後の一個までの検査記録に人が目を通すのは大変な作業です。とくにⅩ線検査機は一回の撮像で複数のフィルタが同時に働き、それぞれ影響値が記録されるので、データ量が膨大になります。
| |
一検体あたりの判定記録 |
| 金属検出機 |
製品影響値と判定結果(2~3データ) |
| X線検査機 |
製品影響値と判定結果。透過画像(約10データ) |
異物事故が起きたロットのサイズが10,000だった場合、Ⅹ線検査機の検査データは10,000×10データ=100,000件になります。すべてに目を通すのは、それこそ徹夜覚悟の仕事になってしまいます。
3.QUICCAが解決します
異物事故の報告書は取引先へ早急に出すことが求められます。総合品質管理システムQUICCAを導入すれば「日報の取り出し転記」と「検査記録の全数チェック」が劇的に時間短縮できます。
QUICCA活用例 Vol.1 『生産ラインのペーパーレス化を進めませんか?』でご説明したように、手書きの日報をやめて、総合品質管理システムQUICCAを導入すれば、事務所にいながら複数の検査機の日報データを簡単に出力できます。時間が短縮できるだけでなく、手書きの文字が読みづらい、報告書への転記ミスが起きるのでは、という心配もなくなります。
次に、QUICCAの『品質分析オプション』が検査データの全数チェックを強力にサポートします。このオプションは、品質保証担当者の代わりに、膨大な検査記録を読み取ってくれます。たとえば、フィルターごとに、製品影響値の値を任意に入力すれば、それを超える検査データだけが瞬時にPC画面に表示されます。対象のデータやその透過画像を報告書に添付することで、調査結果の信頼性が上がり、取引先の理解を得やすくなります。
影響値検索画面

| 作業項目 |
導入前 |
導入後 |
| 手書きの日報の取り出しと転記 |
6-18h |
0.5h |
| 検査機記録の全数チェック |
12-48h |
1h |
4.回収範囲を絞れるか
健康被害を与える異物混入の事実が確認でき、市場から商品を回収すると決断した場合、その日に生産したもの全部ではなく、疑わしい時間帯を絞り込んで回収すれば、損失は少なくて済みます。しかし、現実にはその判断をすることは難しいようです。
チルド商品は袋に製造時間まで書いてあり、配送記録からパレット単位で回収できそうですが、消費期限が短いため、調査結果より先に消費者の口に入ってしまう可能性があります。製造時間表示をしていない商品の場合、最小でも、その日に作ったものすべてが回収対象になります。
最後に
何年も前から「食の安全、安心」は世界共通の目標になっています。その活動を推進する品質保証部門の仕事の量や監視する範囲は増す一方です。また、複数の検査項目をマルチ処理できる高度な検査機も増えています。高度な品質管理には多面的な情報収集が必要ですが、どんどん増えて行くデータをどう処理していいかわからない状況も実際に起きています。QUICCAの導入により、品質記録の保管や取り出し、条件を満たすデータの検索などを自動化して、限られた時間を効率よく使いましょう。
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