ISMバンドとは
ISMバンドは電気通信以外の「工業(Industry)」、「科学(Science)」、「医療(Medical)」に関連する用途を目的として国際的に確保された無線周波数帯です。この周波数帯で使われる機器をISM機器といいます。高周波加熱器や電子レンジなどがこれに当たります。
これらの機器は強力な電波を放射し電波障害や無線通信の妨害を引き起こす可能性がありますが、それを許容することを前提にISMバンドが制定されました。その結果、コードレス電話、Bluetooth、無線LAN等の普及を後押ししました。
現在、無線LANは産業用無線LANとしても拡大し、自動倉庫「AS/RS(Automated Storage/Retrieval System)」や工場の無人搬送車「AGV(Automatic Guided Vehicle)」等に利用されています。
ISMバンドの干渉波とその対策
このような背景からさまざまな無線通信デバイスがISMバンドを利用することとなりました。そして現代社会において、電波の利用が放送や遠距離通信から、近距離での高速度通信へと大きくシフトし、無線LANに代表される小電力通信機器が電波利用全体において重要な位置を占めることとなりました。このような状況において、ISMバンド内の電波干渉も無視できない状況となったのです。そのためISMバンド内の電波干渉状況を確認することが大切です。
その確認にはスペクトラムアナライザを用いる方法があります。従来の掃引型スペクトラムアナライザは周波数、信号強度を測定できますが、時間的に変化する信号を捉えることには不向きです。
一方、リアルタイムスペクトラムアナライザは、時間的に変化する信号密度を表示させる機能があるので、高い確率でスペクトラムの変動や突発的(予期せぬ・偶発的)な信号を検出できます。電波干渉の確認にはこの突発的な信号の測定が必要です。
さらに詳しくリアルタイスペアナによる電波干渉状況の確認方法を測定画面で図解しながら2つの資料にまとめました。
2.4GHz ISMバンドの干渉波探索
~リアルタイムスペクトラム分析~
(内容)
- 掃引型スペクトラムアナライザを使用したISMバンドの観測
- リアルタイムスペクトラムアナライザを使用したISMバンドの観測
全ページ10ページ
2020年6月発行
ファイル容量:3MB
突発的な信号の検出
~リアルタイムスペクトラムアナライザによる信号密度の可視化と持続性~
(内容)
- リアルタイムスペクトラムアナライザの密度表示
- リアルタイムスペクトラムアナライザの信号密度の持続
全ページ6ページ
2020年6月発行
ファイル容量:3MB
ISMバンド以外のさまざまな干渉波
ISMバンド以外にも干渉波の探索が必要なさまざまなシーンがあります。
最近話題のローカル5Gのユースケースでは「建設現場」「自動農場管理」「スマートファクトリ」などにおける機器の遠隔制御が想定されます。
そのため、遠隔制御では干渉波や妨害波の影響を受けずに正しく機器が動作するかといった電波干渉状況の確認が大切です。
ローカル5Gでも突発的な信号が遠隔制御に影響を与えることがあるので、ISMバンドと同様に時間的な信号密度を調べる必要があります。
図1 総務省 「 地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」資料2より引用