デジタル業務用無線機の送信試験を、より早く・簡単に
新スプリアスや変調解析を含むデジタル業務用無線機の送信試験に。自動測定で作業負担を軽減
消防無線/タクシー無線/防災無線などARIB STD-T61/79/86の業務用無線機の保守点検や開発時の総合チェックなどの作業負担の軽減に、規格に沿った送信試験を一括測定して結果をテキストファイルに保存できるデジタル無線機自動測定ソリューションをご紹介します。
消防無線/タクシー無線/防災無線などの業務用無線機のデジタル化が進んでいます。デジタル化の目的の一つは、周波数の利用効率アップであり、チャネル間隔が狭くなります。新スプリアス(平成17年改訂)では、業務用無線機の出力信号を変調波とし、搬送波周波数から数kHz~数十kHz離調の不要発射を確認するなど従来はなかった測定方法が必要になります。また、業務用無線機の送信品質を確認する手法の一つが変調精度(EVM)であり、この測定には対応する変調解析機能を持つ測定器が必要になります。
シグナルアナライザ MS2830Aは、新スプリアス(平成17年改訂)や隣接チャネル漏洩電力で測定器に求められる厳しい位相雑音性能を低価格で実現したスペクトラムアナライザをベースとし、ベクトル変調解析ソフトウェア MX269017Aを搭載することで、デジタル業務用無線機の変調精度(EVM)も測定できます。さらにデジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用)MX269057Aもしくはデジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用)Lite(無償版)を組み合わせることで、送信試験を一括測定するデジタル無線機自動測定ソリューションとなります。
また、シグナルアナライザ MS2830Aは、アナログ無線機にもご利用いただけます。デジタル無線機用にご購入いただいた後でも、アナログ無線機テスタの機能を追加できます。
デュプレクサボックス MN2555A
デュプレクサボックス MN2555Aを組み合わせることで、業務用無線機からの信号を一つのコネクタに接続するだけで、ケーブルをつなぎかえることなく「送信特性」・「受信特性」・「空中線電力」の測定ができます。
特長
ケーブルなどつなぎ替えの手間をカット
業務用無線機のアンテナコネクタをデュプレクサボックスMN2555Aのインプット・アウトプット共通コネクタに接続することで、無線機の信号はアナライザ・信号発生器・USBパワーセンサの3つへ分配されます。そのためケーブルをつなぎかえることなく送信特性・受信特性・空中線電力を測定できます。また、同軸リレーの代わりにディバイダを利用することで、故障のリスクを低減しています。
送信電力30 Wmaxまでの業務用無線機を接続可能
デュプレクサボックス MN2555Aのインプット・アウトプット共通コネクタは、最大30 Wまで直接入力ができる「High Power RF」コネクタと、微弱無線機・特定小電力無線機用に高感度な0.1 W入力の「Low Power RF」コネクタの2種類あります。業務用無線機の送信電力に応じて、いずれか一つに接続してください。
スペクトラムアナライザの故障原因の一つとして過大入力があります。「High Power RF」コネクタ側には、20 dBの高電力アッテネータを内蔵しており最大30 Wまで直接入力できるため、アッテネータの付け忘れによる故障を防ぎます。また、受信試験時に無線機を誤って送信させても、信号発生器側を故障させることはありません。もう、保護用高周波ヒューズは不要です。
デジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用) MX269057A
デジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用)Lite(無償版)
デジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用) MX269057Aおよびデジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用)Lite(無償版)は、シグナルアナライザ MS2830Aを制御し、あらかじめ選択した送信試験*を自動的に実行し、測定結果をシグナルアナライザ MS2830Aから取得して一覧表示するソフトウェアです。
消防無線/タクシー無線/防災無線など業務用無線機(ARIB STD-T61/T79/T86)の送信試験の操作負担を軽減します。
*:本ソフトウェアは、送信試験を自動制御で測定します。 受信試験は、信号発生器をマニュアル操作してご利用ください。
送信試験項目一覧
変調波による測定
送信電力、周波数、変調精度(EVM)、原点オフセット、スプリアス、占有周波数帯幅、隣接チャネル漏洩電力
無変調波(CW)による測定
周波数(カウンタ)、スプリアス(帯域外領域)
デジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア (T61/79/86用) MX269057A
特長
測定環境に合わせた設定と、必要な項目に絞った測定が可能
測定前の準備として、業務用無線機の周波数と経路ロスを設定します。試験項目はチェックボックスで選択でき、項目ごとの条件は「設定」画面で調整できます。
測定周波数・パワー・測定項目および設定などの測定パラメータは、パラメータファイルとしてセーブ/リコールできます。あらかじめパラメータファイルを作成しておけば、無線機の仕様に合わせてすばやく切り替えることができます。また、複数のシグナルアナライザ MS2830Aでパラメータファイルを共用することもできます。
測定結果を一覧で確認。テキストファイルで保存して、評価レポートなどに引用
測定結果は画面右側に一覧で表示され、テキストファイルとして保存できます。測定前に画面左上に業務用無線機の「機種名」、「シリアルナンバー」などを入力しておくと、測定結果のテキストファイルにも反映されるため、後からレポートを作成する際に便利です。なお、測定結果はCSVファイルでも保存できます。また、スプリアス、占有周波数帯幅、隣接チャネル漏洩電力では測定画面の保存もできます。
利用環境に応じて、外部PCまたはシグナルアナライザ MS2830A内部へインストール
本ソフトウェアは、シグナルアナライザ MS2830Aに内蔵させるだけでなく、お手持ちのパソコンにインストールしてリモート制御でのご利用もできます。リモート制御は、LANまたはUSBで実行できます。外部PCで利用すると、測定結果のテキストファイルをそのままPCに保存できるので、PCで評価レポートを作成する際にはそのままテキストファイルを開いて利用できます。測定場所が屋外でPCを持参するのが面倒というケースではシグナルアナライザ MS2830Aへインストールしておき、測定結果は後からUSBメモリなどでコピーすると便利です。
デュプレクサボックス MN2555Aの補正データを読み込み、補正にかかる作業負担を軽減
別売のデュプレクサボックス MN2555Aを組み合わせて利用する場合、本ソフトウェアでデュプレクサボックス MN2555Aの補正データを読み込んで利用できます。デュプレクサボックス MN2555Aの補正データは、出荷時に添付されています。これにより測定系の補正にかかる作業を簡略化します。
デジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用) MX269057Aとデジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用)Lite(無償版)の違い
デジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用) MX269057Aは有償ソフトウェアです。制御対象となるシグナルアナライザ MS2830Aにライセンスを追加いただくと、実際の測定に利用できます。
デジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用)Liteは無償ソフトウェアです。制御対象となるシグナルアナライザ MS2830Aにライセンスがなくても測定できます。
下記機能は、デジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用) MX269057Aでのみ対応しており、デジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用)Lite(無償版)ではご利用いただけません。異なる試験条件のパラメータ設定や測定結果に対する判断など、操作や確認にかかる作業負担を軽減するとともに、人為的ミスを回避するために、デジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用) MX269057Aをおすすめいたします。
デジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用) MX269057Aのみ対応機能
- 総合合否判定機能
- パラメータ設定ファイルのセーブ/リコール
- ベクトル変調解析ソフトウェア MX269017Aの任意作成パラメータファイルの選択
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デジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用)
MX269057A |
デジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用)
Lite(無償版) |
【変調波による送信試験】
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送信電力
|
○
|
○
|
周波数
|
○
|
○
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変調精度
|
○
|
○
|
原点オフセット
|
○
|
○
|
スプリアス
|
○
|
○
|
占有周波数帯幅
|
○
|
○
|
隣接チャネル漏洩電力
|
○
|
○
|
【無変調波(CW)による送信試験】
|
周波数(カウンタ)
|
○
|
○
|
スプリアス(帯域外領域)
|
○
|
○
|
【共通】
|
送信経路ロス設定
|
○
|
○
|
測定項目ごとの合否判定
|
○
|
○
|
総合合否判定
|
○
|
—
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パラメータ設定ファイルのセーブ/リコール
|
○
|
—
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ベクトル変調解析ソフトウェア MX269017Aのプリセットダイアログパラメータの選択*1
|
○
|
○
|
ベクトル変調解析ソフトウェア MX269017Aの任意作成パラメータファイルの選択*2
|
○
|
—
|
シグナルアナライザ MS2830Aへライセンス追加
|
必要
|
不要
|
受信試験
|
—
|
—
|
*1:ARIB STD-T61/T79/T86の代表的なパラメータを標準で用意。パラメータの設定変更不可。
*2:任意の設定で作成したパラメータファイルを本体で保存し、自動測定ソフトウェアで選択可能。
シグナルアナライザ MS2830A 推奨構成
デジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用) MX269057Aおよびデジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用)Lite(無償版)をご利用いただくための推奨構成を紹介します。
品名 |
形名 |
備考 |
① 送信特性試験(周波数偏差、スプリアス、占有周波数帯幅、隣接チャネル漏洩電力、変調精度、原点オフセット)
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シグナルアナライザ
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MS2830A
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本体
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3.6 GHz シグナルアナライザ
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MS2830A-040
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周波数上限の選択
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高安定基準発振器
|
MS2830A-002
|
周波数偏差の精度向上
|
低位相雑音
|
MS2830A-066
|
位相雑音性能向上
|
解析帯域幅 10 MHz
|
MS2830A-006
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MX269017Aに必要
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ベクトル変調解析ソフトウェア
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MX269017A
|
変調精度の解析。MS2830A-006が必要。
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デジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用)*
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MX269057A
|
MX269017Aが必要
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デジタル消防・防災無線自動測定ソフトウェア(T61/79/86用)Lite*
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(無償版)
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MX269017Aが必要。MX269057Aの機能を限定した無償版
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*:いずれか一つを選択
さらに、自動測定ソフトウェアには対応していませんが、シグナルアナライザ MS2830Aにはデジタル変調の受信試験用のベクトル信号発生器や、アナログ無線機の送受信試験をおこなう機能をオプションで内蔵できます。
品名 |
形名 |
備考 |
② ①+デジタル変調の受信感度(スタティック)*
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3.6 GHz ベクトル信号発生器
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MS2830A-020
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MS2830A本体に信号発生器を内蔵
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ベクトル信号発生器用ローパワー拡張
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MS2830A-022
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出力レベルの下限設定範囲を-40 dBmから-136 dBmへ拡張
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TDMA IQproducer
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MX269902A
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業務用無線機の信号生成に必要
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BER測定機能
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MS2830A-026
|
BER測定機能を利用する際に必要
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③ ①もしくは②+アナログ解析および信号出力
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オーディオアナライザ
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MS2830A-018
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オーディオ信号の解析&発生。オーディオジェネレータ含む
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3.6 GHz アナログ信号発生器
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MS2830A-088
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受信試験用RF信号出力
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アナログ測定ソフトウェア
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MX269018A
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アナログ信号の測定機能を内蔵
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USB Audio
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A0086C
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復調音声出力に必要
|
*:受信感度(スタティック)の試験で利用できます。受信感度(フェージング)や隣接チャネル選択度など、フェージング信号や希望波+妨害波の2つの変調信号が必要な試験には、1台でBER測定機能と、2つの信号を同時に出力できるベースバンド加算機能と、フェージング信号に対応できるベクトル信号発生器 MG3710Aおよびアナログ信号発生器 MG3740Aを推奨します。
スペクトラムアナライザ/シグナルアナライザ MS2830Aについてさらに詳しく
ベクトル変調解析ソフトウェア MX269017Aについてさらに詳しく
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