IoT機器がインターネットにつながりにくかったり、IoTアプリケーションの接続が不安定だったりした経験はありませんか?そういった問題の原因はIoT 機器の設計や製造過程に潜んでいることがあります。よって、商品化される前に設計や製造の段階で、実際の使用環境における通信接続品質をあらかじめ確認することで問題の解決を期待できます。 IoT 機器は、中継機器(ルータなどのアクセスポイントやノード)と通信し、通信ネットワークに接続されます。何らかの原因によって無線通信が不安定になると、データの再送信が頻繁に生じます。その再送信の頻度が一定レベルを超えてしまうと、なかなかつながらない、期待した通信速度が出ない、消費電力が増えるなど、想定外の問題が顕在化します。つまり、「つながった」「アクセスポイントで測定した」と確認したつもりであっても、実は、設計・製造時から通信障害を発生させかねない状態ということが起こり得ます。そのような状態のままにしておくと、エンドユーザの利用時における通信環境次第で通信トラブルが多発するといった事態にもなりかねません。
IoT機器の「無線通信品質」とは?
IoT製品技術者には、デジタル無線機能を搭載するために無線通信技術の知識や経験が求められます。それには多くの時間を要するため、最も簡単な解決手法の一つとして、市場に流通する既成の無線通信モジュールをIoT製品に搭載するという方法があります。既成の無線通信モジュールであれば、モジュールベンダーが無線通信規格や法規制に準拠していることを保証しているからです。
しかしながら、無線通信モジュールの通信品質と、それを搭載したIoT 機器の通信品質はイコールではありません。IoT 機器が実際に使用される状況では、障害物による電波の減衰や、外来の電波との混信が起こります。また、無線通信モジュールがIoT 機器に搭載された状態では、機器内での電波の反射や干渉が生じます。
すなわち、IoT 機器の無線通信品質とは、IoT 機器が完成した状態で、実際の使用環境における品質を意味します。