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『テクニカルノート』

誤判定の防止:非検査品の向きを一定にする

金属検出機、大型金属検出機

⾦属検出機は、検出ヘッドに⾃ら磁界を発⽣させ、被検査品が検出ヘッドを通過するときに磁界に及ぼす影響をモニターし、それがあらかじめ設定したOKとNGとを分ける検出リミット(しきい値)を超えた場合、⾦属異物混⼊(NG品)と判定します。今回は、被検査品が検出ヘッドに進⼊する時の向きが製品影響値やOK/NG判定にどのように変化をもたらすか実験を通して解説します。

1. 被検査品の向きによって変わる突入断面積

「突⼊断⾯積」と⾔われても聞き慣れない⾔葉かも知れませんが、下記のように被検査品の進⾏⽅向から⾒たときに、被検査品が検出ヘッドに⼊る瞬間の断⾯積とお考えください。

検出ヘッドに入る瞬間の断面積

「突⼊断⾯積」による製品影響値は基本的には下記イラストのように変化します。

搬送条件の変化

「突入断面積」が小さいと、被検査品に当たる磁力線が少なく、逆に多いと被検査品に当たる磁力線が多くなります。磁力線が多く当たれば、磁界の乱れが大きくなり、製品影響値が大きくなる要因の一つになります。製品影響値が判定リミットに近づくので、同じ被検査品でも検出ヘッドに進入する向きによっては誤判定を引き起こすことがあります。

上記をご理解いただくため、実験をしてみましょう。スタンディングパウチ入りのお惣菜 サイズ200 mm × 140 mm × H 30 mmを縦長の方向(W:140 mm、L:200 mm)で流して品種登録作業(※)をしました。検出リミット(しきい値)は、製品影響値の5倍を超える信号を検出したときに金属異物混入と判定する設定にしています(下左図 の青枠部分)。
縦方向で流したときの製品影響値は緑色のインジケーターが2~3つ点滅した状態です。この状態は良品判定(OK判定)になります。

次に、横長の方向(W:200 mm、L:140 ㎜)で検査品を搬送させました。すると製品影響モニターのインジケーターが赤まで到達し、5倍で設定した検出リミットを超過しています(下右図の赤枠部分)。これは縦方向で品種設定した被検査品を横方向にして流したため、突入断面積が大きくなった例です。製品影響値がリミットを超えたので、異物混入品(NG品)と誤判定されます。

※ 被検査品だけを5~10回検出ヘッドに流して、検査品自身が磁界に与える影響を測ります。

縦長方向で流した場合 OK判定
横長方向で流した場合 NG判定

2. なぜ被検査品の向きが変わる?

「突入断面積」が変わってしまうような被検査品の大きな向きの変化がなぜ発生するのでしょうか。
要因は下記の3つのいずれか、もしくは合わさったものです。

  • 被検査品を搬送するコンベアで、左右の高さのバランスがとれていない
  • さらに、検査機コンベアと前段コンベアとの段差がある
  • さらに、検査機コンベアと前段コンベアとの速度差がある

※ 対象物によっては若干の段差を付けて乗り移りを良くすることや、速度差を付けて検査品同士の間隔を広げることがあります。

コンベアの左右で高さのバランスがとれていない

下図は当社の取扱説明書に書かれている注意事項です。前段コンベアと金属検出機のコンベアとの段差が大きくなりすぎないように注意を促しています。私たちが道路を歩いているとき、段差があれば足を踏み外して姿勢が乱れることがあるのと同じです。さらに今回のテクニカルノートで注目したいのは、被検査品を搬送するコンベアにおいて、左右の高さのバランスがとれていない状態です。

コンベアのバランス

まず前段コンベアと金属検出機コンベアとも、左右の高さのバランスがとれた状態で被検査品の乗り移りがどうなるか実験します。

金属検出機のコンベア

被検査品は前段コンベアから金属検出機コンベアに乗り移っても、向きは一定に保たれています。

前段コンベアに気泡管水準器を置いてみます。気泡が真ん中に来ていることがわかります。この状態は左右で高さのバランスが取れた状態です。

気泡管水準器

下の写真をご覧ください。水準器を置いたら気泡が右側によっています。このとき前段コンベアの高さが左右でバランスがとれていない状態です。

バランスがとれていない状態

この状態で被検査品を流してみます。前段コンベアと金属検出機のコンベアのスピードは合わせてあります。

金属検出機のコンベア

被検査品の向きがかなり変わりました。ただし、縦から横に完全に向きが変わったわけではないので、誤判定は起きません。

次に、金属検出機のコンベアが、前段コンベアより少し低くします。正面から見ると、以下のような状態です。

金属検出機のコンベア
バランスがとれていない状態

水準器を置くと、気泡が前段コンベア側によります。これは金属検出機のコンベアの高さが前段コンベアより低いことを示します。前段コンベアと金属検出機コンベアとの間に段差があり、かつ、前段コンベアにおいて左右の高さのバランスがとれていない状態で被検査品を流してみます。

金属検出機のコンベア

先程より向きのズレが大きくなりました。ここまで横に向くと誤判定が起きる一歩手前です。
実験は割愛しますが、前段コンベアと金属検出機コンベアの速度差があり、前段コンベアで左右のバランスがとれていないと、同様に被検査品の向きの変化は大きくなります。

前工程にコンベアが複数あり、同様の不具合が起きていると被検査品の向きの変化がだんだん大きくなり、金属検出部で誤判定を起こす可能性が高まります。

誤判定

3. 対策

金属検出機や前段のコンベアを、別のラインから移設した、メーカー引取り修理から戻ってきた、という時は、前段コンベアと金属検出機コンベアのどちらもが、左右の高さのバランスがとれているか、水準器で確認し、ずれていたらコンベアの脚の高さを調整してください。

前段コンベアを流れるときにすでに被検査品の向きが傾いている場合もあります。向きを補正するワークガイドをコンベアに設ける方法が一般には行なわれています。しかし、ワークガイドの取付けの位置が適切でないと、次に流れてくる被検査品との間隔が詰まる、搬送姿勢が乱れる、などの状態になり得ますので注意が必要です。

ワークガイド取り付け例

まとめ

今回は金属検出機の感度設定時の被検査品の流し方について、よくある「うっかり」を解説しました。現場で生産前の感度確認をするときも、同じ理由で、「テストピースが取れない」「正常品がNGに判定される」ということが起きている可能性があります。生産するアイテムの入れ替えがあまり多くなく、感度設定作業の頻度が少ない生産ライン(数か月単位)の場合、品質管理者は過去の経験を忘れてしまうことがあります。生産ラインでNGが頻発すると、再検査の手間や商品廃棄の増加につながりますので、このテクニカルノートを参考にして、適正な感度設定を行い、トラブルを未然に防ぎましょう。


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