リモートスペクトラムモニタ

携帯電話事業者は、事業で使用する周波数帯域（スペクトラム）の権利を購入するために、非常に大きな投資をします。スマートフォンユーザーがで電子メールやWebページを表示したり、オーディオやビデオをストリーミングするには、高速データ通信を支えるスペクトラムの確保が必要です。高レベルのネットワークパフォーマンスを維持するために、事業者は、このスペクトラムを絶えず監視して、干渉の原因を識別し、探索する必要があります。干渉は、違法な送信機が原因で発生することもあれば、相互変調のように意図せぬ原因で発生することもあります。どの場合もネットワークのデータ伝送速度が減少し、その結果、ユーザーエクスペリエンスが損なわれます。 MS27103Aはスペクトラム監視によって、通信ネットワークのパフォーマンスの維持、管理に貢献します。

MS27103Aリモートスペクトラムモニタは、干渉信号を識別および探知するように設計されています。MS27103Aは、ネットワーク事業者の重要な目標であるユーザーエクスペリエンスの最大化に貢献します。その結果、通信サービスに対する顧客ロイヤルティ、顧客離れの減少、優れたブランド創出のにつながります。

また、ユーザーが集中する場所で高速データ通信を提供するために、世界中でDASシステムが広く展開しています。これには、駅やスポーツスタジアム、ショッピングモールなどが含まれます。1つの機器室から、複数の場所へワイヤレス信号を分散します。このようなDASシステムの高速データ通信を維持する上で、分散する各RFフィードにおける干渉信号の監視を欠くことはできません。MS27103Aは、DASシステムの完璧なモニタリングソリューションであり、DASシステム全体のパフォーマンスの維持に貢献します。

MS27103Aは、ラックに取り付け可能な筐体に12個（オプションで24個）のRF入力を持っています。各ポートは、電子スイッチを使用して指定します。MS27103Aは、ユーザーが指定する周波数の信号を監視および記録する、多機能なプラットフォームです。

MS27103Aの掃引速度は最大24 GHz/sで、多くの信号をキャプチャできます。これには、周期的な信号や不定期な信号に加えて、短い「バースト」信号も含まれます。MS27103Aは、20 MHz帯域幅のFFTを使用可能で、広帯域をリアルタイムでキャプチャし、後処理することができます。IQキャプチャは、ブロックモードとストリームの両方で記録できます。「Save On Event」機能も備えているため、ユーザーが設定可能な特定のしきい値を超えた場合のみ、測定値をキャプチャすることもできます。これによって、目的の信号のみがキャプチャおよび記録されるため、メモリ領域の節約になります。

リモートスペクトラムモニタとの通信
MS27103Aとの通信には、さまざまな方法を使用できます。その方法は、以下のとおりです。

1. 内蔵Webサーバー
MS27103Aには、Webサーバが組み込まれています。インターネットブラウザ（ChromeやFireFoxをサポート）を使用することで、ユーザーは世界のどこからでもスペクトラムモニタにログインし、そのすべての機能を制御できます。これには、周波数の設定、RBW/VBWの制御、リファレンスレベルの設定をはじめ、スペクトラム監視に関連するその他の多くの設定が含まれます。同時にブラウザで、トレースデータ、スペクトログラム、および他の測定値を表示できます。Webサーバの主な利点は、オペレーティングシステムのプラットフォームに依存しないことです。ブラウザを表示できる電子端末であれば、MS27103Aの組み込みWebサーバと連携できます。PC/ラップトップ、タブレット、そしてスマートフォンで、スペクトラムを表示し、リモート機器の設定を変更できます。MS27103Aはギガビットイーサネットにも対応しているため、測定データと制御情報を高速で伝送できます。

2. SCPIプログラミング
ユーザーは、利用可能なSCPIコマンドを使用して、独自のモニタリングプログラムを作成することもできます。各SCPIコマンド、コマンドの説明、およびコマンドの正しい構文が載ったユーザーマニュアルも用意しています。また、IQデータ出力には、高精度のGPS信号を使用してタイムスタンプが付けられます。このため、ユーザーは、複数のMS27103Aを配置した場合、TDOA（Time Distance of Arrival）アプリケーションでこのIQデータを使用して、信号発生位置を地理的に把握できます。IQデータのタイムスタンプ分解能は、正確な信号位置計算で9ナノ秒未満です。

3. Vision™アプリケーションソフトウェア
MS27103Aのオプションとして、Vision™ソフトウェアもあります。Visionはハードウェアと連携して測定データの収集を自動化して、監視している通信ネットワークの状態やスペクトラムの使用状況に関する情報を提供します。Visionは、干渉信号を監視および探索する以下の2つの機能で構成されています。

1. ビジョンモニタ（オプション400）
2. ビジョンロケート（オプション401）

ビジョンモニタは、スペクトラムデータの自動記録、検出信号の履歴管理、異常信号に対するアラーム機能および電子メールの自動送信、およびスペクトラムモニタリングシステムを管理する一連のツールを提供します。

ビジョンロケートには、干渉信号または違法/無免許信号の発信位置を推定する機能があります。信号位置を正確に探索するには、3台以上のモニタを使用する必要があります。Vision製品の詳細については、アンリツのWebサイトを参照してください。

主な特長

• 9 kHz～6 GHz
• 掃引速度は最大24 GHz/s
• 内蔵Webサーバーにより、Webブラウザ経由で測定を表示、制御、実施。（ChromeとFireFoxをサポート）
  ＊：Google および Google ロゴ、Google Chrome、Google Chrome ロゴ は、Google Inc.の商標、または登録商標です。
  ＊：Firefox(R) は、米国 Mozilla Foundation の米国およびその他の国における商標または登録商標です。
• ファームウエアの更新を遠隔操作で実施可能
• ウォッチドッグタイマにより、遠隔地に配置されたモニタ機器の長期間の安定動作を保証
• Linuxオペレーティングシステム
• 信号の発見に適した低スプリアス
• 20 MHz FFT帯域幅
• 低消費電力 < 11 W （入力電圧11～24 VDC）
• 場所と時間の同期アプリケーションで使用するGPS受信機内蔵
• 高速伝送を実現するギガビットイーサネット
• 干渉解析：スペクトログラムと信号強度
• ダイナミックレンジ：> 106 dB（1 Hz RBWに正規化）
• 表示平均雑音レベル（DANL）：< -150 dBm（1 Hz RBWに正規化、プリアンプON）
• 位相雑音：-99 dBc/Hz @ 10 kHz オフセット（1 GHzにおいて）
• タイムスタンプが付けられるIQブロックモードおよびストリーミング（TDOAアプリケーション用）
• オプションのVisionソフトウェア（スペクトラム測定の自動化、アラームの設定、信号発生源の推定）

MS27103Aによる効率的な電波監視
MS27103Aは、マルチポートのRF入力モニタリングプラットフォームです。これは、複数のアンテナを使用して広い周波数範囲をカバーする必要があるシステムに採用されます。MS27103Aは、多くの場合、複数のセクタと、セクタごとに複数の周波数を使用する、携帯電話基地局などで使用されます。通常、携帯電話事業者は、周波数帯域の獲得に多額の投資をします。その投資を有効に使うために、顧客に高品質のサービスを提供します。さまざまな干渉源からの干渉は、電話の通話途切れ、データ速度の低下、ネットワークパフォーマンスの低下につながります。MS27103Aは携帯電話基地局で受信信号を監視し、干渉信号の識別を実施できます。不要な信号の発生パターンを調べることもできるため、干渉問題の原因を特定し、さらに探索する効果的な方法を提供します。